2016年10月17日月曜日

北方領土問題で急接近するロシアと日本(3):共同統治案 、そんなものありえようがない

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● NNNニュース


●JNNニュース

 「共同統治案 」なんてどこから出てくるのだろう。
 そんなものありえようがない。
 ガキの思考でもわかることである。
 今回は双方が歩み寄るということで進んでいる。
 共同統治とは歩み寄りがないということあるなら、これまで通りの「棚上げ」で終わるだろう。
 政府が意図的にアドバルーンを上げている可能性が高い。
 意見を沸騰させておいて、すでに決められたおとしどころに誘導するという手法である。
 「2島先行返還2段階論」やこの「共同統治論」などはどうも政府がたずなを握ってのきな臭ささがある。
 今回の交渉は北方領土問題はどこに国境を画定するか、という一語につきる。
 国境が画定しなければ平和条約はありえない。
 上記の2案にはその基本中の基本が見当たらない。
 ということは、この2案はありえないということである。
 
 『落とし所が無い限り、落ちない』
というのが正直なところだろう。



2016/10/17 2:19日本経済新聞 電子版
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS16H5M_W6A011C1PE8000/

日ロ双方、譲歩探る 北方領土に共同統治案 

 日本政府が北方領土問題の打開のため検討している共同統治案は、日ロ双方の従来の主張を維持したまま「引き分けによる解決」(プーチン大統領)を探るぎりぎりの方策といえる。
 共同統治下でロシア側にどの程度、施政権を認めるかにより、現状追認になるリスクもはらむ。
 共同統治の前例は少ない。
 実現に向けた課題は多く、交渉は長期化する可能性もある。

 日本政府は北方領土問題を巡り、4島の帰属に関する問題を解決して平和条…

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ロイター 2016年 10月 17日 12:19 JST
http://jp.reuters.com/article/suga-russia-idJPKBN12H06Y

ロシアとの北方領土の共同統治、全く考えていない=菅官房長官

[東京 17日 ロイター] - 菅義偉官房長官は17日午前の会見で、日ロ両政府による北方領土の共同統治について、全く考えていないと語った。

 17日付の日本経済新聞は、日本政府がロシアとの北方領土問題の打開策として日ロ両国による共同統治案を検討していると伝えていた。

 菅官房長官はこの報道について「そうした事実はない」と否定。
 「(北方)4島の帰属問題を解決し、平和条約を締結する。
 その従来方針にまったく変わりはない」
と述べた。

 16日に行われた新潟県知事選挙で、原発再稼働に慎重な姿勢を示す米山隆一氏が当選し、与党候補が敗北したことについては「新潟県の有権者が選んだ結果だ」と述べるにとどめた。
 原発の再稼働については
 「安全最優先のなかで、原子力規制委員会の新基準に適合すると認められた場合のみ、その判断を尊重し、地元の理解をいただきながら再稼働していく考えに変わりはない」
との考えを示した。

 今回の選挙結果が今後の国政選挙や解散戦略に与える影響については「全くない」との見方を示した。



時事通信 10月18日(火)7時17分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161018-00000017-jij-int

ロシア、2島で幕引きも
=プーチン氏の姿勢一貫―日ソ共同宣言60年

 【モスクワ時事】
 日本とソ連(当時)が、平和条約締結後に北方領土の歯舞群島と色丹島の2島を引き渡すことを明記した日ソ共同宣言に署名して19日で丸60年を迎える。

 「引き分け」による領土問題の解決を目指すロシアのプーチン大統領は「両国が署名・批准した唯一の文書」と共同宣言を重視する姿勢で一貫。
 安倍晋三首相が「新しいアプローチ」で譲歩を示唆する中、ロシア側は2島返還で事実上の幕引きを図りたい考えとみられる。

 ◇影落とす歴史認識

 1956年10月、当時の鳩山一郎首相ら日本政府代表団は、モスクワの外務省迎賓館を交渉の拠点とした。
 今月13日、ここで12月のプーチン氏訪日を前に日ロ戦略対話が開かれ、杉山晋輔外務事務次官は
 「平和条約がない異常な状況が続いており、早期解決の必要がある」
と訴えた。

 プーチン氏は9月、記者団に
 「ソ連は長く粘り強い交渉の結果、日ソ共同宣言に署名した。
 そこには2島を引き渡すと書いてある」
と改めて強調。
 国後、択捉2島は交渉の対象外とする考えを示唆した。
 対象内の歯舞、色丹2島については、引き渡し方法や日ロどちらの主権に属させるかが検討課題だと述べた。

 プーチン氏の持論は、2島からロシア側がさらに譲歩する「2島プラスアルファ」どころか、2島返還にさえ条件を付けるものだ。

 ザハロワ外務省情報局長も
 「(四島は)第2次大戦の結果、ロシアに帰属しており、ロシアが主権を持つことに疑問の余地はない」
 「平和条約締結問題の進展に向けた前提条件は、日本が大戦後の領土を含む現実を認めることだ」
と主張した。
 日ソ中立条約を無視したソ連の対日参戦を不法と見なすかどうかという歴史認識も影を落とし、問題を複雑にしている。

 ◇先行返還論に熱

 事態を打開すべく、安倍首相は5月のソチでの首脳会談で、平和条約締結に向けた新しいアプローチを提唱。
 プーチン氏に、経済分野など8項目の協力プランを提示し、全面的な日ロ関係の発展と、首脳間の信頼に基づく領土問題の解決に強い意欲を示した。
 両首脳はファーストネームで「君と僕」の間柄で呼び合い、9月のウラジオストク会談に続き、11月にペルーでも政治対話を重ねる。

 ロシア側には、プーチン氏の訪日時に領土問題で合意に達しなくても「今後の交渉の進め方やガイドラインで合意することは可能」(識者)と冷静に見る向きもある。

 一方、日本側ではこのところ「2島先行返還論」が再び熱を帯び、世論調査でも容認する意見が5割近くに上っている。
 しかし、仮に歯舞、色丹2島が返還された場合も、ロシア側が残る国後、択捉2島の交渉継続に応じる保証はない。
 「平和条約が締結されれば、領土問題は終わり」(外交筋)という声も出ている。 


 ロシアが2島返還に固執する限り、今まで通りで推移していくだろう。
 当然、平和条約も経済交流も進まない。
 何も変わらぬ状態が、あと70年続くことになる。
 いままで通りならそれでいいだろう
というのが日本の本音でありロシアの本音というところだろう。
 強いて交渉などする必要もない
ということでもある。
 政治家がポイントを上げたいためのパフォーマンスならやめて欲しいところでもある。


ロイター  2016年 10月 19日 02:09 JST
http://jp.reuters.com/article/idJP2016101801002135

北方領土日本帰属確認こだわらず

 安倍政権は、ロシアが「北方領土は日本に帰属する」と認めないままでも、領土が戻るなら平和条約を締結する方向で検討に入った。
 領土移転が実現する場合、
 「ロシアが不法占拠している」との日本側の主張を前提とする「返還」でなく、
 譲渡を意味する「引き渡し」と位置付けられる公算が大きい。
 日本帰属確認にこだわらず交渉方針を見直し、新たな解決策を模索する。
 複数の日本政府関係者が18日、明らかにした。

 日本は従来、ロシアによる帰属確認を条約締結の条件としていた。
 だが「第2次大戦で取得した正当な領土」とするロシアに歩み寄らなければ、協議は進まないとの判断に傾いた。




● NNNニュース



Bloomberg 10月20日(木)6時0分配信
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-10-19/OF8ECW6KLVR501

安倍首相:プーチン氏とのトップ外交に強い意欲
-北方領土問題解決

 日本と旧ソ連が共同宣言に署名し、国交を回復してから19日で60年を迎えた。
 プーチン・ロシア大統領の12月来日に向けて北方領土問題の進展への期待が高まる中、安倍晋三首相は任期中の解決に強い意欲を示している。

 「今を生きる世代としてこの問題を解決していくという強い決意を持って臨みたい」-。
 安倍首相は17日の衆院環太平洋パートナーシップ協定(TPP)等に関する特別委員会で、北方領土問題と平和条約締結交渉の前進に取り組む意欲を示した。
 プーチン氏には
 「お互いに責任感持って自分たちのときに解決しようという強い意志を持って交渉進めていこう」
と呼び掛け、基本的に「同意してもらったと思う」とも述べている。

 首相は2006年から07年の第1次政権と合わせるとプーチン氏と14回の首脳会談をこなしてきた。
 外務省によると、今年5月にロシア・ソチで行った首脳会談では、双方に受入れ可能な解決策の作成に向け,今までの発想にとらわれない「新しいアプローチ」で,交渉を精力的に進めていくとの認識を共有した。
 11月にはアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会合が開かれるペルー、12月15日には首相の地元選挙区内の山口県長門市で会談する。

◆共同統治案

 国後、択捉、歯舞、色丹の4島は第2次世界大戦末期に旧ソ連軍が侵攻し、そのまま占領した。
 日本政府は4島は固有の領土であり、帰属の問題を解決した上で平和条約を締結する姿勢をこれまで示してきた。
 56年の日ソ共同宣言では、歯舞・色丹については平和条約の締結後、旧ソ連が日本に引き渡すことで同意した経緯があり、新党大地の鈴木宗男代表(元衆院議員)らは2島の先行返還を唱えている。

 17日付の日本経済新聞朝刊は、日本政府がロシアとの北方領土問題の打開策として共同統治案を検討していることが分かったと報道。
 歯舞・色丹は日本に返還し、国後・択捉は共同統治とする案を軸に調整に入りたい方針との内容だ。
 菅義偉官房長官は同日の記者会見で、「そうした事実はない」と否定。
 8日の会見では、2島先行返還で交渉を進める可能性についても「そうしたことはない」と述べた。
 政治評論家の浅川博忠氏は、12月の首脳会談が安倍首相の地元で行われることから、
 「成果の挙がらないような話し合いをするということはあり得ない。
 それなりに安倍さんの立場や顔が立つような話し合いになると思う」
とみている。

■2島プラス

 テンプル大学日本キャンパスのジェームズ・ブラウン准教授は、安倍首相の戦略について4島全て返還にこぎつけるのは難しいと分かっているため、2島返還プラスの成果を目指しているのは明らかだと話す。
 「問題はそのプラスが何かで、これはまったく分からない。
 いろいなアイデアを探っているようだ」
と指摘、
 「このことは双方の距離がかなり離れていることを示しているのではかとみている」
と述べた。

 仮に北方領土で実質的な前進がなかった場合でも混迷を避けるために、両首脳は12月の会談では何らかの発表をする必要がある、とブラウン氏もみている。

 プーチン大統領は9月、ブルームバーグのインタビューで北方領土問題について
 「われわれが話し合っているのは、一部の交換や売却ではなく、いずれの側も負けたとか、あるいは敗者だとか感じないような解決策を見つけるということだ」
と指摘した。



ニューズウイーク 2016年10月21日(金)10時30分 河東哲夫(本誌コラムニスト)
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/10/post-6081.php

プーチンの思うつぼ? 北方領土「最終決着」の落とし穴
<日ロ首脳会談を前に出てきた「2段階」返還論。
領土の安易な譲歩と焦りにほくそ笑むのは「おそロシア」?>

 ロシアのプーチン大統領の12月来日を前に、北方領土問題の落としどころについて論議がにぎやかだ。
 やれ歯舞、色丹の2つだけでいい、やれ国後、択捉は共同開発ができれば十分等々、「捕らぬたぬき」そのものだ。

 日本を取り巻く大国間の力関係、そして日ロの国内情勢をよく見るならば、領土問題を今すぐ最終解決できないことは、誰でも分かる。
 だからと言って島を放り出したり、ロシアと敵対したりしてはいけない。
 大事なのは、領土問題を「時効」に持ち込ませないこと、そして対ロ関係で日本のためになるものは活用することを肝に銘じつつ、前向きに付き合っていくことだ。

 「おそロシア」とか言って食わず嫌いの日本人が多いロシアは、日本のすぐ隣のヨーロッパだ。
 成田から飛行機で2時間強のウラジオストクは日に日に整備され、生活も落ち着いている。

【参考記事】プーチンをヨーロッパ人と思ったら大間違い

 日ロ両国にとって関係増進はプラスとなる。
 ロシアは人口わずか600万強の極東部の経済を強化し、東北部だけでも人口1億以上を抱える中国に席巻されるのを防ぐことができる。
 日本も対ロ関係を良くしておけば、ロシアが中国と束になってかかってくるのを防げる。

 日本はよく、「腹に一物持ったままでは本当の友人にはなれない」という人間関係の原則を国と国の関係にも適用する。
 ロシアと友好関係を結ぶためには「小さな島のことなど忘れろ」とまで言う人がいる。
 しかし、国と国の関係は人間関係とは違う。
「腹に一物持ったまま手を握る」のは、古今東西当たり前のこと。
 中央アジアなどでは、友好国同士、今でも国境の画定交渉を延々と続けている。

 日本が北方領土返還要求を捨てずとも、ロシアは日本との友好関係を対中カードとして使えるし、中国より払いのいい日本に石油やガスを輸出したがっている。
 日本が国後、択捉を諦めたところで、ロシアはいつも日本の肩を持つわけでもない。

■「対米自主路線」の矛盾

 「日本は戦後、歯舞、色丹の返還だけでソ連と平和条約を結ぼうとした。だが日ソ友好を警戒したアメリカが日本に国後、択捉も要求させた。
 冷戦後の今、アメリカの圧力はもはやない」という議論がある。
 これは対米自主路線に見えてそうではない。
 自国領の返還を要求するのに、アメリカの意思を忖度するなど、対米依存の骨頂だ。
 国後、択捉は19世紀半ばに日ロが国交を樹立した際に日本領と認められた。
 それ以来、1945年のソ連軍占領や47年の日本人住民の強制追放まで一貫して日本の実効支配の下にあった。
 日本はアメリカに言われたからではなく、自分のものだから返還要求をしているのだ。
 自国の領土を安易に譲る国家は世界で相手にされない。
 日本の場合、尖閣諸島、竹島だけでなく、沖縄にさえ手を伸ばしてくる国が出てくるだろう。

 領土問題は、常に「交渉を進めている」状態に維持しておく必要がある。
 でないと、相手の実効支配を黙認した格好になり、法的に不利になる。
 ロシア本土でインフラなどを両国が50対50の負担で建設したりして、ロシアをいつも引き付けておくことも必要だ。

【参考記事】盛り土は気になるけど、北方領土もね!

 共同開発するにしても、ロシアの実効支配を認めるべきではない。
 起こり得る刑事・民事上の係争をロシアの官憲がロシア法で裁くのをのんではいけないし、開発に当たっては日本人旧島民の地権も考えねばならない。

 「最初に歯舞、色丹返還。次に国後、択捉の返還交渉」という2段階論は非現実的だ。
 ロシアは歯舞、色丹返還で最終決着だ、と主張するだろう。
 プーチン政権は、日本が考えるほど世界で孤立もしておらず、経済が崩壊間際でもないので、手ごわい。

 安倍政権は民進党内の足並みが乱れている今、「領土問題での成果」がなくても総選挙を打てる。
 12月のプーチン訪日で重要なのは、領土問題の最終的解決を焦ることなく、「日ロ関係と領土問題解決を前向きに進めていく枠組み」をしっかり、じっくり合意することだろう。

[2016年10月25日号掲載]
 』


現代ビジネス 2016/10/22 歳川 隆雄ジャーナリスト
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50027

北方領土問題、最も現実的な着地点はこれだ!
日露両首脳は"一発勝負"に出るか
 
■北方領土の共同統治は本当か

 1956年10月19日の日ソ共同宣言調印60年を控えた同17日、東京・狸穴の在日ロシア大使館2階の大ホールで日本・ロシア協会(会長・高村正彦自民党副総裁)と在京ロシア大使館(エヴゲーニー・アファナシエフ駐日大使)は、午前と午後の2部に分けて会合と各種イベントを催した。

 日本側は高村正彦副総裁を筆頭に、今や一番の旬の大臣である世耕弘成経済産業・対露経済協力相、60年前にモスクワで日ソ共同宣言に調印した鳩山一郎首相(当時)の孫の鳩山由紀夫元首相、クレムリン(大統領府)にアクセスがある鈴木宗男新党大地代表、外務省の杉山晋輔外務事務次官などが出席した。そして、安倍晋三首相はメッセージを寄せた。

 ロシア側はアファナシエフ大使以下、アレクサンドル・パノフ元駐日大使、ミハイル・ベールイ前駐日大使ら歴代大使揃い踏みだった。さらに外務省関係者の注目を集めたのは、5月7日のソチ、9月2日のウラジオストクでの日露首脳会談でプーチン大統領の通訳を務め、9月中旬に東京に着任したイーリ・サプリン駐日参事官であった。

 サプリン参事官は、もちろん11月19日のペルーの首都リマで開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の際に行われる安倍・プーチン会談、12月15日に山口県長門市の「大谷山荘」で行われる安倍・プーチン会談でも大統領の通訳を務める。

 ちなみに日本側の通訳・J氏(所属と名前は「厳秘」扱いになっている)もまた、ソチ、ウラジオストクに続き首相の通訳を務める。

■歯舞・色丹の2島を先行返還?

 この日の会合とイベントで存在感を示したのは、「宗さん」こと鈴木宗男氏とその娘の貴子衆院議員の2人だった。

 『毎日新聞』(10月19日付朝刊)が「ロシアに人脈を持つ鈴木氏の協力を得るため、首相は昨年末以来7回にわたり、意見を交わしている」と報じているように、安倍首相から相談を受けていると強い自負を抱く鈴木氏の周りには常に人の輪ができていた。

 と同時に出席者の話題は、その日の『日本経済新聞』(朝刊)が一面トップで「北方領土に共同統治案―政府、日ロともに主権行使―12月首脳会談で協議探る」と報道したことに終始した。同報道について、外務省サイドは杉山次官、秋葉剛男外務審議官(政務)、林肇欧州局長、徳田修一ロシア課長すべてが全面否定である。

 同紙報道を筆者なりに咀嚼すると、歯舞・色丹・国後・択捉の北方4島の帰属を巡る交渉は引き続き協議するとして、歯舞・色丹の2島は先行返還し、当面は国後を共同統治するということではないか。
 同紙には「共同統治を導入した際の施政権の行使」と書かれていたが、国際法の用語だと「施政権」(administration)ではなく「管轄権」(jurisdiction)である。

 そして管轄権には、立法管轄権、執行管轄権、司法管轄権の3つのカテゴリーがある。
 施政権は信託統治における立法・司法の支配のことだが、管轄権は公的権限のよって支配することで権限がはるかに大きい。

 従って、日本が管轄権を確保することを条件に
 歯舞・色丹・国後の3島を日露共同統治の対象とする案
にリアリティがある
 何故ならば、択捉は実態的に軍事基地化しており、ロシアが引き渡す(返還する)ことはあり得ない。
 日露首脳会談で「共同統治案」合意まで行き着くのは簡単ではない。

 だが、12月15日の安倍・プーチン会談はノートテイカー(記録係)も同席しない双方通訳のみの「テ・タテ」になり、両首脳が“一発勝負”に出る可能性はゼロではない。



ニュースソクラ 10月26日(水)15時40分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161026-00010000-socra-pol

北方領土、日本で交渉内容を知っているのは安倍首相だけ

■プーチン大統領が徹底した情報統制

 12月15日に行われる安倍晋三首相と、プーチン・ロシア大統領との会談が近づいている。
 ここで北方領土問題がどれだけ進展するのかは、政局にも大きく影響する。
 報道合戦も過熱気味だが、
 実は2人が何を話しているのか、日本では安倍首相しか知らないのだという。
 プーチン氏が徹底した秘密保持を求めているためだ。

 日本経済新聞は17日付朝刊一面で、日本政府がロシアとの北方領土問題の打開策として日ロ両国による共同統治案を検討していると伝えた。
 「帰属をめぐって対立する国後・択捉両島などで、日ロがともに主権を行使する手法」
であり、双方が従来の主張を維持したまま歩み寄れる可能性があるという内容だった。

 菅義偉官房長官は、この日の会見で報道内容について「そうした事実はない」と否定したうえで、
 「(北方)4島の帰属問題を解決し、平和条約を締結する。
 その従来方針にまったく変わりはない」
と一般的な説明をして終わった。

 日経だけではない。
 読売新聞は9月23日、
 「政府は歯舞群島、色丹島の2島引き渡しが、今後の日ロ交渉の最低条件とする方針を固めた」
と報じた。

 毎日新聞も 9月1日に
 「ロシアとの交渉で北方領土が日本に帰属するとの合意が実現すれば、既に北方領土で暮らすロシア人の居住権を容認すると提案する方針を固めた」
と報道している。

 それぞれ、日ロ両国が共に譲歩して、受け入れられる案を目指すという点は共通している。
 60年間、意見が食い違っていただけに、その線を探るしかないだろう。

 報道が出るたびに、日本政府は内容を否定しているが、交渉は完全に秘密里に行われているため、否定しても関連報道は収まるどころか、拡大している。

 北方領土問題は、1956年の日ソ共同宣言以降、60年間交渉が続きながら全く動かなかった「超難問」(外務省幹部)。
 交渉の成果を手に、安倍首相が来年早々衆院を解散総選挙に打って出るともみられているほどだ。
 どんな結果が出るのか、元島民だけでなく、国民的な関心を集めている。

 日ソ共同宣言は、両国間の戦争状態を終結し、国交を回復させることで合意。
 さらに北方4島の帰属をめぐり、歯舞、色丹を平和条約締結後に日本に引き渡すことを決めた。
 ただ日本は、国後、択捉の引き渡しも求め、主張が平行線をたどり、交渉は一進一退を続けてきた。

 それが安倍ープーチン両首脳の友好関係がテコになって動きそうな気配になっている。

 安倍首相は5月の日ロ首脳会談では、領土交渉を進展させるために「新たなアプローチ」で臨むことを提示し、経済協力を積極的に打ち出している。
 首相側近によれば、これまでの交渉の内容は、安倍、プーチン両首脳だけで決定している事項が多いという。

 会談は重要な部分になると、2人とロシア側の通訳の3人だけになる。
 プーチン大統領は情報機関KGB出身であり、情報漏洩、機密保持には特に厳しい。

 日本の外務省の通訳が入れば、米国に近い外務官僚から会談の中身がリークされると疑っているようだ。
 交渉関係者によればプーチン氏は、
 「私が会談で話したことが表に出れば、全てはご破算になる」
と安倍氏にクギを差しているという。

 これを受けて安倍氏も、サシの交渉内容は一切口にしていない。
 そのため、一連の報道内容について、事実なのか、日本側の案の1つに過ぎないのか、日本の誰も確実なことが言えないのだ。

 別の外務省幹部は
 「ロシア側には、日本の報道は全て間違い。気にしないで欲しいと伝えている」
と話す。
 そこまでして秘密を保ちたがるプーチン氏は、
 「歯舞、色丹の2島返還」という従来の線を越えないつもりなのか、
 それとも、日本側をあっと驚かす内容を提示しているのか。

 あと2カ月で、その内容が明らかになる。

■五味洋治 ジャーナリスト
1958年7月26日生まれ。長野県茅野市出身。実家は、標高700メートルの場所にある。現在は埼玉県さいたま市在住。早大卒業後、新聞社から韓国と中国に派遣され、万年情報不足の北朝鮮情勢の取材にのめりこんだ。2012年には、北朝鮮の故金正日総書記の長男正男氏とのインタビューやメールをまとめて本にしたが、現在は連絡が途絶えている。最近は、中国、台湾、香港と関心を広げ、現地にたびたび足を運んでいる。





【身勝手な大国・中国】



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