憲法改正への条件が整っていく流れを見てみよう。
1].自衛隊が2011年の東日本大震災で日本国民に市民権を認められたこと。
それまではどうしても「人殺し集団」というイメージがつきまとっていた。
しかし、この災害救助の活躍によって「人命救助組織」としても認証されることになる。
2].2012年の中国における反日暴動によって、隣国に強力な暴力集団が存在することが明らかにされたこと。
この暴力集団は自国の論理のみを押し通す傲慢な組織であって、他国のことなど思いやることいがないということが、その後の南シナ海などの事件であきらかになってきた。
そのような集団がごく隣にいて尖閣諸島を強奪する用意を着々と備えていることは、
ヤクザには平和の論理は通用しないことによって、
日本国民もすべからく自分を守らねばならないという意識が浸透してきたこと。
3].これまで日本の安全を保証してくれたアメリカが手のひらを返すように離れつつあること。
東シナ海の中国防空識別圏の設定におけるオバマの裏切りから始まって、今選挙のトランプの大統領就任へとアメリカは確実に日本の安全を保障する組織ではなくなってきていること。
敗戦後2/3世紀も経てば歴史的国際環境は大きく変わる。
アメリカもこれまでのアメリカとは違ってくるのはしかたがない。
となれば、歴史は「自国生き残りの時代」に入って来ている、ということから日本もその流れに押し流されることは已む得ない。
日本もこれまでの日本と違った形になっていくのはしかたがない。
アメリカが日本を守ってくれているかぎり「暴力反対!」のスローガンで済んだが、それでは隣の国からの暴力には対抗できない。
口先で平和をとなえても、棍棒をもって侵入するものを止めることはできない。
「ドロボウはいけません!」とさけんでも「ドロボウは入ってくる」。
ドロボウを止めるには、充分なカギをかけたりするなど、必要な対策を講じてはじめてドロボウを抑え込める。
ドロボウを捕まえるのではなく、ドロボウが入ってこないようにすることが肝心だということである。
4].改憲勢力が国会で必要な議席を獲得したこと。
これまで与野党肉薄の状況では、改憲はできない。
なぜ、この時期にあって与党が強く、野党が貧弱になったかといえば、
やはり中国という暴力集団の脅威にさらされたこと、
自衛隊を見直す機会を得たこと、
そしてアメリカがアテにならないほど弱くなってきていること、
などが分かってきたということだろう。
野党の論理では「日本を守れない」ということを認識しはじめたということであろう。
このような今日的状況から憲法改正が視野に入ってきたということである。
しかし、なんといっても中国の後押しというのが一番の功績であろう。
もし中国が今のような行動をとらずに「ソフト外交」を標榜していたら、改憲の歩みはなかったであろう。
中国の傲慢・強欲とも思える動きが、日本をして改憲に進ませる背中を後押ししたというのは、明らかだろう。
中国が危険な存在と認識される限り、日本人の意識は自国防衛に傾いていくのは止められない。
ということは、今後とも中国が日本人にとって危険な存在とみなされるような行動をとり続けてくれることを願うことになり、
それがなによりも日本の平和につながっていく、
という逆説になる。
「維新の黒船」はいま、中国の脅威という形をしており、日本はそれに対して維新の実行をせねばならぬ時期にさしかかっているということであろう。
『
ロイター 2016年 11月 14日 08:21 JST
http://jp.reuters.com/article/opinion-bill-emmott-idJPKBN13807C?sp=true
オピニオン:トランプ不安、日本の「改憲」後押し=エモット氏
[東京 14日] -
「AMERICA FIRST(米国第一主義)」以外、明確な政策アジェンダを持たない「トランプ大統領」の誕生は、安全保障上の観点から、憲法改正に向けて安倍政権の背中を押す可能性が高いと、英エコノミスト誌の元編集長でジャーナリストのビル・エモット氏は指摘する。
経済面については、「環太平洋連携協定(TPP)は死んだ」とし、日本がアジア太平洋地域の自由貿易協定作りでイニシアティブを取る必要があると説く。さもなければ、主導権は中国に移るだけだと見る。
同氏の見解は以下の通り。
■<TPPは死んだ>
「トランプ米大統領」誕生が世界経済と国際政治に対して持つ意味は、端的に言えば、
★.不確実性の著しい高まり、そして
★.同盟国およびパートナーとしての米国の信用と信頼の度合いの低下
である。
日本に対する意味合いとしては、まず「TPPは死んだ」ということだ。
つまり、
◆.日本は今後、アジア太平洋地域の自由貿易協定作りでイニシアティブを取っていく必要がある。
さもなければ、中国が主導権を握ってしまうだけだ。
2点目としては、安全保障上の理由から、
◆.安倍首相が憲法改正への決意をより強めた可能性がある。
日本が今よりも独自の行動を取りやすくするために、である。
TPP以外の経済政策面への影響については、トランプ氏が日本の通貨戦略や金融政策に対し、さほど強硬な態度を示すようになるとは思わない。
トランプ氏が重視する経済政策は、自国の財政政策だ。
また、そもそも日本はトランプ氏の貿易上の「敵」ではない。
当面の「敵」は中国やメキシコになるだろう。
■<軍事力誇示はあり得る>
前述した通り「トランプ大統領」誕生は、改憲に向けた安倍首相の決意を強める方向に働く可能性が高いが、現実には
トランプ次期政権は南シナ海や東シナ海の問題で、中国に対して強硬姿勢を示す可能性が高いと考える。
場合によっては、今(オバマ政権時)よりも軍事力の誇示を伴うことが増えるかもしれない。
ただし基本的に、
その対外政策は、危機が発生した際に迅速に対応するという形になりそうだ。
トランプ氏に、「AMERICA FIRST(米国第一主義)」以外、明確な政策アジェンダがあるとは思えない。
その意味でも、貿易問題で中国を批判するとしても、米国経済が不況にでも陥らない限り、さほど激しくたたくことはないと考える。
とどのつまり、大統領選におけるトランプ氏の選挙公約のうち、重要な意味を持つのは対外的なものではなく、米国内に向けたものだ。
よって、トランプ氏はまず財政出動の公約にこだわるだろう。
医療保険制度改革法(オバマケア)についても、結局は廃止に向けて動く可能性が高い。
また、より厳しい移民制限を課すとともに、オバマ政権が(温暖化対策として)導入した「大統領気候行動計画」も白紙に戻すだろう。
そして、メキシコと移民問題を議論する際には、(見直しを公約している)北米自由貿易協定(NAFTA)を交渉の取引ツールとして利用するはずだ。
*ビル・エモット氏は、英国のジャーナリスト。オックスフォード大学モードリン・カレッジ卒業後、同大学のナフィールド・カレッジを経て、1980年に英エコノミスト誌に入社。83年から3年間、東京支局長。93年から2006年まで13年間、同誌の編集長を務めた。「日はまた沈む」「日はまた昇る」など日本に関する著書多数。
*本稿は、ロイターの「米大統領選」特集に掲載されたものです。ビル・エモット氏への書面インタビューをもとに、同氏の個人的見解に基づいて書かれています。
』
『
JB Press 2016.11.11(金) 池田 信夫
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48367
トランプ大統領が破壊する「戦後日本の国体」
いつまでもあると思うな日米同盟
●トランプ新大統領は在日米軍をどうするつもりなのか。沖縄県宜野湾市の普天間基地(2005年撮影、資料写真)。(c)AFP/TORU YAMANAKA〔AFPBB News〕
アメリカ大統領に世界の予想を裏切ってドナルド・トランプが当選したが、私も予想できなかった。
メキシコとの国境に壁を築くとか、不法移民をすべて国外追放するなどという彼の政策は荒唐無稽で、とても実行できるとは思えなかったからだ。
彼は選挙キャンペーンではなぜか日本をバッシングの対象にし、
「アメリカで日本車はたくさん走っているが、日本でアメリカ車は走っていない」
などと1980年代の日米貿易摩擦のような話をしていた。そのうち消えるだろうと思っていたら共和党の候補になり、本選挙で勝ってしまった。
■日本に核武装を求めるトランプ
これは選挙期間中にヒラリー・クリントンのメール疑惑が拡大するなど運がよかった面もあるが、連邦議会でも上下両院で共和党が過半数を占めたのをみると、トランプの個人的な勝利とはいえない。
この背景には、アメリカに広がる孤立主義の流れがある。
その顕著な現われがTPP(環太平洋連携協定)で、トランプは反対だから、彼の任期中には承認されないだろう。
それどころか彼はNAFTA(北米自由貿易協定)の見直しやWTO(世界貿易機関)からの脱退も示唆している。
伝統的に自由貿易派とされてきた共和党でも、彼の保護主義に追随する議員が多い。
さらに大きな問題は、安全保障の面でもトランプが孤立主義を強めていることだ。
在日米軍について、彼は(日米同盟は認めるが)駐留経費を日本政府がすべて負担しろと主張している。
それを認めなければ在日米軍を撤退させ、その代わり日本や韓国は核武装してもいいという。
これは日本人にとっては笑い話だが、アメリカ人にとってはそうでもない。
19世紀からアメリカには「モンロー主義」の伝統があり、これは合衆国がアメリカ大陸を支配し、ヨーロッパからは独立するブロック経済の考え方だ。
20世紀のアメリカでも孤立主義と膨張主義の時代が交替し、冷戦後は1990年の湾岸戦争から膨張主義に転じたが、イラク戦争が失敗した後はまた孤立主義の局面に入った。
トランプの孤立主義は思いつきではなく、「世界の警察官はやめた」というオバマ大統領の路線の延長上にある。
■アメリカにただ乗りした「保育器」の中の平和
1951年に日米安保条約が結ばれたのは日本を守るためではなく、アメリカが連合国(国連)の代表として「敵国」だった日本を監視すると同時に、東アジアにおける冷戦体制の橋頭堡とするためだった。
だから安保条約にはアメリカが日本を守る義務は明記されなかったが、60年に岸信介首相が改正して対等に近い形になった。
この頃から日米同盟の位置づけは変わり、在日米軍基地は極東への米軍の発進基地になった。
日米同盟があるので、当初の自衛隊は「専守防衛」の無力な軍隊でもよかったが、そのうち日本が経済発展すると、アメリカが防衛負担を要求するようになった。
その要求に応える形で、政府は国会答弁で「必要最小限度の防衛力は持てる」という見解を表明した。
すると、この「最小限度」の定義が曖昧だと野党が追及するので、政府は「個別的自衛権が最小限度だ」という解釈を表明するようになった。
本来は「最小限度かどうか」と「個別か集団か」ということは別の問題だが、そのうち「集団的自衛権だから違憲だ」という本末転倒の憲法解釈が横行するようになる。
集団的自衛権が特に問題になったのは、沖縄が日本に返還されたときである。
ベトナム戦争の際は、沖縄はまだアメリカの信託統治領であり、ベトナムに向けて米軍の爆撃機が出撃した。
ベトナム戦争が終わった1972年に沖縄の施政権が日本に返還されると、内閣法制局は集団的自衛権の行使を憲法違反だとして否定する見解を出した。
ここでは、集団的自衛権は「保有しているが行使しない」という意味不明な表現が用いられた。
沖縄から発進する米軍の爆撃機を容認する代わりに、自衛隊は海外で武力行使はできないとの解釈によって、日本は極東の防衛責任を逃れることになった。
このような日本のアメリカの「核の傘」へのただ乗りは、その後ずっとアメリカに批判されてきた。
80年代に日本はアメリカの経済的ライバルになり、冷戦が終わると日本を守る理由もなくなったので、90年代にはアメリカは湾岸戦争などで「応分の負担」を求めるようになった。
集団的自衛権は、もともと日米同盟の前提だったが、この頃からアメリカが日本にその明確な行使を求め始めた。
しかし日本政府は72年見解を楯にとって、軍事的な協力を拒んできた。
野党も日米同盟で実質的な安全が確保されると、それにただ乗りして「非武装中立」を主張するようになり、与野党ともにアメリカの守る「保育器」の中で平和を楽しんできた。
こうして「表」では主権者たる国民が国を守ることになっているが、「裏」では日米安保条約でアメリカが日本を守る戦後日本の国体ができた(篠田英朗『集団的自衛権の思想史』)。
トランプが破壊すると宣言したのは、この不可侵の「国体」なのだ。
■トランプが警告する日本の「幼年期の終わり」
この状況を変えようとしたのが、2014年に安倍内閣が閣議決定した安保法制だったが、野党は「個別的自衛権は合憲だが集団的自衛権は違憲だ」という世界のどこにも類をみない奇妙な自衛権の解釈を振り回し、「安保法制の廃止」を求めた。
沖縄の米軍ヘリパッド移設をめぐって活動家が米軍基地の撤去を求めているのも、本当に撤去される可能性がないからだ。
自分たちが何を言っても米軍は国体を守ってくれると知った上で「米軍は沖縄から出ていけ」と駄々をこねているのだ。
しかし沖縄の米軍再編は日本が頼んだもので、海兵隊は長期的には撤退の方向だ。
沖縄の防衛のためには駐留しているほうがいいが、再編のたびに「基地反対」の茶番劇が繰り返されるのは米軍もうんざりしているだろう。
トランプが「沖縄県民のいやがる海兵隊はグアムに移転する」といったら、基地に反対する沖縄県知事はどうするのだろうか。
日本は戦後ずっと憲法第9条という国体を守り、アメリカの保育器の中で眠りこけてきた。
しかし、今後、中国の脅威が強まっても、アメリカが東アジアで今以上に軍事的コミットメントを強めることはありえない。
日米同盟は史上最長の軍事同盟の1つであり、いつまでもあるとは限らない。
遠からず保育器から出る「幼年期の終わり」が、日本にもやってくるだろう。
トランプ大統領がそれを警告すれば、日本にとって歴史的な役割を果たすかもしれない。
』
JB Press 2016.11.11(金) 池田 信夫
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48367
トランプ大統領が破壊する「戦後日本の国体」
いつまでもあると思うな日米同盟
●トランプ新大統領は在日米軍をどうするつもりなのか。沖縄県宜野湾市の普天間基地(2005年撮影、資料写真)。(c)AFP/TORU YAMANAKA〔AFPBB News〕
アメリカ大統領に世界の予想を裏切ってドナルド・トランプが当選したが、私も予想できなかった。
メキシコとの国境に壁を築くとか、不法移民をすべて国外追放するなどという彼の政策は荒唐無稽で、とても実行できるとは思えなかったからだ。
彼は選挙キャンペーンではなぜか日本をバッシングの対象にし、
「アメリカで日本車はたくさん走っているが、日本でアメリカ車は走っていない」
などと1980年代の日米貿易摩擦のような話をしていた。そのうち消えるだろうと思っていたら共和党の候補になり、本選挙で勝ってしまった。
■日本に核武装を求めるトランプ
これは選挙期間中にヒラリー・クリントンのメール疑惑が拡大するなど運がよかった面もあるが、連邦議会でも上下両院で共和党が過半数を占めたのをみると、トランプの個人的な勝利とはいえない。
この背景には、アメリカに広がる孤立主義の流れがある。
その顕著な現われがTPP(環太平洋連携協定)で、トランプは反対だから、彼の任期中には承認されないだろう。
それどころか彼はNAFTA(北米自由貿易協定)の見直しやWTO(世界貿易機関)からの脱退も示唆している。
伝統的に自由貿易派とされてきた共和党でも、彼の保護主義に追随する議員が多い。
さらに大きな問題は、安全保障の面でもトランプが孤立主義を強めていることだ。
在日米軍について、彼は(日米同盟は認めるが)駐留経費を日本政府がすべて負担しろと主張している。
それを認めなければ在日米軍を撤退させ、その代わり日本や韓国は核武装してもいいという。
これは日本人にとっては笑い話だが、アメリカ人にとってはそうでもない。
19世紀からアメリカには「モンロー主義」の伝統があり、これは合衆国がアメリカ大陸を支配し、ヨーロッパからは独立するブロック経済の考え方だ。
20世紀のアメリカでも孤立主義と膨張主義の時代が交替し、冷戦後は1990年の湾岸戦争から膨張主義に転じたが、イラク戦争が失敗した後はまた孤立主義の局面に入った。
トランプの孤立主義は思いつきではなく、「世界の警察官はやめた」というオバマ大統領の路線の延長上にある。
■アメリカにただ乗りした「保育器」の中の平和
1951年に日米安保条約が結ばれたのは日本を守るためではなく、アメリカが連合国(国連)の代表として「敵国」だった日本を監視すると同時に、東アジアにおける冷戦体制の橋頭堡とするためだった。
だから安保条約にはアメリカが日本を守る義務は明記されなかったが、60年に岸信介首相が改正して対等に近い形になった。
この頃から日米同盟の位置づけは変わり、在日米軍基地は極東への米軍の発進基地になった。
日米同盟があるので、当初の自衛隊は「専守防衛」の無力な軍隊でもよかったが、そのうち日本が経済発展すると、アメリカが防衛負担を要求するようになった。
その要求に応える形で、政府は国会答弁で「必要最小限度の防衛力は持てる」という見解を表明した。
すると、この「最小限度」の定義が曖昧だと野党が追及するので、政府は「個別的自衛権が最小限度だ」という解釈を表明するようになった。
本来は「最小限度かどうか」と「個別か集団か」ということは別の問題だが、そのうち「集団的自衛権だから違憲だ」という本末転倒の憲法解釈が横行するようになる。
集団的自衛権が特に問題になったのは、沖縄が日本に返還されたときである。
ベトナム戦争の際は、沖縄はまだアメリカの信託統治領であり、ベトナムに向けて米軍の爆撃機が出撃した。
ベトナム戦争が終わった1972年に沖縄の施政権が日本に返還されると、内閣法制局は集団的自衛権の行使を憲法違反だとして否定する見解を出した。
ここでは、集団的自衛権は「保有しているが行使しない」という意味不明な表現が用いられた。
沖縄から発進する米軍の爆撃機を容認する代わりに、自衛隊は海外で武力行使はできないとの解釈によって、日本は極東の防衛責任を逃れることになった。
このような日本のアメリカの「核の傘」へのただ乗りは、その後ずっとアメリカに批判されてきた。
80年代に日本はアメリカの経済的ライバルになり、冷戦が終わると日本を守る理由もなくなったので、90年代にはアメリカは湾岸戦争などで「応分の負担」を求めるようになった。
集団的自衛権は、もともと日米同盟の前提だったが、この頃からアメリカが日本にその明確な行使を求め始めた。
しかし日本政府は72年見解を楯にとって、軍事的な協力を拒んできた。
野党も日米同盟で実質的な安全が確保されると、それにただ乗りして「非武装中立」を主張するようになり、与野党ともにアメリカの守る「保育器」の中で平和を楽しんできた。
こうして「表」では主権者たる国民が国を守ることになっているが、「裏」では日米安保条約でアメリカが日本を守る戦後日本の国体ができた(篠田英朗『集団的自衛権の思想史』)。
トランプが破壊すると宣言したのは、この不可侵の「国体」なのだ。
■トランプが警告する日本の「幼年期の終わり」
この状況を変えようとしたのが、2014年に安倍内閣が閣議決定した安保法制だったが、野党は「個別的自衛権は合憲だが集団的自衛権は違憲だ」という世界のどこにも類をみない奇妙な自衛権の解釈を振り回し、「安保法制の廃止」を求めた。
沖縄の米軍ヘリパッド移設をめぐって活動家が米軍基地の撤去を求めているのも、本当に撤去される可能性がないからだ。
自分たちが何を言っても米軍は国体を守ってくれると知った上で「米軍は沖縄から出ていけ」と駄々をこねているのだ。
しかし沖縄の米軍再編は日本が頼んだもので、海兵隊は長期的には撤退の方向だ。
沖縄の防衛のためには駐留しているほうがいいが、再編のたびに「基地反対」の茶番劇が繰り返されるのは米軍もうんざりしているだろう。
トランプが「沖縄県民のいやがる海兵隊はグアムに移転する」といったら、基地に反対する沖縄県知事はどうするのだろうか。
日本は戦後ずっと憲法第9条という国体を守り、アメリカの保育器の中で眠りこけてきた。
しかし、今後、中国の脅威が強まっても、アメリカが東アジアで今以上に軍事的コミットメントを強めることはありえない。
日米同盟は史上最長の軍事同盟の1つであり、いつまでもあるとは限らない。
遠からず保育器から出る「幼年期の終わり」が、日本にもやってくるだろう。
トランプ大統領がそれを警告すれば、日本にとって歴史的な役割を果たすかもしれない。
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AFP=時事 11/12(土) 16:28配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161112-00000024-jij_afp-int
トランプ氏勝利がアジアに投げ掛ける影、
中国も困惑 米大統領選
【AFP=時事】米大統領選で勝利した共和党候補ドナルド・トランプ(Donald Trump)氏が示してきた外交政策の方向性が曖昧で不明瞭なことから、アジアにおける米国の影響力は今後低下するのか、それとも存在感が維持されるのか、見通しに暗い影を投げ掛けているとアナリストらは指摘している。
トランプ氏は選挙期間中、中国を激しく攻撃して米国の「敵」とさえ呼び、中国に立ち向かっていくと誓った。
しかし、はるかかなたの国々の小競り合いに巻き込まれることには関心がないとも述べ、米国は日本や韓国といった同盟国防衛のための支出にうんざりしていると語り、そうした同盟国は自前で核武装すべきだとまで言い切った。
豪シドニー大学(University of Sydney)アメリカ研究センター(United States Studies Centre)のアシュリー・タウンゼンド(Ashley Townshend)氏は
「トランプ氏は孤立主義カードを切って、(アジア)地域における影響力を分け合おうと中国と協定を結ぶ可能性もある」
と言う。
トランプ氏は、南シナ海(South China Sea)における中国の領有権主張から北朝鮮の核開発問題、台湾の将来に至るまで、米中関係の懸案であるアジアの地政学的問題について明確な処方箋をまったく示していない。
オバマ政権のアジア重視政策にもかかわらず、ここ数か月、域内の同盟国が中国に接近する動きがみられる。
今年就任したフィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)大統領の訪中しかり、中国との関係改善を視野に入れ始めたマレーシアしかりだ。
トランプ次期大統領の下で米国が孤立主義に陥れば、東南アジアの発展途上諸国が米国よりも中国との関係を有望視する流れは加速する可能性がある。
■日韓への防衛負担増要求で広がる懸念
日本や韓国に対して米軍による防衛支援への支出の増額を要求するトランプ氏の主張は、米次期政権が長年の同盟関係をどのように再編するのか懸念を抱かせる要因となっていると指摘するのは、オーストラリア国立大学(Australian National University)国家安全保障カレッジ(National Security College)のローリー・メドカーフ(Rory Medcalf)学長だ。
「豪州のようなアジアのミドルパワー(中堅国)は今、二つの問題に対する防御策を必要としている。
一つは中国パワー、もう一つが米国の予測不可能性だ」
米大統領選の直前、トランプ氏の中国担当顧問と言われていたピーター・ナバロ(Peter Navarro)氏は米外交専門誌「フォーリン・ポリシー(Foreign Policy)」電子版への寄稿で、トランプ氏が新大統領となれば中国との関係がどう変わり得るかをほのめかした。
ナバロ氏は
★.オバマ政権下でアジアに再び焦点を向けたことを「失策」と呼び、
★.「弱腰のアジア重視政策が東シナ海(East China Sea)と南シナ海で中国の侵略を招いた」
のであり、
★.トランプ政権はこの問題にある対処する上で、ある程度は「力による平和戦略」を追求するだろう
と述べた。
トランプ氏は異例の大統領候補だった。
そしてトランプ氏が来年1月に次期米大統領に就任した後、米中が関わる諸問題で取る政策の方向性はほとんど未知数だ。
北京大学国際関係学院(Beijing University School of International Relations)の賈慶国(Jia Qingguo)院長は、多くの問いの答えがあまりに見通せない今、中国はどう進むべきか分からず困惑していると述べた。
』
『
ニューズウイーク 2016年11月14日(月)17時20分 古谷経衡(文筆家)
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/11/post-6311_1.php
「トランプ大統領誕生」で日本のメリットは何か?
■今度はトランプ幻想?
トランプ氏当選から一夜明けた11月10日、日本ではいまだ恐慌・パニックともいうべき動乱が続いている。
その恐怖に対する心の防御反応なのだろうか、にわかに日本側から
「トランプが実際に政権を運営すれば、理性的な補佐官や共和党重鎮が指導し、実際にはこれまでの言動を反故にしたり軟化させたりする」
というものが出てきた。
私に言わせれば、これは体の良い「願望」である。
もしヒラリーが大統領になっていれば、こういったことを開陳する人々は、ヒラリーの「日米同盟重視」という文句を「実際には反故にしたり硬化させたりする」などと論評していただろうか。
いやしないだろう。
トランプが大統領になったら日本に対して融和的な方針に転換する、というのは、「そうあってほしい」という願望の類であり意味はない。
むしろあれだけ日本を敵視する発言を行ってきたトランプが、政権が発足するとがらりと180度転換して「日本重視」を鮮明にするなら、その言葉にこそ疑いをはさまなければらないだろう。
自分の願望に都合の良い言動は額面通り受け取り、願望に沿わない意見は「実際は違う、本心では違う」などと想像をたくましくさせるのは、致命的な思考の欠陥と言わなければならない。
【参考記事】トランプ政権の対日外交に、日本はブレずに重厚に構えよ
トランプは日本敵視というか、日本無関心の姿勢を貫いている。
日米の戦後史についても無頓着をうかがわせる。
ちくま文庫刊『トランプ自伝』には、当時バブル経済に沸く日本を「不当な貿易政策でアメリカから富を収奪して経済大国になった」という趣旨の記述がある。
この本は80年代末に出版されたものだが、トランプの対日姿勢はこの時からほぼ変化がない。
しかし株価や為替が大きな展開を見せ、すでに混乱状態にある日本にとって、なにもトランプ大統領誕生はデメリットばかりではないのだ。
■トランプが与える日本人への精神的インパクト
トランプ大統領が日本にとって与える大きなメリットの中で、最大のことは、
日本人の精神性の変化である。
トランプ大統領誕生からすでに二日目のきょう(11月10日)の段階で、
「在日米軍がいなくなったらどうするか」
「自衛隊を増強するよりほかないのではないか」
「しまいには核武装という選択肢も考えないと」
などという声が、巷間聞こえてくる。
それまで割と政治的に無色で、特に外交安全保障について無頓着だった人が、
「米軍が出ていくなら自衛隊の予算を増やして頑張ってもらうしかない」
などと言ってはばからない。
核武装の是非や、防衛予算をどの程度増強するのがよいのかには議論はあるが、これはすわトランプによって引き起こされた日本人の精神的激変だ。
【参考記事】世界経済に巨大トランプ・リスク
これまで私たちは、
「日米同盟が存在するのが当たり前」
「在日米軍が存在するのが当たり前」
と考え、もしそれが失効したり弱まったりしたときの未来を想像してこなかった。
しかし市井の日本人が、いまその
「起こるはずもなかった」はずの明日の事を想像し、対処する方法を必死に考えている。
むろん、トランプが来年1月に大統領になった翌日に、日本から在日米軍が撤退するというのは、あまりに飛躍した理論である。
そもそも、トランプの中で「日米同盟の見直し」に関する優先度はそこまで高くない。
トランプは日本に冷淡というよりも、前提的に無知だ。
だが、周囲の補佐官や識者から説得されて「やっぱり日米同盟は未来永劫続く強烈な靱帯」などと転換することはないだろう。
逆にそういったとしたら、それこそ疑わしい。
仮にも公に掲げた公約や言動を、180度転換すると、支持を失う。
そうすれば共和党は次の選挙(4年後)に勝てなくなる。
共和党の勢力圏は、元来民主党の地盤であったラスト・ベルトに食い込んでいる。
アメリカの政治地図が変わったのと同時に、共和党自身も変わったのだ。
今回共和党を支持した白人有権者を裏切るような方向に共和党が政策を転換するのは、かなり現実的ではない。
しかも今回の大統領選挙とあわせて、共和党は上下両院でも順当に勝利して過半数を得ている。
その勝利の背景にはトランプがあったことを考えると、この選挙で当選した何割かの共和党議員にはトランプに恩義があり、真っ向から党内反トランプ派を形成することは難しいのである。
一度有権者に発した言葉を、そうやすやすと大転換できるほど、言葉は軽くない。
「政治家は言葉が命」などという癖に、なぜトランプだけにはそれを適用しないのだろうか。
トランプを政治の素人と思ってバカにしているのではないか。
その「トランプなんてどうせ素人だ、おバカさんだ」というインテリの見下し、隠せざる嘲笑こそが、白人低学歴層にトランプ支持を形成させた最大の因があることを自覚すべきである。
■想像力とはディフェンスである
確かに米大統領は独裁者ではないので、予備選中で言ったことが全部実現するわけはない。
だが、「おおむね」トランプの志向する方向に、日米関係が向かうのは疑いようはない。
アメリカがアジアから関与を引いていくのは、何も今になって始まったことではなく、オバマ時代からの(あるいはもっと前からの)世界的な米軍再編によって既に下地がある。
トランプはそれを加速させるだろう。
問題なのは、
「日米同盟が存在するのが当たり前」
「在日米軍が存在するのが当たり前」
と考えてきた戦後日本人の想像力の無さである。
もしそれが失効したり、弱まったりしたときの未来を私たちは想像してこなかった。
わずかでも「もしトランプが大統領になったら、自主防衛が必要になろう」という想像力が事前にあれば、こうも狼狽することはないのである。
想像力とはディフェンスである。
例えば「福島第一原発に想定を超えた津波が押し寄せてくるまもしれない」という想定が2010年に存在すれば、あの事故は防げた可能性は否定できない。
繰り返す。
想像力とはディフェンスである。
トランプが大統領になって何をやりだすかは未知数の部分があるが、いまは楽観論に陥ることなく
最悪のパターン、つまり「予備選で言ったことの60ないし70%くらいは4年間のうちに現実になる」
ことを想定して、様々な準備、特に防衛分野での早急な体制構築を進めるべきであろう。
あるいはトランプ政権2期8年の可能性だって想像しなければならないのだ。
そういった想像力の芽が、トランプ大統領によってにわかに巻き起こされていること自体、われわれ日本人が戦後70年以上、まったく経験してこなかったことだ。
危機に対する想像力を養うこと。
その切っ掛けを与えるまたとない存在がトランプであることを考えると、これこそ日本にとってまず長期的には最大のメリットである。
自ら考え、自ら想像することが、最も重要だ。
その意味でトランプは日本にとって口に苦い良薬のようなものだ。
短期的に日本は混乱するが、この混乱を乗り越え、自主的に防衛や外交を取り仕切る覚悟と実行力を備えることができるのならば、日本人はそれこそ、自虐的に揶揄されてきた「平和ボケ」なる甘い世界観を捨てることができるだろう。
※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。
古谷経衡(ふるやつねひら)文筆家。1982年北海道生まれ。立命館大文学部卒。日本ペンクラブ正会員、NPO法人江東映像文化振興事業団理事長。主な著書に「草食系のための対米自立論」(小学館)、「ヒトラーはなぜ猫が嫌いだったのか」(コアマガジン)、「左翼も右翼もウソばかり」(新潮社)、「ネット右翼の終わり」(晶文社)、「戦後イデオロギーは日本人を幸せにしたか」(イーストプレス)など多数。
』
『
産経新聞 11/16(水) 12:04配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161116-00000515-san-n_ame
米大統領にトランプ氏 橋下徹氏がツイート
「日本が本気で自立を考える時だ。
過保護の親よりいい」
米大統領選で共和党のトランプ氏が勝利したことを受け、前大阪市長の橋下徹氏は自身の短文投稿サイト「ツイッター」を更新し、
「いよいよ日本が本気で自立を考える時だ。
トランプ氏は、日本に自立を促す。
過保護の親より子供に自立を促す親の方が子供にとってはいい」
と、独特の言い回しで評価した。
ツイートは13日付で、トランプ氏に関する内容を6本連続して投稿。
トランプ氏が大統領選で米軍駐留経費の負担増などを主張したことに触れ、
「負担増を求められたら、全額負担すると返せばいい。
残り二、三千億円の話だ。
たったこれだけのお金で日本は交渉の主導権を握ることができる」
と論じた。
今後の国際情勢の展望については
「アメリカ、ロシア、中国の協調による世界コントロールの時代に突入する可能性大。
これは朝日新聞、毎日新聞的な世界平和だが、
日本にとっては苦しい状況。
世界平和が単純に日本にとってプラスになるわけではない。
世界平和の中身を考えなければならない」
と持論を展開した。
(WEB編集チーム)
』
『
Record china配信日時:2016年11月16日(水) 16時20分
http://www.recordchina.co.jp/a155234.html
トランプ次期大統領が公約を実行したら最大の勝利者は日本?
=「トランプ氏は口だけだ」
「米国人の言うことは当てにならない」―中国ネット
●13日、中国の掲示板サイトに、トランプ次期大統領が公約を実行したら最大の勝利者は日本になると主張するスレッドが立った。これに対し、中国のネットユーザーからさまざまなコメントが寄せられた。写真はトランプ氏。
2016年11月13日、中国の掲示板サイトに、トランプ次期大統領が公約を実行したら最大の勝利者は日本になると主張するスレッドが立った。
スレ主はその理由として、
★.軍事上、米国の制限を受けなくなり米軍が日本から撤退すること、
★.日本は資金力と技術力で軍事を発展させ武器輸出ができるようになること、
★.米軍が日本から撤退すれば日本の核設備や核施設を検査できなくなること、
★.経済面でも日本はその製造業の実力で米国と対等に交渉できるようになること
を挙げた。
これに対し、中国のネットユーザーからさまざまなコメントが寄せられた。
「トランプ氏は口だけだって。
真面目に相手にしちゃだめだ」
「安心しな。
米軍が日本から撤退することはまずない。
米国人の言うことは当てにならない」
「いいか悪いかは難しいな。
日本が米国から離れれば、中国かロシアに食われるだけだ」
「トランプ氏が日韓から米軍を撤退させたら、その結果は破壊的なものになる。
この局面を収拾できる人は誰もいない」
「トランプ氏が選挙中の公約通り実行したら、最も益を受けるのは日本とイスラエルだ。
日本はアジアのボスとなり、
イスラエルは中東のボスとなる」
「それは無理だろう。
米国は日本が正常な国家になることを認めないよ。
日本を政治、軍事、経済面でコントロールすることの利益は米国にとって大きすぎる」
』
『
●トランプ大統領誕生で、日本国憲法はあっと言う間に変わるかもしれない。【青山繫晴×櫻井よしこ 】
』
『
●トランプ大統領誕生で、どうなる?日米安保【青山繫晴×ケント・ギルバート】
2016/11/11 に公開
』
●トランプ大統領誕生で、日本国憲法はあっと言う間に変わるかもしれない。【青山繫晴×櫻井よしこ 】
』
『
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2016/11/11 に公開
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