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サーチナニュース 2016-10-24 11:21
http://news.searchina.net/id/1621394?page=1
なぜ中国は古代の優れた文化を受け継ぐことができないのか
・・・歴史的、人為的な理由=中国メディア
中国では近年、自国の伝統文化や伝統技術が日本をはじめとする国外で発展し、自国内では廃れてしまっていることを嘆く文章がしばしば発表されている。
また、数多くの伝統文化が現代の生活に息づいている日本社会に対して羨望を示す論調も少なくない。
中国メディア・今日頭条は22日、
「中国の伝統文化はどうして、つまずいたまま立ち上がれないでいるのか」
とする記事を掲載した。
記事は、
★.中国人がかつては燦然と輝く歴史文化を作り上げてきた一方で、
★.この100年は「ご自慢の伝統文化にがけ崩れが発生している」状況であると説明。
その背景について、歴史的な側面と人為的な側面の2つからそれぞれ解説している。
歴史的な要因としてまず、漢の武帝時代に行われた
「百家を排斥し、儒家のみを用いる」動きを挙げた。
また、度重なる戦乱や天災によってその都度芸術や医学、暦法といった、大量の学習や蓄積が必要な文化が断絶あるいは淘汰されていったとした。
さらに、明代や清代に盛んに行われた言葉狩り(「文字の獄」)、
清代末期における自国文化を卑下し外国文化に媚びる風潮
もそれぞれ要因とした。
人為的な要因としては、
★.古代から現代に至るまで「政治が経済を上回り、経済が文化を上回ってきた」
点を挙げた。平和発展の時代はいいが、文化と政治・経済が衝突すると文化は、たちまち踏みにじられる」としている。
また、伝統文化に対する大衆の基盤が失われているために、後継者が不足している点にも言及した。
そして、最後に
「文化は大樹であり、枝葉がなくなれば死ぬ。
文化は水であり、源が絶たれれば枯れる。
文化は建築であり、基礎が壊れれば崩れる」
とまとめている。
記事の分析は冷静、かつ、的確なものと言えるだろう。
戦乱と天災続きだった中国においては、伝統文化を脈々と受け継いでいくことは難しかったというのも理解できる。
そして、文化よりも政治や経済が優先され、時として文化が政治の道具として用いられてきたことも大きいだろう。
歴史的要因のところで、
記事は中華民国以降の歴史について全く言及しておらず、
「時が過ぎたらまた語ろう」としている。
話せば長くなるから割愛したのか、それとも語れば中国の歴史におけるタブーに触れざるを得なくなるからなのかは分からないが、なんとも「含み」のある記述だ。
今、中国はバラバラに切り刻まれたピースを繋ぎ合わせることで、伝統文化の復活、再伝承を目指している。
その試みは果たして成功するのだろうか。
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サーチナニュース 2016-10-28 09:51
http://news.searchina.net/id/1621792?page=1
批判的思考を抑圧する中国の教育は、
まるで「低品質でチープな製品の生産ライン」だ=中国メディア
政府や共産党に対する批判はタブー、というイメージが強い中国だが、かつて批判が許されたことがあった。
それは1956年から57年にかけて毛沢東が提唱した「百花斉放百家争鳴」運動だ。
この時、数多くの学者や有識者らが共産党に対する批判的な言論を発表した。
しかし、批判の噴出に危機を感じた毛は程なくこれを撤回、一転して党への批判者を厳しく弾圧する反右派闘争を展開したのである。
このあまりにも強烈な「しっぺ返し」が、今に至るまで体制批判をタブー化させる一因となっているのだ。
中国メディア・捜狐が26日に掲載した、中国の教育の問題点を指摘する記事のなかで、「批判的な思考を持つ教育」の欠如について言及されている。
見方によっては体制批判とも取られかねない内容で、その舌鋒は鋭い。
まず、
★.「国家というものは、国民全体によって建設されるものである。国民が聡明になり、知恵を持ち、創造力が高くなるほど、国は強くなる」
とし、
★.政府が持つ最大の役割は「公正かつ透明な競争のルールを作り、民衆の中から優れた人材を輩出すること」であると論じた。
そして、
★.批判的な思考を持つ教育は高等教育の基本であり、「日本ならずとも、正常な国ならどこでもこの点に力を注ぐ」
とした。
一方で、
★.「専制国家はどうして嫌われるのか。
それは、民衆に知力の低下を強要し、統治者の知恵を際立たせようとするからだ」
と指摘。
★.競争のない統治者はどんどん愚かになっていき、やがて国自体も愚かになり、最終的には民族全体が生存能力を失うことになる
のだと論じている。
そして、
★.今の中国の教育は「依然として押し付け的な教育により、残酷にも子どもの自由な天性を抑圧し、多くの子どもを学習嫌いにさせている」と断じ、
★.「この現状を変えたいのならば、教育を学校に戻し、智慧を子どもに返さなければならない」
とした。
記事はさらに、
★.中国の教育について「子どもたちは教育という製造ラインの上で厳しく矯正され、低品質で廉価な標準化された製品となる」
とも評している。
記事は「今の中国は専制国家で、愚民政策を続けている」とは明言していない。
しかし、専制国家による愚民政策を持ちだしたうえで、現在の中国の教育を「低品質で廉価な標準化された製品の製造ライン」と批判していることから、両者を関連付けようとする意図が伺えるのは明らかだ。
このまま批判的思考を抑圧した教育を続けていくのか、自由な思考と言論を生む教育へとシフトしていくのか。
昨今議論が活発化している中国の教育問題は、これからの国の行く末を占う岐路であると言えそうだ。
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サーチナニュース 2016-10-28 22:15
http://news.searchina.net/id/1621898?page=1
日本の歴史教科書から、古代中国に対する強いリスペクトが伺える=中国メディア
日本は歴史的にも中国とつながりが非常に強く、特に古代においては様々な文化を中国の王朝から学び、それを独自のスタイルで発展させていった。
それゆえ、日本の学校では国語で漢文を学ぶ時間があり、歴史で中国史を比較的詳しく学習するのである。
中国メディア・今日頭条は26日、
「日本人による古代中国への崇拝ぶりは、教科書の歴史地図から見て取れる」
とする記事を掲載した。
★.古代史において包み隠さず崇拝する一方で、
★.近代においては赤裸々に中国を蔑視している
と説明。
この「矛盾した態度」が、歴史教科書上に十分に表れているとした。
そして、日本の歴史教科書における中国歴代王朝の記述に対してそれぞれ評価をしている。
まず、
★.中国が存在を主張する夏王朝については、日本人は西洋同様認めておらず、中国の歴史は商王朝から語り始めている
とした。
そして、
★.春秋戦国時代は「中国の教材よりも詳しく描かれて」おり、
★.秦王朝は「南西部の領土を認めていない以外は、具体的である」
と評している。
さらに、
★.漢の記述にも日本人のリスペクトが伺えるほか、
★.三国時代に至っては「骨身にまで融け込むほどの愛好ぶり」
が伺えるとした。
また、
★.隋、唐、宋、元についてはいずれも具体的に記されている
と紹介し、中でも
★.唐については「極度の崇拝」が感じられる
と論じた。
★.明は「チベットや新疆が承認されていない」とし、
★.清については樺太が日本領とされている以外は正確と説明。
そして、
★.近代史になると「日本人の態度は大きく変化し、明らかな蔑視を帯びるようになる」
とし、「全面侵略戦争を『日中戦争』と称している。
南京大虐殺については認めないか、認めても死者数に議論が存在することを強調している」と紹介した。
古代と近代の中国に対する日本の見方が大きく異なると感じるのは、両国の関係に大きな変化が生じたからに他ならない。
★.極論してしまえば、崇拝する理由がなくなったということに過ぎないのだ。
それを「矛盾した態度」と捉えてしまっては、物事をある側面からしか見られなくなってしまう。
中国のネットユーザーからは
「日本は常に強いものに媚びへつらう」との感想も見られたが、
「強いもの」というのは単に軍事的な強さではない。
「文化的な強さ」も持っているのである。
今の中国にはこの「文化的な強さ」が欠けているのだ。
』
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読売新聞 11/2(水) 22:46配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161102-00050110-yom-int
日本の調査研究機関「言論NPO」と中韓の調査研究機関が2日、3か国で6~9月に行った共同世論調査の結果を発表した。
★.「今後10年間のアジアにおける中国の影響力」について「増大する」と答えた中国人は
66・4%で、前年の82・5%から大幅に減った。
また、同様の回答は
★.日本で51・9%(前年は60・3%)、
★.中国経済への依存度が高い韓国で71・2%(同80・0%)
と、いずれも減少した。
中国人の自国への自信低下について、
中国・零点研究コンサルテーショングループの袁岳会長は
「今年は経済や近隣諸国からの批判など、マイナスニュースが多かった」
と分析した。
対日意識についての設問では、
日本を「信頼できない」と答えた人が韓国で75・7%、中国で78・9%
に上った。
』
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(英フィナンシャル・タイムズ紙 2016年10月31日付) 2016.11.3(木) Financial Times
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48296
国際舞台で派手に転ぶ中国人投資家
驕りにかけては欧米並み、
買収計画が相次ぎ頓挫
●中国一の大富豪、スペイン不況象徴の歴史的建物を370億円で購入
スペイン・マドリード(Madrid)のスペイン広場(Plaza de Espana)に面した歴史的建物「エディフィシオ・エスパーニャ(Edificio Espana)」(2014年6月5日撮影)。(c)AFP/GERARD JULIEN〔AFPBB News〕
中国に初期に投資した欧米人の一部は、あまりにもひどい失態を演じた。
どうしてそんなことができたのか不思議に思わざるを得ない。
英国のビール大手バスは、1990年代に中国の「開かれた門戸」をくぐって進出したとき、「紅い口」と呼ばれる地方企業の荒っぽい起業家たちを現地パートナーに選んだ。
次に、冬には凍りつき、夏には洪水に見舞われる北朝鮮に近い僻地にビール工場を建てた。
そこは物流があまりにお粗末だったため、値段が高すぎるバスのラガービール「テネンツ」が中国南部の大きな市場に届くまでに2カ月もかかることがあった。
怒りが渦巻き、両社の関係は破綻した。
バスは2000年に中国事業からの撤退を決めた。
今度は、中国の投資家が似たような愚行に手を染める番だ。
中国企業は今、世界に打って出ることを促す「走出去」という中国政府の通達の実現を追求しているが、驕りたかぶって独りよがりな自己欺瞞の才能にかけては、少なくとも欧米の投資家たちに引けをとらないことが明らかになりつつある。
2015年半ば以降、400億ドル近い中国のM&A(合併・買収)計画が葬り去られた。
安全保障と競争の面から各国政府が懸念を募らせていることが主な原因だ。
この数字には、半導体製造装置メーカーの独アイクストロンに対する6億7000万ユーロの買収提案は含まれていない。
ドイツ政府は10月、「これまで把握していなかった安保関連の情報」を入手したことで、先に出していた承認を撤回した。
中国勢のM&Aが承認された後であっても、大々的な問題勃発に至ることがある。
往々にして、デューデリジェンス(資産査定)の欠如がその原因だ。
中国有数の富豪である不動産王の王健林氏は今年、スペインのニュースサイト「ペリオディスタ・デジタル」に対し、フランコ時代から存続するマドリードの象徴的なビル「エディフィシオ・エスパーニャ」を2014年に2億6500万ユーロで取得した後、「犬のような扱いを受けた」と語ったと報じられた。
同氏の率いる大連万達集団(ワンダ・グループ)は、その発言を否定している。
だが、文化財として保護されている25階建てのビルを解体・再建する同社の計画の申請をマドリード市当局が却下したとき、王氏の怒りを隠す術はなかった。
同氏は今年、国営テレビで「もう2度と投資しない」という脅しを口にしながら、この論争が教訓になったと語った。
建設許可は海外投資に先駆けて取得すべきだというものだ。
ワンダ・グループは今、このビルを売却している。
中国自身の企業文化は、欧米企業と協力する習慣という意味で多くを与えてくれない。
トップが常に、長を意味する「總」として知られる国において、企業のヒエラルキーに対する極端な敬意は息が詰まるような環境を生むことがある。
最高経営責任者(CEO)が海外M&Aについてすべての決断を下すことにこだわる場合は、特にそうだ。
厳格な服従は、現場のチームからの意見を妨げ、デューデリジェンスと現地の知識、文化的な理解における弱点を悪化させることがある。
こうした状況すべてが、コンサルティング会社ボストンコンサルティンググループ(BCG)の調査によると中国企業の海外買収の約3分の2が問題に突き当たるという事実を説明する一助になる。
中国の複合企業、中国中信集団(CITICグループ)は、現地パートナーのクライブ・パーマー氏との長引く法的論争の後、オーストラリアの鉄鉱石プロジェクトで25億ドルの評価損を計上した。
パーマー氏は公の場で、中国人のことを「ろくでなし」、「自国民を撃つ卑劣な奴ら」などと批判した。
同氏は後に、この発言について謝罪している。
また、寒々とした経験は、中国政府が外交上先鞭をつけた国では事業が比較的安全だという一部投資家の前提を覆している。
中南米とアフリカの一部では、中国が出資する巨大プロジェクトが相次ぎ放棄されている。
政治的な事情の変化と財源の減少の犠牲者だ。
胡錦濤・前国家主席が接近した西アフリカのガボンは、両国関係の冷え込みを受け、ベリンガの鉄鉱石鉱床を開発する35億ドル規模の中国プロジェクトを廃止した。
中国から650億ドルの開発融資を受けたベネズエラでは、資金不足のために、総工費8億ドルの高速鉄道建設などのプロジェクトが障害にぶつかった。
そうした災難に見舞われた投資の規模のせいで、海外の中国人投資家は不運か不注意か、その両方であるように見える。
それと比較すると、「中国の夢」が潰えてバスなどの外国企業が見舞われた屈辱は、懐かしい趣があるように見え始めてきた。
By James Kynge
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』
現代ビジネス 2016/11/04
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50120
ドイツと中国、高まる不協和音
〜金の切れ目が縁の切れ目か?
狸と狐の化かし合いが始まった
■中国の怒り
中国とドイツのあいだが、いつになく緊張している。
11月1日、ドイツのガブリエル経済エネルギー相が、5日間の予定で中国へ飛んだ。
財界の大物を引き連れての訪中は、いつも通り。
初日、経済会議の大会場には両国の国旗が立てられていた。
楕円形に並べられたテーブルには、両国の100人近い政治家と財界人が勢ぞろいして、今か今かとガブリエル氏と高虎城(こうこじょう)商務部部長の現れるのを待っていた。
しかし、二人はとうとう現れず、会議は、同副部長の音頭により、主役抜きで始まった。
二人の欠席の公式の理由は、その直前の、昼食における会談が長引いたため。
真相は、高氏が会議出席を拒絶し、ガブリエル氏も欠席したということらしい。
前代未聞の異常事態である。
ガブリエル大臣は、会議を欠席後、予定通り、李克強首相と会談したが、その握手の映像はなんとも不穏な雰囲気。
李首相はニコリともせずに手を差し出し、“怒り"を演出している。
中国の政治家は役者である。
中国が何に対して怒っているかというと、ドイツが、中国のドイツでの投資を妨害していることに対してである。
具体的な例を挙げれば、最近、中国のFujian Grand Chip社のドイツのアイクストロン(Aixtron)社の買収に、ドイツ政府がギリギリになって「待った」をかけたこと。
審査のやり直しを命じた裏には、アメリカの圧力があったらしい。
アイクストロン社は、有機金属化合物半導体用MO-CVD装置を手がける世界的企業だ。
アメリカは、同社のハイテク技術が、中国の軍需産業の手に渡ることを嫌ったという。
現在、審査のやり直しが命じられている買収の話は他にもあり、ガブリエル経済相曰く、
「ドイツの最重要テクノロジーは、保護されなければならない」。
というのも、
実は、ここわずか数ヵ月の間に、他のEU国では例がないほど多くの、しかも、重要なテクノロジーを持つドイツ企業が、中国の手に渡ってしまっている。
8月、ドイツの最新鋭のロボットメーカー、KUKA社が中国に買収され、これによりドイツ側は急激に危機感を深めたようだ。
■ドイツの豹変
中国が怒っている理由は他にもある。
それは、最近のドイツにおける中国に関する報道だという。
実は、その前日10月31日に、ドイツ公使が中国の外務省に呼び出されていた。
それだけでもかなり憂慮すべき事態だが、中国側がドイツ公使に抗議したのが、この中国報道であるという。
確かにここ1年、ドイツでの中国報道は目を瞠るほど変わった。こ
れまでは、商売がことのほかうまく進んでいたこともあり、中国の不都合な点はうまく包み隠されてきたが、最近は、中国の矛盾や犯罪や人権無視がかなりの頻度で報道されるようになった。
よく「金の切れ目は縁の切れ目」というが、ドイツの豹変は、結構シビアだ。
最近の中国に関する報道では、ドイツの赤字空港を買収しようとした中国のインチキ会社の話が記憶に新しい(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49133)。
また、アフリカで象牙を取るために象を殺しているのも、サンゴを密漁しているのも、これまでは「東アジアのある国」だったが、いつの間にか「中国」に変わった。
これらが、中国は気に入らないらしい。
中国が怒っている理由はまだある。
中国は2001年、WTO(世界貿易機関)に加盟した。
WTOとは貿易を促すことを目的とし、それに関する様々な国際ルールを決めている機関だ。
中国が加盟した当時、15年後(つまり今年)には中国を正式に「市場経済国」の仲間に入れるということが決められた。1
5年あれば、中国市場も西側諸国と同じルールを共有できるようになるだろうという希望的観測が元になっていた。
その期日が今年の12月。
ところが5月にEU議会は、中国を市場経済国とするのは時期尚早であるという採択をした。
EUにしてみれば、市場を十分に開放していない国を市場経済国として認めてしまうと、いろいろと不利益を被ることになる。
中国にしてみれば、しかし、これはEUの約束違反だ。
しかも、かつて太陽光パネルのダンピングでEUに制裁をかけられそうになった時、果敢に助けてくれたドイツが、今回は助けてくれないことに、大きな不満を覚えている。
■不公平な“経済国家主義"
もっとも、今では、ドイツ側にも言いたいことはたくさんある。
ガブリエル経済エネルギー相の訪中の前日(10月31日)、ドイツの第二テレビのオンラインニュースに出た記事のタイトルは、「訪問前の不協和音 中国:ガブリエルの長いリスト」。
つまり、苦情のリストであるが、その内容は簡単だ。
中国が、中国に進出する外国企業に対していかなる無茶を強いているかということ。
要するに、日本企業なら、すでに百も承知の話である。
私は、これまでドイツでそれらがあまり話題にならなかったのは、中国がドイツ企業に対しては、お手柔らかに振舞っているのだろうと思っていた。
しかし、そうでもないのかもしれない。
ドイツメディアが中国批判を展開しなかったのは、主要な大企業がしっかり儲けていたからかもしれない。
ところが、一部その儲けに陰りがではじめた今、状況が変わった。
10月30日のWirtschaftswocheのオンライン版も、今回の訪中は、
「かつてドイツのための経済成長が祝福されたの空の下とはいえ、心地よい交歓だけとはいかないだろう。
すでに多くの係争材料が揃ってしまった」
と書いている。
ドイツ企業の苦情は、2年前から増え始め、今年になって急増したという。
中国で新法案が提出されたからである。
一部のメディアは、つい最近まで“アジアで一番大切なパートナー"と持ち上げていた中国の政策を “経済国家主義"とまで呼び始めた。
ドイツの変わり身は素早い。
ドイツ側の抗議は多岐にわたるが、その一つが電気自動車の開発部門。
新法案では、メーカーは製造だけでなく、開発にもライセンスが必要となるという。
中国では、外国企業は、中国企業と合弁しないで商売を展開することは難しいが、合弁の際、中国企業は、事業内容に関する十分な技術を持っていることの証明を義務付けられる。
つまり、ドイツのメーカーが中国で研究開発をする際、中国の合弁相手にすべてのテクノロジーを開示しなければライセンスがとれなくなる。
これをドイツ側は、強制的な技術移転であると非難している。
これについては、他の分野の企業も危機感を表明している。
しかし、新法は、外国企業が「自主的に」技術を開陳する仕組みになっており、WTOが定める強制の技術移転の禁止条項には引っかからないらしい。
また、新法案によれば、電気自動車のメーカーは、ある決められた期間内に、一定の数の自動車を中国で生産することを義務付けられる。
それができない場合は、マイナス点が課される。
マイナス点を消去するためには、中国のメーカーにお金を払って、プラス点を買う必要がある。
また、鉄道事業では、入札の際に点数システムが導入される。
中国企業は最初から10点をもらえ、合弁企業は5点、外国企業は0点から始めなければならない。つまり、不公平である。
■狸と狐の化かし合い
ドイツ企業、クノールブレムゼは、鉄道車両、トラック・バスなどのブレーキシステムの世界的大手だ。
すでに1920年代に、同社のシステムがヨーロッパの貨物列車向けのエアブレーキの技術標準となった。
トラックとトレーラーで、すべての車軸に同時にブレーキをかける技術も、同社が世界で初めて完成したものだ。
中国には、鄧小平が「改革開放」政策を推進したとき、真っ先に参入し、以来、中国の鉄道整備に貢献しつつ、どんどん間口を広げて商売を展開してきた。
しかし、今度導入される点数システムでは、新規の契約など夢見るだけになる可能性が高い。
同社の技術を中国はもう必要としていないのだろう。
日本人にとっては、すべて、どこかで聞いたような話である。
なお、食品や農作物を中国に出しているドイツの業者も打撃を受ける。
新しく計画されている検疫の規則によれば、飴玉でもクッキーでもしかるべき証明書が必要となる。
消費者保護よりも、輸入障壁を設けることが目的であろう。
また、製品コピーに関しては、そのやり方がどんどん大胆になっていく。
ドイツの紳士服メーカー、Hugo Boss(ヒューゴ・ボス)は、高級ブランドとして日本でも有名だが、中国で“Hugo Boss"のロゴの横に、小さく“sunwen"と書かれた製品が出回ったという。
Boss側が訴えたところ、香港の裁判所では、この商品は禁止されたが、中国では合法となった。
そこで、困った同社は、この商標を買い取るため、現在、オファー中だそうだ。
ただ、買い取ったところでそれが解決につながるかどうか?
この問題も、日本人にとっては、さして耳新しいことではないが。
駐中ドイツ大使、ミヒャエル・クラウス氏は、4ヵ月前に、工業情報相の苗圩(びょうう)氏宛で、これら不明点に言及した質問状を送ったが、未だに返事はないという。
そこで、「ドイツには中国以外のアジアオプションもある!」などと、タカ派の意見も出始めている。
中国の王毅(おうき)外相によれば、中国と産業国との間には、いまだに発展の度合いによる格差があるのだそうだ。
だから、「我が国が、産業国の基準で批判されることは納得できない」と言っている。
中国は、産業大国になったり、
発展途上国になったり、
豊かな国になったり、
貧乏国になったり、
変幻自在なのである。
ただ、私の考えでは、中国とドイツは、袂を別つには、すでにお互いに依存しすぎている。
そのうえ、両国とも、常に商売第一で行動する国なので、また何かのきっかけで儲かる話が浮上すれば、あっという間に蜜月に舞い戻る可能性は高い。
狸と狐の壮烈な化かし合いと思って見ていれば、間違いないだろう。
』
『
ロイター 2016年 11月 5日 11:10 JST
http://jp.reuters.com/article/china-yuan-outflows-idJPKBN12Z0B2?sp=true
焦点:人民元安があおる海外投資、
中国当局の「頭痛の種」に
[上海 2日 ロイター] -
中国政府は近年、人民元が突然急落する事態を防ぐために一連の資金流出抑制策を打ち出してきた。
地下銀行や投資手段としての側面が強い外国保険商品販売の取り締まり、中国企業による海外企業合併・買収(M&A)に対する審査強化、外貨購入制限などだ。
しかし資産運用各社は、依然として顧客の海外投資を合法的に実現する手段を見つけ出しており、人民元の安定に留意している当局には頭の痛い問題となっている。
中国富裕層の資産管理を手掛けるクレジットイースの上海駐在マネジャー、Huang Qing氏は
「過去1年間、われわれは多くの顧客の資産をドル建てに移動させる手助けをしてきたが、最大のネックはどうやれば人民元を法律に則って海外に移せるかということだった」
と話す。
顧客の欧米不動産購入を支援するクレジットイースは、最低投資額を15万ドルに設定している。
だが当局は個人の外貨購入を年間5万ドルまでしか認めていない。
そこでHuang氏は
「最低投資額達成のためには、顧客の家族すべての5万ドルの割り当て枠を利用しなければならなかった。
このやり方こそ、われわれが知恵を絞ってひねり出したものだ」
と胸を張った。
実際、そうした努力は実を結びつつある。
今年4月以降、クレジットイースは2本のドル建て不動産ファンドに中国の投資家から集めた資金は3億ドルを超え、現在は3本目を立ち上げているところだ。
この手の動きがドル買い需要を拡大させて人民元の下げ圧力になっており、10月28日には人民元の対ドル相場が6年ぶりの安値に沈んだ。
中国当局によると、1─9月の個人と企業の外貨購入額は、4659億ドルを記録した昨年からはペースダウンしているとはいえ、2434億ドルに達した。
金融機関は、最近の人民元安を顧客に海外投資を促す好機として利用している。
資産運用会社ジュパイ・ホールディングス(JP.N)は、メッセージアプリ「微信」に掲載した広告で、
「攻撃は最大の防御だ。
ドル建て資産投資は、人民元安リスクに対する実効性のあるヘッジになり得る」
とうたった。
中国政府は口先介入などを通じた人民元の先安観払しょくに躍起だ。
国家外為管理局(SAFE)の報道官は10月21日の会見で、最近のドル高は夏の旅行需要といった季節要因が主導していると指摘。
10月19日付の共産党機関紙、人民日報は、元安/ドル高は主にドルが強いためだが、元が一方的な下げ局面に突入していることは意味しないと強調した。
実際の海外資金移動への締め付けも強化し、カード決済サービス最大手の中国銀聯(チャイナ・ユニオンペイ)は10月31日、本土の顧客がデビットカードやクレジットカードを使って香港の保険商品を購入する際のルールを厳格化した。
それでも市場はまだ深刻にはとらえておらず、今後中国当局の「本気度」が試されるとの見方が多い。
中国人の対米投資を支援するYuwo Capitalのある幹部は、足元で顧客からの問い合わせが増加しており、一部は人民元の下落懸念を理由に米国への投資計画を進めていると語った。
クレジットイースのHuang氏は、自身が外資系銀行で働いていた2006年と今では状況が正反対になっていると指摘。
当時は人民元高が続く中で、顧客は資本規制のために人民元建て資産に100万ドルを投資するのに丸1年要していたという。
(Samuel Shen、John Ruwitch記者)
』
【身勝手な大国・中国】
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