2016年10月21日金曜日

中東からアジアへシフトするアメリカの軍事力(2):フィリピンの離反、タイ国王の死

_


ロイター 2016年10月17日
http://diamond.jp/articles/-/104902

米アジア回帰政策、
タイ国王死去で不透明感増大

[ワシントン 13日 ロイター] -
 オバマ大統領のアジア・太平洋地域に軸足を戻す外交政策の行方は、タイのプミポン国王死去で一段と不透明感が増している。
 国王は、第2次世界大戦後長らく続いてきた米国とタイの関係を強固にする上で重要な役割を果たしてきたからだ。

 折悪しく、米国のアジア回帰政策はうまく進んでいない。
 経済的な柱である環太平洋連携協定(TPP)は議会で審議が棚上げされ、オバマ氏退任前に承認される保証はなくなっている。
 オバマ氏は安全保障面では、南シナ海の領有権を主張する中国に対抗するため東南アジア諸国との連携を推進しようとしているが、
 フィリピンでは反米姿勢を鮮明にするドゥテルテ大統領が登場し、同国との軍事協力に暗雲が漂ってきた。
 インドネシアとマレーシアは国内政治を重視し、ASEAN(東南アジア諸国連合)で指導力を発揮するのを避けている。
 米国にとって伝統的に信頼できるこの地域の同盟国であるオーストラリアでさえ、中国との経済的な結びつきを損なわないようにと、その行動は慎重さが目立つ。

 タイについては、2014年の軍部によるクーデター以降は東南アジア地域の安定役としての期待度は既に低い。
 ただ今後さらに内向き志向が強まる事態が懸念されている。
 王位を継承する見通しのワチラロンコン皇太子が、プミポン国王が築いていた米国と親密な関係を持っていないという問題もある。

 かつてオバマ氏のアジア政策の首席顧問で現在はユーラシア・グループに勤務するエバン・メデイロス氏は、タイで服喪期間が設けられることにより民政移管が遅れる公算が大きいと指摘。
 ワチラロンコン皇太子がどういう人物なのかがよく知られていない点も不確実性の原因だとの見方を示した。

 米シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)のマレー・ヒューバート氏は、オバマ氏がアジア回帰政策を打ち出した2011年と今では情勢が様変わりしたと話す。
 当時は、タイを関与させることができただけでなく、マレーシアの新指導者は地域安定への取り組みに積極的で、フィリピンは親米派で外交に非常に前向きなアキノ大統領が存在し、インドネシアの大統領も国際的だったという。
 その上で
 「プミポン国王の死去は、ただでさえかなり流動的な東南アジア地域に一層の不透明感を加えることになる。
 多くの国が『様子見』になっているため、米国のアジア回帰政策はさらに難しくなる」
と説明した。

 プミポン国王がいなくなったことで米国は今後、地域安定のためにかつて敵国だったベトナムへの依存を高めざるを得なくなる。
 だがフィリピンとの協議がこじれたとしても、ベトナムがすぐに米国との軍事協力をどんどん進めてくれる展開はあまり期待できない。
 米国のオシアス駐ベトナム大使は11日にワシントンで、ベトナムと米国の安全保障面の関係拡大はこれまで非常に緩やかなペースにとどまっていると語った。

 CSISのヒューバート氏によると、アジア諸国は中国の脅威があるためなお米国のアジア回帰政策に対する熱意を失っていないものの、この政策の進ちょく度はこれからさらに遅くなりそうで、オバマ氏が退任した後に積極的な取り組みを復活させるのはますます骨が折れそうだという。



CNN.co.jp 10月22日(土)16時15分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161022-35090948-cnn-int

米駆逐艦、南シナ海を新たに航行 中国けん制

(CNN) 米国防総省は21日、海軍の誘導ミサイル搭載駆逐艦「ディケーター」が同日、「航行の自由作戦」の一環として南シナ海を航行したと発表した。

 声明で通常の作戦であり、混乱なく航行したと述べた。
 進入した海域などには触れなかった。
 米ホワイトハウスのアーネスト報道官は中国の国名に言及した上、
 「重要なのは航行の権利や自由、米国を含む全ての国家が国際法下で行使を認められている海洋の合法的利用を違法に規制することは出来ないことだ」
と主張した。

 一方、ロイター通信によると、中国国防省はディケーターの今回の行動は「違法かつ挑発的」と非難。
 中国の戦闘艦船2隻が同駆逐艦に対し退去を警告したと報じた。
 中国は米軍の航行自由作戦の実施に対し中国の主権を脅かしていると反発し、ここ数カ月間では戦闘機発進や艦船派遣の措置を講じている。

 主権論争が長引く南シナ海では過去2年、人工島建設などを図る中国の強硬的な措置が目立ち、緊張が高まっている。
 常設仲裁裁判所(オランダ・ハーグ)は今年7月、フィリピンの提訴を受け、南シナ海での中国の主権を否定する判決を下していた。



ロイター  2016年 10月 22日 09:25 JST
http://jp.reuters.com/article/china-logdges-complaint-on-us-naval-patr-idJPKCN12L2M9

中国国防省、米国の南シナ海への艦船派遣に抗議 「違法」で「挑発的」

[北京 21日 ロイター] - 中国国防省は21日、米海軍が南シナ海に艦船を派遣したことについて、こうした行動は「違法」で「挑発的」とする声明を発表し、米政府に抗議したことを明らかにした。

 ウェブサイトに掲載した声明で、国防省は中国の艦船2隻が米国の艦船に対し海域から出るよう警告を発したことを明らかにし、中国軍は必要に応じて海上、および空からの監視を強化するとした。

 米海軍は中国が近隣国と領有権を争っている南シナ海の西沙(英語名パラセル)諸島付近に艦船を派遣している。



時事通信 10月22日(土)16時53分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161022-00000086-jij-asia

中国艦が初寄港=南シナ海の越要衝カムラン湾

 【ハノイ時事】南シナ海に面するベトナム南部の軍事要衝カムラン湾に22日、中国海軍のミサイル艦など3隻が寄港した。

 カムラン湾に大型艦船や民間船舶が利用できる国際港が3月に開設されて以降、中国艦の入港は初めて。
 26日までの日程で、ベトナム海軍との交流などを予定している。
 カムラン湾は、中国が軍事拠点化を進める南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)、西沙(同パラセル)両諸島に比較的近く、重要性が高まっている。
4月に海上自衛隊の護衛艦、今月2日には米海軍の艦船が寄港した。

 米軍は21日、西沙諸島沖で中国が実効支配する島々に艦艇を送る「航行の自由作戦」を実施したばかり。
 ベトナムが中国を警戒しつつも、中国艦の寄港を認めたのは「バランス外交」の一端と解釈できる。





【身勝手な大国・中国】



_