2016年11月11日金曜日

トランプ大統領とは(4):アメリカに吹き荒れる『トランプ維新』、これで日本は独り立ちできるか?

_
 先般、イギリスがEUを「離脱」するか「とどまる」かの国民投票をやった。
 結果は「離脱」であった。
 すると「とどまる」派がデモをやった。
 でも、これ国民投票の結果でしょう。
 受け入れるのがスジではないだろうか。
 最低でも1年はその結果を尊重すべきではないのか。
 もしデモの要求をうけいれたら、今度は「離脱派」がデモすることになる。
 これではなんのための国民投票だかわからなくなる。

 トランプへの反対デモもこれと同じ。
 民主主義国民のやることではない。
 選挙の結果が自分におもしろくなかったから、デモをやってひっくり返すというのならこれは「テロ」と同じである。
  まるでおもちゃ屋の前でアレを買ってくれと泣き叫ぶガキに似ている。
 知性も教養もない。
 トランプに大統領をやらせて結果が納得できなというなら、そのときにデモするのが民主主義だろう。
 選挙結果が自分の意見にそぐわないからと言ってデモするなら、これは選挙そのものを否定することになる。
 民主主義の根本は選挙によって指導者を決めるということである。
 よってこのデモは民主主義を根本から否定するものであって、個人の損得・好悪を優先するものである。
 民主主義とは反対意見を容認するところになりたっている。
 このデモは民主主義のイロハも知らない、強いていえば愚民のやることである。
 好き嫌いで民主主義が行われるわけではない。

 なを、日本についていえば、
 『トランプ維新』によって大きく変われる可能性があるかないかである。
 グローバル化によって世界は生き残りの時代に入っている。
 自分のことは自分で守る、
 自分の利益は自分の手でつかむ、
というスタイルにすべてが変わりつつある。
 アメリカという保護者がいなくなることで、
 日本は独り立ちでするか、あるいは出来るか
ということになる。
 何時かわ独り立ちしないといけないのが日本の位置である。
 それがいまやってきたということになるのか、である。
 トランプはそれをもたらしてくれたのか、である。


東洋経済オンライン 2016年11月11日 ダニエル・スナイダー :スタンフォード大学APARC研究副主幹
http://toyokeizai.net/articles/-/144779

日本人は、「トランプ大統領」を甘くみている
過去の「トンデモ発言」には信念がある

 ドナルド・トランプ氏が米大統領選で衝撃的な勝利をはたしてから3日。
 安倍晋三首相がトランプ氏と電話会談し、米ニューヨークで現地時間17日に会談することが決まった。
 「緊急会談」の目的は明らかにされていないうえ、政権移行の準備も本格化していない中での会談がはたして良いアイデアかどうかもわからない。
 ただ、ひとつだけハッキリしていることがある。今回の会談を通じて 
 安倍首相が、米国でいったい何が起きているのか、
 そしてこれが日米関係にどう影響するのかを知りたがっている
ということだ。

 トランプ氏の勝利は、民主党、エリート層、さらには共和党員の多くが大敗を喫したというような単純な話ではない。
 それよりも衝撃的なのは、同氏の当選により、
 冷戦以降二大政党共通の外交政策の柱となってきた、
 介入による国際協調主義が明確に否定された
ということだ。

■「米国は日本にやられてばかりだ」

 2015年6月16日にトランプ・タワーで行った立候補表明の冒頭から、トランプ氏はグローバルな自由貿易システムや、欧州、アジアでの同盟体制の堅持、独裁政治への反対といった国際協調主義の根幹部分のいくつかをやり玉に挙げていた。

 インタビューや演説、討論会、さらにはツイートに至るまで、トランプは繰り返し自らの世界観、すなわち孤立主義へと至るナショナリズムを明確に表明していた。
 排他主義や人種差別ともとれる言動の対象は、メキシコ人にかぎらず、イスラム教徒、アジア系、最終的にはすべての「外国人」に及んだ。
 11月8日には相当数の米国人がこのイデオロギーを受け入れ、トランプ氏に票を投じたのである。

 さて、「トランプ大統領誕生」は日本にとって、さらにはすべてのアジア諸国にとってどういうことを意味するのだろうか。
 それを知るにはまず、トランプ氏の立候補表明演説を思い出してもらいたい。

 「わが国は深刻な事態に陥っています。
 米国はもはや負けてばかりです。
 以前は勝っていましたが、今は違います。
 米国が最後に勝ったのはいつのことでしょうか
 ――強いて言えば、中国と貿易協定を結んだときでしょうか。
 米国は中国のせいで破綻しています。
 私はつねに中国をたたいています。
 ずっとです。
 米国が日本に勝ったためしがあるでしょうか?
  日本は何百万台単位で(米国に)自動車を送り込んで来ますが、それに対して米国はどう対処しているでしょうか。
 東京をシボレーが走っているのを最後に見かけたのはいつでしょうか。
 皆さん、シボレーは消えたのです。
 米国は日本にやられてばかりなのです」

 今回の選挙戦中、トランプ氏は、環太平洋経済連携協定(TPP)を中止し、協定を破棄しないとすれば、再交渉を行うと誓い、北米自由貿易協定(NAFTA)も同様に破棄すると宣言した。
 NAFTAのせいで日本企業がメキシコに工場を設立し、米国に輸出するに至ったと言うのが彼の言い分だ。

 その数カ月後、英エコノミスト誌とのインタビューで、トランプ氏は日本についての見解を詳しく述べ、米国が軍事同盟を結ぶ必要性に疑問を呈し、貿易不均衡と「雇用流出」について非難。
 なぜ米国が中国から日本を守っているのか理解に苦しむとして、こう述べている。

 「米国が日本と結んでいる条約は興味深い。
 なぜなら米国がどこからか攻撃されても、日本には米国を助ける義務はないのだから。
 それでいて、もし日本がどこからか攻撃されたら、米国は日本を守らなければいけない。
 そんな取引を米国はしているのだ」

 また、今年3月には、トランプ氏はニューヨーク・タイムズ紙の記者に
 「もし日本と韓国がさらなる自衛措置を行わなければならない事態が生じたとき、中国と北朝鮮に対処するために日韓が核の開発をしたとしたら反対するか」
と質問されている。
 このときの同氏は、「核兵器拡散に反対」という長年に渡る米国の立場を捨て去ることにほとんど無頓着で、米国の状況次第では、「日韓の核兵器保有はあり得る」と答えている。

■外交政策関係者はすでにトランプシフト

 こう見ていくと、トランプ氏が米国と北東アジアの間で結ばれている同盟の歴史的な成り立ちについて、ほぼ無知であることがよくわかる。
 米メデイアでも指摘されてきたように、日韓が自国に拠点を置く米軍の支援に多大な貢献をしているのを、トランプ氏は無視している。
 さらに深刻なのは、東アジア全体の平和の維持と安定のために、こういった軍事力が果たす戦略的役割を、どうやら理解していないらしいということだ。

 トランプ氏のこうした見解は、日本ではすでによく知られており、選挙中には米国の外交関係者らが、日本やアジア諸国の指導者・関係者に対して、「(トランプ氏やヒラリー・クリントン氏の言動は)選挙活動のために誇張されているだけ」と伝え、安心させる努力をしてきた。

 彼らはもともと、クリントン氏が当選することを前提に動いていたが、選挙結果が判明した数時間後には、トランプ氏の「後援」にまわり、同盟国や友好国に対して「トランプはああ言っているが、結局は戦後の国際主義に戻る」と伝えると同時に、進行中の外交政策を共和党ベテラン勢に引き継ぐ作業を始めた。
 たとえば、知日派で知られるリチャード・アーミテージ氏は選挙中トランプ氏を批判していたが、すでに接触可能なトランプ陣営の高官たちに歩み寄ろうとしているようだ。
 これは非常に堅実なアイデアであるうえ、トランプ氏側がこれを受け入れる可能性もある。
 同氏の側近には、外交や安全保障、そして国際経済政策を担える人材も少なからずいる。
 が、多くの役職を埋めるには、共和党の保守本流の人材(その多くは独断的な米国による介入など、いまだに古典的な外交政策の原則を支持している)を使わなければならない。

 一方で、トランプ氏が外交政策において、共和党保守本流に「外注」を頼むことはないだろうという、理由もいくつかある。
★.第一に、トランプ氏はこうした高官たちから何も恩恵を受けていない。
 同氏は彼らから資金援助を受けていないし、選挙スタッフにも共和党の中核派は含まれていない。
 同氏は、自ら共和党の支持基盤やイデオロギーを変えることで同党のリーダーになったのである。

★.もうひとつの理由は、少なくとも1980年代後半の日米貿易摩擦の時代から一貫して、トランプ氏は上記の述べたような見解を示してきたことだ。
 つまり、彼が言っていることは、選挙対策でペンシルベニア州の元製鉄所工員たちにアピールするために作られたスローガンではない。
 これは、トランプ氏の強固な信念であり、それを放棄する気配は今のところ見られない。

■「日本人に食い物にされている」

 トランプ氏のゴーストライターが書いた『The Art of the Deal』(1987年)では同氏がどのようにビジネスを行うのかが説明されているが、その中で同氏は日本人とのビジネスがどれだけ難しかったか不平をもらしている。
 その年、同氏はニューヨーク・タイムズ紙、ワシントン・ポスト紙、ボストン・グローブ紙に、日本の防衛のために米国がカネを出しているすきに、意図的に安くされた円を基盤に日本が強い経済を築いたと、日本人を非難する全面広告を出した。

 さらに翌年、テレビ番組の司会者として彼はこう言った。
 「われわれは、日本を祖国に入れて、何でもかんでも投げ売りさせている。
 こんなのは自由貿易じゃない。
 もし日本に行って何か売ろうとしているなら、そんなことはやめちまえ」。

 さらに、日本人がニューヨークの不動産を買いあさっていた1990年に行われたプレイボーイ誌のインタビューでは、トランプ氏は日本を信用ができない、二枚舌の同盟国であると辛らつな表現を使って非難した。

「日本人は最も優秀な科学者にクルマやビデオ機器を作らせている。
 そしてわれわれは最も優秀な科学者にミサイルを作らせて日本を守らせている。
 なぜわれわれは、支払った費用の補償を受けていないんだ?
  日本人は米国を2重に食い物にしている。
 まず米国人に消費財を売ってカネを得て、そのカネを使ってマンハッタンを丸ごと買おうとしている。
 どちらにしても、われわれの負けだ」。

 彼の最近の言動から見ると、トランプ氏の考えや日本への見解は1980年代からまったく変わっていない。
 変わったのは、中国や韓国、ベトナムに対しても同様の見解を持つようになったことくらいだ。

 ここで重要なのは、実際にトランプ氏がこうした見解を維持したまま大統領に就任し、この見解に基づいた政策を実行するかどうかである。
 まず、貿易については、トランプ氏がTPPの批准を支持するとは考えがたい。
 続けるとすれば、振り出しに戻して交渉を再び行うことを求めるだろうが、最悪の場合はTPP自体を単純に拒否するだろう。

 さらに最悪な場合は、NAFTAの撤回もありうる。
 そうなった場合、日本政府は現実を受け入れなくてはならない。
 メキシコやカナダに工場を持っている企業も、大きな戦略転換を迫られるかもしれない。

■中国は「プーチン化」する?

 より予測が困難なのは、日本と米国の安保体制だ。
 米首都ワシントンの当局者たちは間違いなくトランプ氏に、日米同盟が、台頭する中国を押さえるために必要不可欠であることを説明するだろう。
 すでに、トランプ政権による準孤立主義を利用して、中国がより積極的な行動に出るのではないか、との憶測が広がっている。
 米フォーリン・ポリシー誌のジェームス・パルマー記者は、
 「中国は、トランプの中国に対する無知につけ込みながら、プーチン風にトランプを褒めそやすかもしれない」
と書いている。

 これによって、アジアのいくつかの国は、時流に乗って中国側につくかもしれない。
 また、日本、韓国、台湾のような国が、米国に見捨てられる恐れに駆り立てられ、米国の抑止力による保証に代わりとして、自ら核兵器の開発を目論むこともまったくないとは言い切れない。

 一方、強烈な国家主義のレトリックに身を包んだ人物がトランプ政権にいて中国を挑発しようとした場合、日米同盟の価値が再び明白になるだろう。
 そもそも、トランプ氏自身、中国と南シナ海問題でもめることは望んでいないだろうし、ましてや東シナ海の防衛力増強など考えていないはずだ。
 中国にしたって、中国製品に巨額の関税を課し、米国企業の工場を中国外に移転すると話しているトランプ氏を刺激したくないはずだ。

 当選以降、トランプ氏の「軟化」が取りざたされているが、同氏が早々に自らの考えを捨てたと考えるのは早すぎるだろう。



Record china配信日時:2016年11月11日(金) 21時20分
http://www.recordchina.co.jp/a154850.html

トランプを勝利に導いたTPPに関する大きな誤解、
中国にも米国にもほとんど影響なし―米誌

 2016年11月8日、米誌ナショナル・インタレストは記事
 「中国はどのように独自のTPPを作り上げているのか?」
を掲載した。

 米大統領選で注目のテーマとなったのが環太平洋経済連携協定(TPP)だ。
 経済的利益ではなく中国包囲網が狙いであるという賛成論者から、TPPでは中国の閉め出しは不可能だ、中国は加盟国を経由地として米国市場を侵略するという反対論者まで、さまざまな議論が展開された。

 客観的に見れば賛成派も反対派も間違っているとしか言い様がない。
 事実はこうだ。TPPは中国包囲網形成には役立たず、米国の労働者および中国経済に与える影響力も微々たるものに過ぎない。

 それというのもTPP加盟国12カ国中、中国は9カ国と自由貿易協定(FTA)を締結しているためだ。
 TPPよりもずっと早く中国は独自の自由貿易圏を確立している。
 さらに中国は「一帯一路」の名を借りて世界各地で積極的な支援を展開し、自らの経済圏を拡大しつつある。
 TPP反対派のトランプ氏が大統領に当選したことが象徴的だが、米国はFTA拡大に後ろ向き。
 だがその隙間を中国は着実に埋めている。



Record china配信日時:2016年11月12日(土) 5時10分 (八牧浩行)
http://www.recordchina.co.jp/a154924.html

米トランプ氏の「日本嫌い」は本音!
次期政権の対日圧力、安保・経済とも厳しくなる
=「経済強化公約」も前途多難―元米通商代表部担当部長

 2016年11月11日、米国政治に詳しいグレン・フクシマ元米通商代表部日本担当部長(現米先端政策研究所上席研究員)が日本記者クラブで会見した。
 米大統領選で勝利したロナルド・トランプ共和党候補の対日政策について、安保・経済ともに極めて「厳しい」ものになると指摘。
 トランプ氏が法人税大幅減税と積極財政出動により
 「米経済を強くする」政策を志向している
ことに対し、巨額財政赤字の中で反対意見は根強く、「前途多難」との見方を示した。
 発言要旨は次の通り。

 トランプ人気は、予想以上の米国人の多くが現状に不満を持ち、閉塞感を抱いていることを表している。
 それは格差拡大など厳しい経済状況や、政治家への首都ワシントンの政治家への不信である。
 トランプ氏は教育レベルが低い人たちに小学2年生でも分かる平易な言葉で「偉大なアメリカを取り戻す」と連呼、支持を集めることに成功した。

 ヒラリー・クリントン氏は上院議員やファーストレディ(大統領夫人)、国務長官などを歴任したため、既存政治家の象徴とされ「現状を維持する人」とのレッテルを貼られた。
 少人数で会うと細やかな人柄が伝わってくるが、弁護士の経験からか、大きな会場での演説は庶民に訴える力に欠け、聴衆を惹きつけなかった。

 TPP(環太平洋連携協定)の米国批准は厳しい状態だ。
 11月の大統領選から来年1月の新大統領就任までのレームダック・セッションにオバマ大統領が主導して通すのが最も可能性が高かったが、トランプ氏の勝利でその可能性はなくなった。
 TPP廃止はトランプ氏の看板公約なので、大統領就任後の批准は絶望的だ。
 ただ米国が主導してきた世界自由貿易体制は米国経済にも利益を生んでおり、保護主義への回帰は禍根を残すだろう。

 トランプ政権の対日経済政策は厳しいものになろう。
 かねてトランプは「米国を利用して一方的に利益を得ている」と考えている国として日本に言及している。
 例えば1987年9月に『ニューヨーク・タイムズ』や『ワシント・ンポスト』『ボストン・グローブ』に巨費を投じて全面広告を出し、次のように訴えた。

 「何十年にもわたって、日本そして他の国々は米国から一方的に恩恵を受けてきた。 
米国がタダで日本の安全を守ってきたため、日本は国防のために巨額の費用を払うことなく、強く活気のある経済を作り上げ、空前の貿易委黒字をため込んだ。
 円安・ドル高を維持し続けることで、日本を世界経済の一線に押し上げたのだ」。

 彼のこのような見方は、少なくとも過去30年間、一貫している。
 「日本嫌い」は本音であり、この考えに基づいた厳しい対日政策を展開する可能性が高い。
 安倍晋三首相は11月17日に訪米しトランプ氏に会った際、
(1):TPPの廃止や再交渉の可能性、
(2):日本車への輸入高関税などを課すことがあり得るのか、
(3):沖縄駐留米軍の役割、
(4):尖閣諸島を安保条約第5条に基づいて防衛する意思があるか
―などについて糺(ただ)すべきだ。

 トランプ氏は法人税大幅減税とインフラ投資を中心とした財政出動で「米国経済を強くする」と言っているが、巨額の財政赤字の中で、国の借金をこれ以上増やすべきでないと考える人が多い。
 また小さな政府を志向する共和党主流派とは相いれない考えであり、前途は多難だ。

0 件のコメント:

コメントを投稿