2016年10月12日水曜日

日銀の保有国債、400兆円初突破:企業「内部留保」377兆円 

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朝日新聞デジタル 10月11日(火)21時17分配信
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 日銀の保有国債、400兆円初突破 黒田緩和で3倍超増

●日銀の国債残高が400兆円を突破した

 日本銀行が保有する国債の残高が7日時点で初めて400兆円を突破した。
 2013年4月に大規模緩和を開始し、大量の国債を銀行などから買ってお金を流している。
 保有額は3年半で3倍超に増え、発行額の4割近くに達する。
 緩和で国債の低金利が続き、発行は増えている。
 事実上は日銀が政府の借金を引き受ける「財政ファイナンス」だとの指摘が強まっている。

 日銀が11日まとめた「主要勘定」で明らかになった。
 大規模緩和前の保有額は約130兆円。
 黒田東彦(はるひこ)総裁就任後に買い入れが加速した。
 当初は保有が年50兆円増えるペースで買い、14年10月に80兆円増へ上積みした。政府の毎月発行額の多くを買っている形だ。

 日本の債務残高は先進国で最悪の水準だ。
 国債の発行残高は約1100兆円で、日銀保有分は4割近く。
 18年に5割を超えるとされる。
 日銀は国債を買ってお金を流し続けても「物価上昇率2%」を達成できず、政策の軸足を長期金利の操作へ移した。
 一方で国債保有を増やす政策も続ける。
 みずほ総合研究所の野口雄裕氏は
 「国の借金の多くを日銀が引き受けている状況で、すでに財政ファイナンスに近い」
と指摘する。


【資料】

財政ファイナンスとは
http://www.ifinance.ne.jp/glossary/japan/jap130.html

財政ファイナンスは、「国債のマネタイゼーション(国債の貨幣化)」とも呼ばれ、国(政府)の発行した国債等を中央銀行が直接引き受けることをいいます。
これは、中央銀行が政府に対して、マネー(資金)をファイナンス(供給)することであり、政府の厳しい財政状況において、財政赤字の拡大や穴埋めの支援策として、中央銀行が直接協力することを意味します。

一般に財政ファイナンスを行うと、その国の政府の財政節度を失わせると共に、中央銀行による通貨の増発に歯止めが掛らなくなって、
悪性のインフレ(ハイパーインフレ等)を引き起こす恐れがあり、そうなると、その国の通貨や経済運営そのものに対する国内外からの信頼も大きく損なわれるため、先進各国では、財政ファイナンスを制度的に禁止しています。

現在、日本においても、「国債の市中消化の原則」と呼ばれるものがあり、財政ファイナンスと見なされる恐れのある、日本銀行における国債引き受けは、財政法第5条によって原則として禁止されています。
ただし、金融調節の結果として保有している国債のうち、償還期限が到来したものについては、「財政法第5条(ただし書き)」の規定に基づき、国会の議決を経た金額の範囲内に限って、国による借換えに応じています。



毎日新聞 11/6(日) 11:24配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161106-00000017-mai-bus_all

<内部留保>増え続け377兆円 
賃上げ、投資 迫る政府




●企業の内部留保の推移

 企業が蓄えたもうけを示す「内部留保」が増え続けている。
 財務省の法人企業統計によると、2015年度は377兆8689億円と前年度から約23兆円増加し、4年連続で過去最高を更新した。
 アベノミクス効果をアピールしたい政府は、来年の春闘もにらんで賃上げなどに回すよう迫っているが、企業側は慎重だ。

 内部留保とは次の通りだ。
 企業は毎年の決算で、製品やサービスの売上高から、人件費や原材料費、借金の利払い費、法人税などを差し引く。
 残ったお金が1年間のもうけとなる「最終(当期)利益」だ。
 ここから株主への配当などを支払い、
 最後に残ったお金が内部留保として毎年積み上げられる。
 正式な会計用語ではないが、企業の財産や借金の内容を示す
 貸借対照表(バランスシート)で「利益剰余金」
と記載される金額を指す場合が多い。

 15年度の法人企業統計は約276万社(金融・保険業を除く)の利益剰余金を算出した。
 内訳は製造業が131兆8841億円、
 非製造業が245兆9848億円
 企業規模を示す資本金別では、10億円以上の約5000社で約182兆円とほぼ半分を占める。

◇:景気停滞へのいら立ち背景

 積み上がる内部留保に政府は不満を募らせている。
 石原伸晃経済再生担当相は
 「経済を成長軌道に乗せるには、内部留保を設備投資や賃金の増加につなげることが重要だが、十分そうなっていない」
と主張する。
 背景には景気停滞に対する政府のいら立ちがある。
 今年4~6月期の国内総生産(GDP)は、物価変動の影響を除いた実質が前期比0.7%増(年率換算)にとどまった。
 主因は個人消費と設備投資の低迷だ。
 大企業は今年の春闘で3年連続の賃上げを実現したが、伸び率は鈍化し、4~6月期の個人消費は0.2%増と低調だった。
 設備投資は0.1%減に沈んだ。政府は「アベノミクスによる円安効果や法人税減税で企業はもうけを増やしたのに賃上げや投資に回していない」とみている。

 ただ、企業は内部留保をまるごと現金でため込んでいるわけではない。
 工場建設や海外企業買収などに充てており、内部留保は現金ではなく、工場や株式などに姿を変えた形でも存在する。
 法人企業統計によると、企業が持つ現金と預金は15年度に約199兆円と内部留保全体の半分強だ。

 内部留保の使い道を正確に把握するのは難しいが、財務省の国際収支統計によると、日本企業が海外企業の買収などに投じた額を示す対外直接投資は15年度に16.8兆円と過去最高に達した。
 アベノミクスが本格化する前の12年度(9.7兆円)から大幅に増え、もうけを海外への投資に注ぐ姿がうかがえる。
 また、15年度の現金と預金は前年度より約14兆円増えたが、経済界は
 「企業(全体)の運転資金の1.6カ月分。
 適正範囲を超えた水準ではない」(経団連の榊原定征会長)
と主張している。
 運転資金とは人件費や原材料費など日々の生産・販売活動を賄うお金。
 経営環境が急変した場合に備え、いつでも使える現金や預金をある程度手元に置く必要があり、多すぎるわけではないという説明だ。

 だが、政府は納得しておらず、賃上げ圧力を強める方針。
 安倍晋三首相は「経済界全体に賃上げの動きが広がることを期待する」と述べており、経済界代表も交えた働き方改革実現会議などで迫るとみられる。

◇:円高に人口減 経済界は慎重

 経済界は大幅な賃上げには消極的だ。
 最近の円高で企業のもうけが減っているためだ。
 消費の停滞に関しては「医療など社会保険料の負担増が消費者の節約志向を強めている」とみて、政府に社会保障費の抑制を求めている。
 また、設備投資については「人口減少が進む日本国内への投資拡大は難しい」との声がある。

 政府内では「内部留保に課税し、企業が賃上げや投資に回さざるをえない仕組みを作るべきだ」(経済官庁幹部)との強硬論もくすぶる。
 一方、経済界には
 「政府は民間の経営判断に介入せず、少子化対策の加速や規制緩和の推進など企業が投資しやすくなる環境の整備に徹すべきだ」
との意見もあり、せめぎ合いは続きそうだ。




【身勝手な大国・中国】



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