2016年12月26日月曜日

中国の軍事力(3):中国空母、太平洋へ航行

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 おそらくは海軍のごり押しで外洋に出したのであろう。
  軍事力というのは相手に秘匿して、本当の能力を隠して恐れを誘発するのがもっともよい。
  ポンコツ空母を外洋に出して能力をバレさせていいのだろうか。
  いわば手の内をさらけ出してしまったようでもある。
 どうもその辺の判断が怪しい。
 習近平としては抑えたいところだが、海軍の力にまけたのであろう。
 東シナ海から太平洋に出るには日本から台湾につながる日本両雄の島々の間を抜けざるを得ないことになる。
 ということは、日本に明確に腹をさらした形になる。
 有事ではいつでもここを通過する空母は日本の絶好の標的になることを自ら宣伝したようなものである。
 日本の潜水艦のいい獲物になり得るということである。
 
 まあ、東シナ海から出て台湾を回って南シナ海へ入ったということは台湾に対するけん制であろう。
 これでトランプがどう出るかはわからない。
 日本としては時代遅れの練習艦だから軍艦艇としての脅威はない。
 ただ、空母を外洋に出すときどんなスタイルをとるかというのは周辺国にとっては関心事である。
 それが分かれば事前の対応ができるということになる。
 空母なんてものは遠い国を支配するに必要なものであるが、その分脆弱でもある。
 


 中国の空母基地は青島にある。
 ここから太平洋に出るには日本の監視域を突破せざるを得ない。
 日本の監視網をくぐることは無理で、有事では単なる標的でしかなくなる。
 動きは筒抜けで、首根っこを締め上げるように即座に抑えこまれてしまう。
 逃げようがない。
 日本相手では分が悪い。
 南シナ海のほうが動きがよまれにくい。
 遼寧は練習船なので問題はないが、今後造られる空母は南シナ海を基地にすることになろう。
 そのためにはなんとしても南シナ海の制海権を握りたいというのが中国の目算である。
 そのために強行に出ているのが今の中国の姿である。
 東シナ海では見えない戦力として潜水艦の基地となることが一般的であろう。
 それゆえに日本は対潜哨戒機の開発に力を入れているのはそれを見越してのことである。


朝日新聞デジタル 12/25(日) 20:52配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161225-00000038-asahi-int

中国空母、太平洋へ航行 米次期政権を牽制か


●中国艦船の動き

 防衛省統合幕僚監部は25日、同日午前10時ごろ、中国初の空母「遼寧」を含む艦船6隻が宮古島の北東約110キロで南東へ航行しているのを、海自の哨戒機と護衛艦が確認したと発表した。
 沖縄本島と宮古島の間を通って太平洋へ向かったが、中国の空母が太平洋に抜けるのを海自が確認したのは初めて。
 今後、南シナ海に向かうとみられる。
 領海への侵入はなかった。

 遼寧はウクライナから入手した旧ソ連の空母を改修した中国初の空母で、2012年に就役。山東省青島が母港だ。



 統幕によると遼寧にはミサイル駆逐艦3隻とフリゲート2隻が同行。
 24日午後4時ごろには、海自の護衛艦が東シナ海中部で遼寧を確認していた。

 中国側は、日本や台湾などを結ぶ「第1列島線」を越え、遠洋での空母の実戦能力を向上させる構え。
 遼寧が南シナ海に入れば、13年に試験的な航行をして以来で、今回は多数の艦載機を載せるなど実戦的な装備で臨むことになる。

 中国軍は一連の訓練を「年度計画に基づく」ものとしているが、南シナ海で「航行の自由」作戦を続けてきた米軍や、台湾問題や南シナ海問題などで対中強硬姿勢を見せる米国のトランプ次期政権を牽制(けんせい)する狙いもあるとみられ、緊張が高まる恐れがある。




2016/12/25 に公開
中国、異例の「遠海訓練」なのに日米大歓迎!?
中国空母「遼寧」が太平洋を航行!



ハンギョレ新聞 12/27(火) 15:39配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161227-00026059-hankyoreh-kr

中国空母、西太平洋へ初めて進出
…日米対中国の衝突が激化


●中国空母の初の遠洋進出

トランプ米大統領当選者が「一つの中国」原則毀損を示すと 中国、自国防衛線である第1列島線の外に空母戦団を移動 真珠湾訪問する安倍首相は日米同盟の強化を始動

 「空母遼寧が姿を現した!」

 25日午前10時。日本の防衛省統合幕僚監部には緊張感が流れた。
 日本の海上自衛隊の哨戒機P-3Cと日本の護衛艦「さみだれ」は、空母遼寧など6隻で構成された中国の空母戦団が南西諸島の宮古島の北東110キロの海上を通過し、西太平洋へ東進する光景を目撃した。
 中国の空母が九州~沖縄~台湾につながる中国の防衛線である第1列島線の外に移動する姿が捉えられたのは今回が初めてだった。
 中国の江凱(ジャンカイ)2級フリゲート艦から艦載ヘリコプターZ-9が離陸し、宮古島南東部10~30キロ周辺を偵察した。
 このような中国海軍をけん制するため、日本は沖縄県那覇の航空自衛隊第9航空団の戦闘機を緊急発進させた。

 24~25日に行われた中国空母の異例な動きは、南シナ海を背景に続いてきた米中の衝突が「一つの中国」という中国の「核心の利益」をめぐる死活的な衝突に悪化する状況を予告するものと解釈される。

 現在、朝鮮半島を含む東アジア情勢の最も大きな不確実要素は、ドナルド・トランプ米次期大統領の登場だ。
 トランプは2日、台湾の蔡英文総統との電話通話を通じて、中国が武力を使用しても必ず守護するという意志を示し、「核心の利益」の中でも中心である「一つの中国」の原則を毀損しようとする態度を見せた。
 23日にはバラク・オバマ大統領が次期トランプ政権の意向を受け入れ、台湾との軍事交流などの内容が盛り込まれた2017会計年度国防授権法案に署名した。
 華春瑩中国外交部報道官は25日、「強く反対し、米国に厳正な抗議を伝えた」と述べた。

 オバマ大統領は2012年11月に登場した習近平政権と友好的な米中関係の形成を試みた。
 このプロセスで中国が米国に要求したのは、両国がお互いの核心の利益を尊重するという「新型大国関係」だった。
 しかし中国が2013年10月、東シナ海で防空識別圏を一方的に拡大すると、米中関係に亀裂が発生し始めた。
 その後、米中間の衝突は中国が無人島埋め立てと軍事基地化を進めている南シナ海に拡大され、いまや前線が台湾にまで拡大されている。

 中国は強対強で対抗している。
 環球時報は26日付の社説で
 「中国空母が米国の核心利益地域の周辺に行き、巡り続ける能力があるならば、米国が中国に加えている一方的な圧迫に変化が生じるだろう」とし、
 「第1列島線はもちろん、第2列島線をも越えて中国艦隊が巡航したことのない海域に進出すべきだ」
と主張した。

 米国の圧倒的な海軍戦力に対抗した中国の基本的な防御戦略は、弾道ミサイル能力をもとに「第1列島線」内に米国の戦力の進入を許容せず(接近阻止)、日本の小笠原諸島~グアム~パプアニューギニアを結ぶ「第2列島線」内では米軍の自由な移動を制約(領域拒否)するという「接近阻止・領域拒否戦略」だ。
 防御的戦略の概念であった「列島線」がいつのまにか攻勢的な脈絡で使われているということだ。

 中国はまた、南シナ海の人工島と飛行場の防御のために500基に及ぶ長距離ミサイルの配備を推進していると伝えられている。
 中国はパラセル諸島(西沙諸島)の人工島であるウッディー島(永興島)など3つの人工島と、そこの飛行場の防御のために長距離ミサイルである「紅旗-26」(SA-21)をはじめ、500基あまりのミサイルを海南島に搬入したと、米国のフォックスニュースが米情報機関の消息筋を引用して24日(現地時間)報道した。

 中国の挑戦に対抗して、米国は戦後70年あまりの間封印されていた日本の集団的自衛権を解除し、日米同盟を地域同盟から「グローバル同盟」に役割と位相を強化した。
 安倍晋三首相の27日(現地時間)の真珠湾訪問は、このような日米同盟の強化作業の大団円の幕開けとなる見通しだ。
 安倍首相は27日、日本の真珠湾空襲で沈没した米国艦艇の上に建てられたアリゾナ記念館をバラク・オバマ米大統領と一緒に訪問して献花して追悼する。

 米中の衝突と日米同盟強化という東北アジアをめぐる強大国の最近の流れは、韓国の外交戦略に大きな宿題を投げかけている。
 日米同盟の下位パートナーとして吸収された韓国は、THAAD(高高度防衛ミサイル)配備論議などに見られるように、中国牽制の最前線として備えることを要求されている。
 ともすれば米中の衝突の1番目の被害者となる可能性が濃厚だ。
 トランプ当選者は一歩進んで韓米同盟に対する追加コストを払うよう、在韓米軍防衛費の分担金増額まで要求するものとみられる。



人民網日本語版配信日時:2016年12月28日(水) 19時0分
http://www.recordchina.co.jp/a159196.html

中国空母に日本の戦闘機が緊急発進、専門家が解読―中国メディア

 中国海軍の「遼寧」艦隊は24日、西太平洋海域での遠洋訓練へ向かった。
 予想できることだが、日本の海上自衛隊がまた追跡を行った。
 25日夜、日本防衛省は東シナ海を航行していた中国空母艦隊が同日午前10時頃、すでに宮古海峡を通過して西太平洋に入ったと発表した。
 同海峡を通過した艦艇は「遼寧を含む計6隻」。
 25日午後、艦載ヘリコプターが「『遼寧』と共に航行するフリゲートから」発艦し、宮古島領空約10キロに接近し、航空自衛隊の戦闘機が緊急発進(スクランブル)して対処した。
 人民網が伝えた。

 「遼寧」艦隊の遠洋訓練を日本が追跡・監視する問題について、軍事専門家の尹卓氏は
 「日本はここ数年、特に安倍政権以降、一貫して中国を戦略的ライバルと見なし、中国海軍の発展を注視している。
 日本は中国海軍の強大化は脅威になると考え、過去数回の「遼寧」の海上訓練及び通常の活動を注視してきた。
 今回の「遼寧」艦隊の遠洋航行は作戦内容訓練が中心であり、過去の技術訓練とは異なる。
 「遼寧」艦隊が訓練中に使用するレーダー周波数、データリンク、衛星通信などは作戦訓練に不可欠な情報ネットワークを構成している。
 日本はこれに非常に注目している」
と述べた。

 では、実戦訓練において、中国側は情報漏洩をいかにして防止するべきか?尹氏は
 「各種電子設備はこうした状況下では訓練周波数を使用する。
 同時に艦長と艦隊指揮官も周辺でどのような設備が監視・傍受しているのかをよく分かっている。
 したがって周波数の使用、レーダー始動などの面で情報漏洩防止措置を講じる」
と述べた。

(提供/人民網日本語版・編集NA)

 「腹をさらしてしまった」
というのが本当のところだろう。
 「情報漏洩防止措置を講じる」
としているが、その航行自体が情報漏洩である。
 でもそれはしかたないことでもある。
 日本はすばやく分析対応していくだろう。
 ポンコツ空母であるが、メデイア的には中国空母が日本処島を突破した危機となり、中国軍事力の危険が声高にさけばれ、日本国民の民族感情をさらなる嫌中に振ることになるだろう。
 日本政府としては好機がつぎから次へと向こうからやってくる、という判断だろう。



●若葉マーク!!」の中国空母が日本近海にやってきた!その目的は・・・・・
2016/12/28 に公開




●海上自衛隊 そうりゅう型潜水艦【性能】 中国軍艦「日本は5隻十分だと!?」日本が本気を出した瞬間勝負は決する・・・日本が誇る世界最強の技術】 2016/10/14 に公開




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2016年12月24日土曜日

トランプ外交の幕開け(6):中国を軍拡競争に引きずり込む<レーガン方式の採用か?

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 レーガンはソ連を軍拡競争に引き連りこんでつぶした。
 崩壊してロシアになったが、ロシアは軍事大国だが小粒な国になった。
 トランプはレーガンのやり方を踏襲するのだろうか。
 軍拡をすればアメリカ国内では仕事は増え、失業率は下がり、景気は上向く
 それを狙っているのか。
 狙われた中国はどうする。
 ソ連のようになるのか。
 台湾、チベット、内蒙古、新疆ウイグルなど分離独立の兆しのある地域が控えている。


ロイター  2016年 12月 24日 02:54 JST
http://jp.reuters.com/article/usa-trump-nuclear-us-will-win-idJPKBN14C1U0

軍拡競争起こればいい、
米国は勝つ─トランプ氏=報道

[ウェストパームビーチ 23日 ロイター] -
 トランプ次期米大統領は核戦力を増強すべきとの発言について説明を求められ、
 「軍拡競争が起こるなら起こればいい」、米国は勝つと述べた。
 MSNBCが23日、報じた。

 トランプ氏は前日、ツイッターで、米国は世界が分別を取り戻すまで「核兵器の能力を大きく拡張、強化すべき」と述べていた。

 MSNBCによると、トランプ氏は電話取材で前日の発言について詳細を求められると、
 「軍拡競争が起こるなら起こればいい。
 われわれはあらゆる面で勝り、最後まで生き残る」
と述べた。

 トランプ氏から大統領報道官に指名されたショーン・スパイサー氏は複数のテレビ番組に出演し、次期大統領はロシアや中国など他国が核戦力の増強に動かないよう確実にするとし、軍拡競争は起こらないと述べた。
 「次期大統領は、静観し許容することはないとの自身のメッセージを各国がきちんと理解するようにする」とし、
 「そのため彼らは分別を取り戻し、深刻な事態には至らない」
と語った。

 トランプ氏が前日、ツイッターに投稿した内容について、ロシアのプーチン大統領は23日の年次記者会見で、新しく特筆すべき内容は無いと指摘、米国を侵略国として認識していないと明言した。

 トランプ氏は23日、声明を出し、プーチン氏から今月、「非常に素敵な書簡」が届いたと明らかにした。
 両国関係の強化を呼び掛ける内容だったという。



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中国経済危うし信号(3):GDP「6.5%」の目標下回る成長率を容認する構え、小康社会から不康社会へ

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 あらゆる指標が低下するなかで、これだけは死守すべきものとされているのがGDP。
 「6.5%ライン」というのが攻防線になっている。
 マルクス経済学でいくと、ピークに達した成長率は年0.35%、「3年で1%」のペースで落ちていくという。
 ということは、中国は2035年には「0%」成長になるといわれている。
 「6.9%」の次は「6.55%」というのが目標であったが、どうもそれを大きく上回りそうである。
 落下のスピードは今後どんどん早くなるかもしれない。
 経済を下支えするものがない、というのが底抜けの原因であるようだ。
 「豊かになる前に没落する」ことになりそうである。
 無駄金を地面に埋め込む高速鉄道建設、ゴーストタウン計画、そしてゴー音をまき散らしながら刷り上がる人民元紙幣。
 農民戸籍という2級人民を都市戸籍という1級人民が搾取することで成り立っている中国社会。
 いまや濃灰色のスモッグの中で小康社会から不康社会へと進んでいくように思える。
 少しゆとりのある社会は夢の夢で、ゆとりのまるでない社会へ沈んでいくようである。


Bloomberg 12/23(金) 23:25
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161224-25031592-bloom_st-bus_all


中国国家主席、6.5%の目標下回る成長率を容認する構え-関係者

 中国の習近平国家主席は経済成長率が政府目標の6.5%を下回ることを容認する構えだ。
 事情に詳しい関係者によれば、債務増大のほか、ドナルド・トランプ氏の米大統領選勝利で世界の状況に関する懸念が強まったため。

 習国家主席は今週開催された中国共産党の中央財経領導小組の会合で、目標を達成することであまりにもリスクが生じる場合、達成する必要はないと発言した。
 会合が非公開であることを理由に関係者は匿名で述べた。同会合に出席した指導者らは
 11兆ドル(約1290兆円)規模の中国経済
について、雇用が堅調に推移する限り成長鈍化の状況でも安定を維持するとの考えで一致したという。

 中国の政策当局者らは昨年、「小康社会(適度にゆとりある社会)」建設という政府目標を達成するために
 2020年まで5年間の経済成長率は少なくとも年6.5%が必要だと表明していた。
 国内総生産(GDP)と国民1人当たりの所得を20年までに10年の水準から倍増させるというものだ。
 こうした成長目標は当局者に金融安定を脅かしかねないリスクを取る動機を与えるとして、一部のエコノミストらは批判的な見方を示している
 。国際通貨基金(IMF)も目標の引き下げを勧告している。

原題:Xi Said to Express Openness to Growth Below 6.5% as Debt Climbs(抜粋)
配信 John Liu



Bloomberg 12/30(金) 12:30配信 Jeff Kearns
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161230-30686492-bloom_st-bus_all

中国は6.5%の成長目標を放棄へ、
2018年までに-ソシエテGが予想

  中国指導部が資産バブルと金融レバレッジの抑制を推し進める中で、
 当局は向こう2年のいずれかの時期に6.5%の経済成長率目標を放棄する見通しだ。
 ソシエテ・ジェネラルがこうした見方を示した。

 同行の中国担当チーフエコノミスト姚煒氏(パリ在勤)はリポートで、現行目標を下回る成長容認のシグナルは明るい材料だが、
 景気減速は来年7-12月(下期)に見込まれ、
 中国当局はまだその試練に直面していない
と指摘した。

 姚氏はガイダンスの変更で最も可能性が高いのは、
 来年3月の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で成長率目標を「6.5%前後」に修正し、
 同年秋の共産党大会で6-6.5%もしくは5.5-6.5%のレンジへと明確に引き下げる
ことだろうと予想した。

 同氏は「恣意(しい)的な成長目標は放棄されるだろう。
 2017年にそれが行われなければ、間違いなく18年になる」とし、
 「そうした目標を維持することの害はかなり明白だ。
 必要な構造調整の障害だけでなく、
 債務リスク急上昇の原因だからだ
と指摘した。

 中国当局は昨年、
 「小康社会(適度にゆとりある社会)」建設という中国共産党の目標達成のため、
 2020年までの5年間の成長率を少なくとも年6.5%にする方針を示した。

原題:China to Abandon 6.5% Economic Growth Goal by 2018, SocGen Says(抜粋)




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2016年12月23日金曜日

中国環境汚染(5):「現地化」の失敗による外国企業排除の名目に

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  なんら手を打つことなく放置した4年間。
 やったことはスバラシイ計画の草案の立ち上げと企業摘発だけ。
 根本的なことはすべて後送り。
 これからも実際的な対策がなされることはなく、企業イジメだけが先行するだろう。
 そうすることで、あたかも施策されたと宣伝する材料を作っていくだけである。
 大気汚染は気象災害として自然に罪をなすりつけることで責任回避を実行、どんどんと過酷な状況に国土を貶めていくことになる。
  大気汚染の責任放棄論は事態を悪くするだけである。 


yahooニュース 5/25(水) 16:24 児玉克哉  | 社会貢献推進国際機構・理事長
http://bylines.news.yahoo.co.jp/kodamakatsuya/20160525-00058059/

中国政府の厳しい新環境基準に日系企業はどう対応すべきか
~環境保護局が公開する違反企業の実態とリスク

 中国の環境の悪化は大きく報道されているが、今、それとともに重要なのは中国政府が打ち出す環境改善のための仕組みづくりである。
 今、制度が大きく変わろうとしている。
 この変化をしっかりととらえなければ、日系企業も足元を救われかねない。
 これまで何度か中国の環境問題について記事を書いてきているが、それらは大きな反響があった。

●「環境政策で大変貌を遂げつつある中国
 ~日本企業にとって大チャンスが到来」
http://bylines.news.yahoo.co.jp/kodamakatsuya/20160424-00056994/
●中国で日本企業主導の産学連携プラットフォーム発足
http://bylines.news.yahoo.co.jp/kodamakatsuya/20160523-00057967/

「ピンチこそがチャンス」をそのまま地で行く日系企業の取り組みが関心を集めたのであろう。
 ところがその反面、中国進出している日系企業の中にはこの大きな荒波に対処できず大変な状況にある企業もあるようである。
 今まで通りのやり方では、波に乗るのも難しいし、避けるのも難しいというところだろう。
 中国の環境規制がどれほど厳しさを増しているかを調べてみると、イメージとは異なる実態がでてくる。
 インターネットなどで公開されている情報源からでも、意外なほど容易に「日本ではほとんど話題になっていない重大な事実」が浮き彫りになった。
 実はこの事実、日本の新聞各社、メディアが取り上げたなら、格好のコンプライアンス違反として注目を浴びる話題になることと思う。

●http://www.sepb.gov.cn/fa/cms/shhj/shhj2060/index.shtml
上海市環境保護局 行政処罰情報のページより

 上記HPを見てもらいたい。
 中国特有の簡体字の表示なので見慣れない方には難しいかもしれないが、2015年6月から毎月の行政処罰の情報が載せられている。
 ここで言う「行政処罰」とは、以下の環境関連の法規や条例に違反し、操業停止や罰金処罰を受けたということであり、リストには企業名とその法廷代表人の名前が公開されている。

中華人民共和国固体廃物汚染環境防治法
中華人民共和国水汚染防治法
中華人民共和国大気汚染防治法
建設項目環境保護管理条例
オゾン層消耗物質管理条例
上海市環境保護条例
上海市大気汚染防治条例

いわゆる「水十条」「大気十条」に定められた法執行がそのまま行われていると言うことの証左である。

 ここで注目すべきは、現地に進出し生産拠点を持つ日系企業はどうなのだろうかと言うことである。
 日系企業はどの企業も環境に気を遣い、全社を挙げて環境経営、省エネ推進していると自負しているようであるが、悪い意味での「郷に入っては郷に従う」式の経営をしてしまってる企業も存在するようである。
 例えば上記HPの2015年7月分を見てもらいたい。
 日本の上場企業である日工株式会社、株式会社椿本チェイン、そして8月にはなんと三井化学株式会社の現地子会社の名前とその法廷代表人の名前が記載されている。
 今年に入って1月には、株式会社クレハの上海現地子会社も名前が挙がっている。
 大変残念だが去年の6月からこれまでに約20社の日本企業の現地子会社が環境問題の対処が悪いと言うことで行政処罰を受けてしまっているのである。
 当然現地の企業も多く存在する中の20社であるためそれほど大きな割合では無いが、環境経営を旨とする日本の上場企業までもが悪い意味での「現地化」してしまっていたことに正直ショックを隠せない。
 日系企業は優れた環境技術を持っていて、環境問題を起こさない、というイメージが崩れていく。
 果たして、ここに名前が挙がってしまっている現地法人の法廷代表人の方はこの事実をご存じなのだろうか。
 これまでにも中国における環境対策の重要性とそのリスクを訴えてきたが、日系企業といえどもこの対応には大きな課題を抱えていることがこれを見ても明らかである。

 では、何故このようなことになってしまっているのだろうか。
 簡単に言えば、「現地化」の失敗である。
 どの企業も外国で生産を行い、販売を行い、サービスを提供するなどのビジネスを行うにあたっては、現地のスタッフを教育しできるだけ日本からの駐在員を減らすことで、コスト削減を進める事を目指しているはずであり、それを「現地化」と言いながら推進してきたことは間違いないであろう。
 ところがその結果、「人」は現地のスタッフに入れ替わってはいるだろうが企業の理念や経営方針は置き去りになったまま、人だけが変わるという現地化が進んでしまったことがこのような行政処罰を受けてしまう元凶であると私は見ている。
 特に政治体制も文化も違う中国ではなおさらである。

 つまり、現地の悪習慣(商業賄賂や役人の腐敗、不作為)に飲み込まれ、「現地スタッフに任せています」という如何にも「現地化を達成している」という風な日本人駐在員の無責任の連鎖がこのような結果をもたらしてしまったと言うことなのである。
 では、日系企業のこの汚名をどう返上すべきなのだろうか?
 一般的に日系企業はこのような問題に直面した場合、本社より特別の監査チームを送り出し問題の調査と原因の追及、そして改善案を提案することが多いが、それにより根本的な問題が解決することはほとんど無い。
 なぜならば、現地の問題は表面化した部分よりももっと奥深くにその原因の核が存在しており、表面をなでただけで分かるようなものでは無いからだ。
 現地の総経理や経営陣からしたらそんな形だけの監査はありがた迷惑の何物でも無い。
 その根本原因を理解もせず、できもしないことをやれと言われてもというのが本音だろう。

 結論から先に言うと、日本の本社から送ってくる監査団に任せるよりも、現地の事情をよく知りこれらの諸問題の根源がどこにあるかを十分に知り尽くした第三者の専門家集団に監査を任せ、何らのしがらみの無い立場からの辛辣な意見を聞くことから始めるべきであろう。
 本社の監査団にとっては目から鱗のような現実が迫ってくることは間違いない。
 だからこそ、先にコラムで紹介した同済国際グリーン産業創新センターの様な日系企業の事情をも知り尽くした第三者の専門集団が発足したことは大歓迎すべき事だと思う。
 日本式のしがらみや系列、またはグループなどと言う枠にとらわれず何が正しいかを愚直に追求してこそ、中国が直面している環境やエネルギー、至っては労働環境衛生などの多くの問題を解決する道が開けることになるであろう。

 中国はこれからますます環境規制を強めていくだろう。
 昨日のルールが今日には通用しないという状況も生まれている。
 現地での情報収集は不可欠だ。
 同済国際グリーン産業創新センターなどを上手に活用して日系企業のリスク回避が進むことを願ってやまない。
 環境技術で世界でトップクラスはずの日系企業が中国で環境問題で問題となることはぜひとも避けたい。



yahooニュース 12/23(金) 6:30 児玉克哉  | 社会貢献推進国際機構・理事長
http://bylines.news.yahoo.co.jp/kodamakatsuya/20161223-00065786/

中国政府の厳しい新環境基準に日系企業はどう対応すべきか
~環境保護局が公開する違反企業の実態とリスク2

 中国の変化は凄まじい。
 数年前の感覚で捉えていれば、あっという間に足をすくわれる事態がやってくる。
 「中国は環境後進国で、日本の環境技術で適当に対応していれば問題はないはず」
とか
 「中国は賄賂の国で、融通がきく」
という前提で考えていると大きな問題となる時代がやってきた。
 中国は急速に変化する。
 むしろ変化が遅いのは日本だ。

 2016年の5月25日付けで筆者が警告した記事
 「中国政府の厳しい新環境基準に日系企業はどう対応すべきか
 ~環境保護局が公開する違反企業の実態とリスク」
が現実となった。
 中国政府の変化はもう「脅し」や「警告」のレベルではない。
 本格的な環境改革が起こされようとしている。
 もちろん、中国での規制や改革は完璧に行われるわけではなく、ムラがあり、一律には行われない。
 同じことをしても見逃してくれる場合も、厳しく罰せられる場合も出てくる。
 そうであるだけに十分な対応が求められるのだ。

 以下の記事は、2017年1月号 月刊 「FACTA」で発表された記事の一部である。
*************
「中国当局が苛烈な環境規制 処分を受ける日系企業続出」
『中国政府の環境規制強化に伴い、日系企業の摘発が相次ぐ。
大気、水、土壌など深刻な汚染の実態が明らかになるにつれ、中央政府も環境規制に本腰を入れざるを得なくなった。
なかでもエコ意識が高い沿岸部では、「日本に比べ中国は環境基準が緩いという認識はもはや通用しない」(日系食品メーカー)。
排水や揮発性有機化合物(VOC)の一部項目では、日本を上回る基準を課せられ、クリアできない日系企業が増えている。
1万社を越す日系企業が進出している上海市では、環境保護局が違反企業をホームページで公開している。
ほとんどが中国系企業だが、日本企業も例外ではない。
ちなみに2016年1月~10月に約40社の日系企業が罰金や生産停止処分を受け、三井化学、花王、ダイキン工業、JUKI、クレハといった名だたる大企業が槍玉に挙がった。
 罰金は、概ね10万~50万元(160万~800万円)だが、違反を繰り返し、大幅に加算されるケースもある。』
*************

  この事実は、筆者の上記の記事でもご紹介した内容であるが6月以降も処罰を受ける企業は増え続けていることは間違いないようだ。
 日系企業は環境技術では世界のトップクラスだ、という先入観があるだけに、中国で日系企業が環境規制で処罰を受けるというのは信じられない状況であったが、実際に起きている。
 これが現実だ。
 また、同記事は、
 『環境保護当局は自らの存在感を示すため規制強化に突き進み、
 日系企業は変化への対応が遅れている。
 日本の本社の無理解と中国当局の規制強化に苦しみ、
 厳しい処分を受ける日系企業が続出するだろう。』
と結んでいるが、残念ながら問題提議はしつつもどうやって解決すべきかにまでは言及できていない。
 中国の変化についていけず、ぼう然としている日系企業の姿がある。
 本気で対応しなければならないのだ。

 以前より筆者はこの事実を紹介しずっと警笛を鳴らしてきたが、その重大性に気づかないのか日本企業の対策はずっと後手後手に回ってしまっている。
 しかし、来年以降その締め付けは増すばかりであり、対策の遅れが足枷となり中国事業所の経営に大きな陰を投げかけることは間違いない訳であるから、今ひとたび有効的な解決策は何かを纏めてみようと思う。

「中国では役人との人間関係で全てが上手く行く」という過去の幻想を今も抱いている企業経営者が多く、現地の担当者に「当局との飲みニケーション」「役人を抱き込め」などと指示を出す本社も多いようだがそれは既に過去の話。
 私の記事
 「中国事業所における商業賄賂問題についての一考察~中国では99%の企業が商業賄賂問題を抱えている」
http://bylines.news.yahoo.co.jp/kodamakatsuya/20150828-00048922/
を再度読んで貰いたい。
 中国における賄賂の問題は日系企業を苦しめてきた。
 むしろ賄賂が厳しく規制される新たな状況は日系企業にとっては追い風だ。
 状況の変化をはっきりと捉え、迅速で明確な対応をすることが求められている。
 賄賂や変則的な人間関係に頼るのではなく、真正面から環境対策に取り組む姿勢が必要なのだ。

 これまでの腐敗を一掃することを断言している習近平総書記は、環境に絡んだ不正については特別な監察組織(環境警察)を編成し容赦しない事をアピールしている。
 因みに、中国中央政府環境保護部は大気汚染の悪化にともない特別監察団を組織し12月16日付けで以下の重点地域への監察を行うことを発表している。
 重点地域とは、北京、天津、河北、山西、山東、河南省(市)各地である。
 日系企業も相当に進出している地域だ。
 これは既に報告されている大気汚染対策案を正しく実施しているかどうかを厳しくチェックすると言うことであり、各地域の役人は日時も知らされず突然の訪問を受け入れざるを得ない状況であると現地友人からは報告を受けている。

 さて、ではこのような状況下日系企業はどのような対策を取るべきだろうか。
 これまでであれば、間違いなく相談相手となるのは日本本社の専門家による監査、弁護士かビジネスコンサルタントであった。
 ところがこれまでにも指摘しているように、彼らにはこれらを解決する経験も知恵も無いという現実の壁が存在する。
 もう時代は新しい次元に入ってしまっている。
 これまでの「法則」をベースにすると逆に落とし穴に嵌ってしまう。
 そんな状況を知ってか、12月1日にJETRO本部で開催された「中国・韓国最新経済動向セミナー」においてJETRO上海事務所の小栗所長は、現地の事情を鑑み以下の様な解決策を紹介されている。

*************
『「会計監査」と同様に、専門家の正しいオピニオンが必須。
素人が生半可な知識や経験で対応できる状況ではない。
従って、「環境・エネルギーの専門監査を受ける」ことが解決策の選択肢に。必須条件として、1)中国法規・規制の専門知識 2)対応策に対する技術・方策を熟知 3)現地の現場事情に精通』
*************
 中国の「新常態」にあって、今まで通りのやり方では役に立たない状況に陥っていると言うことを知るべきなのである。

 では、この条件を満たす相談相手は誰なのだろうか?
 簡単に解決できる状況ではないが、一つの方策として
「同済国際緑色産業創新中心
 http://tgii.center/
がある。
 中国と日系企業を結ぶ産学連携の組織だ。
 彼らの設立目的がまさしく今の状況を打破するための手助けとなる事は間違いない。
 新しい風が吹いている。
 日本と中国を結ぶ産学連携の展開が進んでいることは非常に心強い。
 『中国で日本企業主導の産学連携プラットフォーム発足~「同済国際グリーン産業創新センター」への期待』
http://bylines.news.yahoo.co.jp/kodamakatsuya/20160523-00057967/
を今一度読んで貰いたい。

 筆者がこれまで一貫して主張してきたことは、以下のことである。
*************
『これまで日本の企業群は、どうしても中国の変化の波に乗りきれずビジネスチャンスを逃すことが多かったが、このような斬新な取り組みでリスクを回避しつつもビジネスとして大きな実績を残してくれることを期待してやまない。
中国も本気モードに入っている。
それくらい環境問題は深刻化しているのだ。
しっかりとリスクを認識し、回避することができなるなら、これまでとは異なったレベルでのチャンスが到来したと言える。』
*************

 中国の変化は激しい。
 それだけに戸惑いもある。
 ただしっかりと対応するなら、この変化はむしろ日系企業にプラスの展開だ。
 まさしく、今こそピンチをチャンスに変える時ではないだろうか。



サーチナナユース Record china配信日時:2016年12月23日(金) 14時0分
http://www.recordchina.co.jp/a158517.html

中国、例年以上に深刻な大気汚染、
各地で最悪レベルの「赤色警報」、
インドも同様、急速な経済発展国に共通

 2016年12月23日、今冬の中国では各地で例年以上の深刻な大気汚染が発生している。
 北京では16日から21日まで、4段階のうち最悪レベルの「赤色警報」が今年初めて発令された。
 日本では大きく報じられないが、インドの大気汚染も深刻。
 急速に工業化が進み、経済発展する国に共通の悩みでもある。

 中国の大気汚染に関する警報は、上から
赤」「オレンジ」「黄色」「青色」の4段階
 「赤色警報」下の北京の一部では、発がん性が指摘される微小粒子状物質(PM2.5)の濃度が1立方メートル当たり、300マイクロ・グラム(日本の環境基準は35マイクロ・グラム)を超えた。

 中国メディアによると、北京周辺では「赤色警報」に伴い、石油プラント、冶金工場、セメント工場、火力発電所、インスタントラーメン工場など1200カ所の工場に操業停止、減産が命じられた。
 屋外での建築工事も強制的に停止。期間中、車の交通量を半分近くに減らすため、車のナンバーの末尾が日によって偶数か奇数のどちらかしか走ることができない措置が取られたほか、日本人学校を含むほとんどの幼稚園や小中学校が休校となった。

 北京以外でも、天津市、河北省石家荘市、山西省太原市、山東省徳州市、河南省鄭州市など22都市が「赤色警報」を発令。河南省平頂山市、山西省呂梁市、山東省済南市など18都市が1レベル下の「オレンジ警報」となった。

 中国当局も大気汚染対策には、ほとんどお手上げの状態。
 北京市政府は対策の一環として「北京市気象災害防治条例」の制定を進めているが、
 大気汚染を「気象災害」と規定しているため、専門家から「汚染物質の排出という人為的責任を看過しかねないミスリードではないか」との批判を招いている。
 香港メディアは「大気汚染の改善には今後1兆7500億元(約29兆円)規模の投資が必要との試算もある」とも報じている。

 インドの首都ニューデリー周辺も事情は同じ。
 急激に都市化した結果、ディーゼルエンジンや石炭火力発電所、産業排出物に起因する大気汚染が進み、環境が年々、悪化している。

 AFP通信などによると、デリー首都圏政府は11月初め、ニューデリー周辺のPM2.5の濃度が過去20年間で最悪の危険な水準に達していると指摘。
 市内の全学校を3日間臨時休校とした。
 粉じんをまき散らす建物の建設や解体工事を5日間禁止することなども決めた

 今年5月に世界保健機関(WHO)が公表したデータによると、ニューデリーのPM2.5の年間平均濃度は世界約3000都市のうち11番目に高く、北京の約1.4倍に上った。
 濃度が高い20都市のうち、最悪だったのはイランの都市ザーボルだが、インドは半数の10都市を占め、中国(4都市)やサウジアラビア(3都市)を大きく上回っている。



サーチナニュース 2016-12-24 22:12
http://news.searchina.net/id/1625884?page=1

日本は努力を継続して解決した! 
中国で深刻化する大気汚染

 本格的な冬を迎え、中国で大気汚染が深刻化している。
 中国北部の都市部では「暖気(ノワンチー)」と呼ばれる集中暖房システムが導入されており、旧式の石炭ボイラーを用いた暖房システムは大気汚染の大きな原因の1つとなっている。

 日本も高度経済成長の時代、大気汚染が問題となったが、社会全体をあげて改善に取り組んだことで環境は随分改善した。
 中国メディアの今日頭条は22日、かつては数々の公害に苦しめられた日本は半世紀にわたって環境改善に向けて努力してきたと論じる記事を掲載した。

 記事は、中国では毎日マスクを手放すことができず、空気清浄機も24時間フル稼働させる必要があると指摘したうえで、1立方メートルあたりのPM2.5濃度が1000マイクログラムに達した都市もあるほど、「PM2.5」による大気汚染が深刻化していることを伝えた。

 厚生労働省によれば「大気中のPM2.5値が10マイクログラム/立方メートル増えるだけで、その地域の住民の死亡率が6%増える」ことから、中国の大気汚染がいかに深刻なものかよく分かるだろう。

 続けて記事は、日本も高度経済成長によって深刻な環境破壊を体験し、大気汚染も深刻化したとしながらも、「今日の日本には中国で見られるようなスモッグはない」と紹介。
 日本が大気汚染などの公害を解決できたのは
 「法理を整備し、大気中に存在する汚染物質に対して基準を設け、排出量を制限した」
ことが大きな理由だと紹介した。

 さらに、産業界も法律に従って大気汚染物質の排出削減に取り組んできたと指摘、日本全体が公害の解決に向けて半世紀以上にわたって努力を継続してきたこと

 スモッグが確認されて4年がたち、その間らしい対策は何もとられていない。
 そして半世紀という数字を持ちだしてきている。
 日本は一から試行錯誤しながら対策をせざるをエなかった。
 しかし、いまはそのシステムも構築されており、それをパクればもっと短期間でできるはずである。
 それをせずに半世紀かかるというのは、何もしないでこのままにして、責任を後送りするということであろう。
 典型的な責任放棄論でこのままいけば、本当にスモッグの海に沈んでしまうかもしれない。


サーチナナユース 2016-12-26 07:12
http://news.searchina.net/id/1625895?page=1

われわれは製品を国外に輸出し、汚染を自国に残している 貿易における環境面の「赤字」を清算せよ! =中国メディア

 今月に入って北京など中国北部を中心に発生している深刻な大気汚染は、
 急速な発展と引き換えに出現した環境汚染の凄まじさ
を改めて痛感させる出来事となった。
  大きなダメージを受けた環境を改善しながら安定した経済成長を実現できなければ、中国にかかった「もや」が晴れることはない。
 中国メディア・澎湃新聞は20日、
 「われわれは製品を国外に輸出し、汚染を国内に残している」
とする記事を掲載した。

 記事は、ある国や地域における経済・貿易の構造は、空気の質と関係があるとし
 「空気の質が悪い段階においては、輸出するのは工業製品であり、輸入するのは原材料だ。
 空気の質が良い段階になると状況は大きく変化する。
 工業製品を輸入して、サービス産業を輸出するようになるのだ」
と説明。
 そして、貿易は物理的、経済的な指標に限らず、環境の指標を用いて衡量することができるのであると論じた。

 そのうえで、近年における中国の貿易は、経済的には大きな黒字となっているものの、環境という視点に立てば「ひどい赤字であり、貿易によって引き起こされる汚染はますます多くなっているのである」と指摘。
 「言い換えれば、われわれは製品を国外に輸出して、汚染を国内に残しているのだ」としている。

 そして、中国は現在その発展政策と貿易政策について反省しなければならないと主張。
 発展政策についてはすでに多くの反省が行われてきたものの「貿易に対する反省は不十分であり、環境政策となるとさらに反省が必要だ」と訴えた。

 記事は、
 クリーン経済は「クリーン生産、クリーン貿易、クリーン消費、クリーン投資」
とう複数の重要セクションが組み合わさって成り立つものであると説明。
 クリーン貿易とは「貿易体系に環境面の考慮を加えること」であり、その推進には製品、企業、業界そしてマクロ政策全てが関わっているとした。
 そして、クリーン貿易の目標を実現するには「単に貿易黒字だけでなく、環境面においても『黒字』となる」ことが必要であると論じている。

 中国の急成長を支えた貿易における、環境面での「赤字」は一朝一夕でどうにかなるレベルのものではない。
 これをトータルで「黒字化」するためには並々ならぬ努力が必要であり、記事が指摘する通り、サービス産業の大々的な発展が不可欠だ。
 金儲け一辺倒ではなく、人びとがより良く生きられるようにすることをテーマに掲げた経済活動が求められるのである。



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2016年12月20日火曜日

トルコ駐在ロシア大使殺害:大使殺害に「共通の仮想敵」、絆強めるロシアとトルコ

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The World Video   2016/12/20
http://videoclip.club/post-16558/

【閲覧注意】ロシア大使が射殺される、衝撃的な瞬間をカメラがとらえる

 2016年12月19日、トルコ駐在のロシア大使アンドレイ・カルロフ氏は現地時間同日、トルコ・アンカラで開かれた写真展に出席した際射殺され、当時の様子を記録した動画が公開され注目を集めている。

 海外メディアの報道によると、犯人は警察の身分証で展示会場に入り、演説するカルロフ氏の後ろに立っていた。
 犯人はカルロフ氏を撃った後、
 「アッラーは偉大なり」
 「シリアとアレッポを忘れるな」
などと叫び、トルコの警察に射殺されたという。
 動画では倒れ込むカルロフ大使の姿と、興奮した犯人の様子を確認することができる。
(出典:https://www.youtube.com/watch?v=JaNvcHw5SCY)






ニューズウィーク 2016年12月20日(火)13時30分 今井宏平(日本貿易振興機構アジア経済研究所)
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/12/1210.php

トルコのロシア大使が射殺される
犯人は「アレッポを忘れるな」と叫ぶ


●Ugur Kavas-REUTERS

<12月19日にトルコの首都アンカラで駐トルコ・ロシア大使をが写真展の開会の辞を述べる際に、警護のために会場にいた警察官に背後から銃撃され死亡した。>

■事件の概要

 12月19日にトルコの首都アンカラで駐トルコ・ロシア大使を務めていたアンドレイ・カルロフ(Andrey Karlov)が写真展の開会の辞を述べる際に、警護のために会場にいた警察官に背後から銃撃され死亡した。
 カルロフ大使の他に3名が負傷し、病院で治療を受けている。
 写真展に出席したカルロフ大使はボディガードを帯同させていなかった。

 2013年から駐トルコ大使を務めるカルロフはこれまでもレセプションや会合に出席する際、ボディガードを帯同しないことが多かった。
 今から45年前の1971年5月にエフライ・エルロム・イスラエル総領事が極左グループのトルコ人民解放軍に誘拐され、その後殺害された事件はあったが、トルコ共和国において、大使が殺害されたのは初めてであった。

 内務大臣のスレイマン・ソイルの発表によると、犯人はトルコ西部のアイドゥン県生まれの22歳の警察官、メヴルット・メルト・アルトゥンタシュであった。
 アルトゥンタシュはトルコ第3の都市、イズミル県の警察学校を卒業後、アンカラで2年半、機動隊員として職務に従事してきた。
 アルトゥンタシュは
 「アレッポを忘れるな、シリアを忘れるな。
 シリアの同胞が安全でない限り、お前たちも安全を享受できない」
とトルコ語で叫んだあとカルロフ大使を銃撃した。
 アルトゥンタシュはその後、他の警察官によって銃殺された。

■事件の背景

 アルトゥンタシュがトルコ西部の出身であり、アラブ系ともクルド系とも報道されておらず、警察官として採用されていることからトルコ・ISとの関係も考えにくい。
 また、7月15日クーデタ未遂事件後の警察官への捜査の中でもその職を続けていたことから、ギュレン運動の信奉者でもないだろう。
 なぜロシア大使の警備が甘いことを知っていたのか、などの疑問も確かにある。

 しかし現時点では、ソイル内相やプーチン大統領は事件を「テロ」と呼んでいるものの、ローン・ウルフ型の事件の可能性も否定できないだろう。
 上述の発言にあるように、アルトゥンタシュはシリアのアレッポにおけるアサド政権軍、ロシア軍、イラン軍、ヒズブッラーなど体制派の攻勢、それによる犠牲者および難民の増加に憤りを感じていたことだけははっきりしている。
 ヒュリエット紙の主筆であるムラト・イェトキンの分析によると、アルトゥンタシュは「ロシアによってアレッポで多くの子供が殺された」とトルコ語と片言のアラビア語で叫んだとされ、同様の発言をするファトフ軍(以前のヌスラ戦線)などと関係していた可能性も取りざたされている。

 アレッポにはトルコマン人と呼ばれるトルコ系住民が多く住む地域もあったが、11月末の時点で、トルコマン人が支配していた地域は空爆によってほぼ壊滅したと報道されている。
 12月20日時点で、アレッポはほぼ体制派に制圧され、それに伴いアレッポから大量の難民が反体制派の管轄する地域などへ逃れている。
 一部の難民はトルコのハタイ県にも流入している。
 シリア難民約278万人が滞在しているトルコは、現在、世界最大の難民受け入れ国となっている。

■事件後の対応

 事件を受け、トルコのメヴルット・チャヴシュオール外相は、事件を強く非難するとともに、ロシアのラブロフ外相と電話会談を行った。
 プーチン大統領は、事件を「シリアにおけるトルコとロシアの友好的な関係を傷つけるものだ」とし、事件をテロと断定し、実行犯の背後に誰がいるのかを明らかにする必要があると述べた。
 エルドアン大統領も事件を強く非難し、ロシアとトルコが対テロ戦争で協力を強めることでプーチン大統領とも合意していると発言している。
 以前のコラムでも触れたように、昨年の11月24日のロシア機撃墜事件により関係が悪化した両国だが、今年の6月28日に関係改善で合意し、その後、良好な関係を構築してきた。

 12月20日にはシリア情勢に関するロシア、トルコ、イランの3ヵ国外相会談がモスクワで行われる予定であり、そこではアサド政権の今後、アレッポ市民の避難、体制派と反体制派の会合の実施などが話し合われる予定である。
 また、フィキリ・ウシュク国防大臣も同日、ロシアの国防大臣と会談予定である。
 チャヴシュオール外相とイランのザリーフ外相はアレッポの情勢に関してここ5日間で17回に渡り電話会談を行うなど、緊密に連絡を取りあっている。
 シリアにおいて反体制派を支援しつつも、ロシア、イランと良好な関係を維持するトルコは、アレッポの情勢を緩和することができるアクターとして、仲介者の役割を果たすよう努めている。

 ISの「本陣」であるラッカでの戦いを前に、アレッポにおけるアサド政権と反体制派の争いが激化し、ラッカで体制派と反体制派、そして体制派を支援するロシア、イラン、反体制派を支援するアメリカ、トルコの足並みが揃わないことも危惧されている。
 加えて、トルコはアメリカとロシアが支援するクルド系勢力と敵対関係にある。
 シリアをめぐる事情は複雑である。
 今回の駐トルコロシア大使の銃撃事件は、現時点では何らかの組織が絡んだテロなのか、ローン・ウルフ型の事件が詳細は不明であるが、シリア内戦の国際化がますます強まり、周辺諸国や関与する諸国に大きな影響を与えていることだけは改めて明白となった。

(2016年12月20日日本時間午前11時脱稿)


●事件直後の現場の写真 Sozcu Newspaper-REUTERS


ロイター 2016年 12月 21日 15:47 JST
http://jp.reuters.com/article/column-russia-turkey-idJPKBN14A080?sp=true

コラム:大使殺害に「共通の仮想敵」、絆強めるロシアとトルコ

[ロンドン 20日 ロイター BREAKINGVIEWS] - トルコの首都アンカラで19日、ロシア大使が射殺された事件は、両国の関係に深い傷を負わせなかったのかもしれない。
 それどころか、共通の仮想敵の存在は、両国の独裁的指導者を一層強く結びつける可能性がある。

 2015年11月にトルコ軍がロシア軍機を撃墜した事件はロシアを怒らせ、同国はトルコ製品の輸入を禁止した。
 しかしトルコのエルドアン大統領はその後謝罪し、制裁は解除された。
 大統領は最近、トルコ軍がシリアでロシアが支援するアサド大統領の打倒を狙っていると発言したが、この発言も撤回している。

 アンドレイ・カルロフ駐トルコ大使の射殺に対する両国の反応は、驚くほど足並みがそろっていた。
 両国の政治家はすぐさま、銃撃の狙いは両国関係の分断だと非難。
 トルコ・メディアは犯人について、7月15日のエルドアン大統領に対するクーデター未遂事件後に失職した警察官だと伝えている。
 犯人もその場で射殺された。
 クーデターの際には、米国に事実上亡命しているトルコのイスラム指導者ギュレン師(75)を支持したとして数万人のトルコ人が拘束あるいは更迭されている。
 トルコ側は今回の銃撃犯を「ギュレニスト」と呼んだ。
 これは犯人が西洋諸国の後ろ盾を得ていたことをあからさまに示唆するものだ。
 トルコ国営メディアは既に米中央情報局(CIA)の関与を指摘している。

 強い経済関係で結ばれるトルコとロシアにとって、外部の犯人は好都合だ。
 ロシアはトルコから食品や消費財を輸入し、トルコ人の建設労働者に多くを頼っている。
 ロシア人にとって、トルコは人気の旅行先だ。
 ロシアの天然ガスを黒海経由でトルコに供給するパイプライン「ターキッシュ・ストリーム」建設計画の再開も視野に入っている。

 その上、両国はともに経済に問題を抱えている。
 産油国のロシアは石油安と国際制裁に直面。
 トルコリラは7月のクーデター未遂以来、対ドルで20%超下落し、エルドアン大統領は市民に外貨をリラに両替するよう促している。
 トルコの国内総生産(GDP)は算出方法の変更により最近20%も増えたように見えるが、第3・四半期は前年同期比で1.8%減少し、7年ぶりのマイナス成長となった。

 ロシア、トルコ、イランの外相は20日、モスクワでシリア和平について協議した。
 ロシアとイランの支援を受けたアサド政権軍によるアレッポ制圧を、トルコは渋々ながら受け入れた。欧州連合(EU)など西側の意図に反し、ロシアとトルコの絆は強まる公算が大きい。

●背景となるニュース

*トルコの首都アンカラで19日、ロシアのアンドレイ・カルロフ駐トルコ大使が銃撃され死亡した。犯人は警察に射殺される前、銃撃はアレッポを巡るロシアの行動に対する報復だと叫んでいた。

*トルコのエルドアン大統領は同日、プーチン・ロシア大統領と電話会談した後、「これは挑発行為であるとの認識でプーチン氏と一致した」と述べ、「連帯を強化することで合意した」と付言した。

*プーチン大統領は政府高官らとの会談で「殺人犯をだれが操っていたのか突き止める必要がある」と発言。アンカラに捜査員を送り、トルコ当局と協力させる意向を示した。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

習近平に共産党最後の皇帝役をおし付ける中国(3):中国危機は時間の問題、 一党制国家の宿命

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2016.12.20(火)  Financial Times
(英フィナンシャル・タイムズ紙 2016年12月14日付)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48700

習近平主席の改革が成功し得ない理由
中国危機は時間の問題、
レーニン主義が強すぎる一党制国家の宿命

 中国の指導部の「核心」という称号を手にした習近平国家主席は、2つの任務を負っている。
 1つは、中国共産党から腐敗を一掃すること。
 もう1つは、経済の改革だ。

 しかし、このレーニン主義政党が支配する腐敗した独裁国家の純化と強化に習氏が力を入れ続けていくと、2つの任務は互いに相いれないことが明らかになるだろう。

 習氏は2014年、中国が直面している困難を次のように表現していた。
 「地方と産業界における腐敗は密接に関係している。
 結託して汚職をはたらく事例が増えている。
 人事における権限の乱用と行政権限の乱用は重なり合っている。
 権力と権力を交換したり、権力をカネと交換したり、権力をセックスと交換したりすることが頻繁に行われている。
 公務員とビジネスマンとの結託、そして上司と部下の結託も絡み合っている。
 お互いに利益を供与し合う方法は秘密にされており、多種多様である」

 この容赦ない告発は、自分を利するためのものかもしれない。
 裴敏欣(ペイ・ミンシン)教授が『China’s Crony Capitalism(中国の縁故資本主義、邦訳未刊)』というよくできた著作で指摘しているように、
 ストロングマン(強権的な指導者)になりたがっている人物は、ライバルを叩きつぶす手段として汚職の嫌疑をよく利用する。
 この手法は非常に効果的だ。
 汚職に手を染めているという指摘は、いかにもありそうな話だからだ。

 裴敏欣教授は中国当局が公表した資料を用いて、なれ合いの汚職がはびこっていることを明らかにしている。
 こうした腐敗は経済をゆがめ、当局を堕落させ、中国共産党から社会的正統性をはぎ取ってしまっている。
 確かに、腐敗はガンだ。とはいえ、何かの偶然でできたわけではない。

 1990年代初め以降の腐敗の爆発的な拡大は、成功している改革の負の側面だった。
 「中国の政治経済における縁故資本主義の台頭と確立は、
 今にして思えば、鄧小平による独裁主義的な経済近代化モデルの論理的な帰結である」
と裴敏欣教授は論じている。
 「なぜなら、何者にも縛られない権力を手にしたエリートは、経済成長によってもたらされた富を、その権力を使って略奪するという誘惑に抗えないからだ」
 腐敗とは、一党制国家と市場の結婚によって生まれる産物だ。
 誘惑、威圧、模倣によって広まっていき、ひとたびそれが常態になってしまうと、システム全体が大きな転換点に達してしまうリスクが生じる。
 習氏が恐れているのは、まさにそうした事態だ。

中国の腐敗に見られる特徴のうち特異なのは、
 富の急増と同時に発生したことだ。
 腐敗が富の急増を妨げることはなかった。
 それどころか、経済成長と腐敗は足並みをそろえて伸びてきた。
 しばらくの間お互いを補完していた可能性もある。
 腐敗が経済成長に燃料を供給し、
 実現した経済成長が汚職の原資を作り出すといった具合だ。

 この時期に中国がとっていた政策の特徴は主に3つある。
 市場の自由化、
 権限の委譲、
 異議を申し立てられる不確かな財産権
の3点だ。
 中央政府がすべての財産を支配する時代は終わったが、安定的な所有権が国民に配分されたわけではなかった。

 中国のように、財産に対する支配力が権利ではなく特権である場合、政治力を持つ人間は自分自身(そして自分がひいきする取り巻き)をとてつもなく裕福にすることができる。
 中国で行われたのは、まさにそういうことだった。
 共産党の役人たちが、自国の政府から貴重な資産(土地、鉱物資源など)を没収し、勝手に自分の懐に入れてしまったのだ。

 その過程では結託する必要があった。
 経済活動に必要な手段――財産と許認可――を1人で支配している例はなかったからだ。
 結託の輪が姿を現すのは必然だった。
 上級幹部(「一把手」と称されるトップのリーダー)が管理する「垂直的結託」もあれば、
 同程度の地位の役人が管理する「水平的結託」もあった。
 民間の起業家が運営するものもあったし、ギャングが運営するものまであった。

 一部の地方では、このギャングの結託により一種の「マフィア国家」が生まれている。
 腐敗は中国共産党の規律維持を担うメカニズム、警護部門、人民解放軍でさえ見つかっている。
 いずれも、一党制国家自体の中核機関だ。

 汚職や腐敗は中国による並外れた経済パフォーマンスを妨げることはなかったという主張を展開することは可能であり、正しくもある。
 だが、そうした自己満足に対する反論が4つある。

★.第1に、腐敗は次第に広がりを見せ、多大なコストをもたらすことが多かった。
★.第2に、国民の教育水準が高まっていろいろな要求が政府に寄せられるようになると、腐敗やそれによる当局の失敗に対して国民は寛容でなくなっていく。
★.第3に、経済成長は減速しており、一部の者が富を掠(かす)め取ることによってその他全員が被る損害はその分だけ大きくなる
★.第4に、経済成長は革新的な起業家精神への依存度を次第に高めつつあるが、縁故資本主義はこの起業家精神を圧迫する公算が大きい。

 しかし、最大の問題は、大変な数の人々を投獄するだけにとどまることなく大きな成果を上げることができるか、だ。
 習氏はこの問いに対し、レーニン主義を強化しながら市場ももっと利用するという答えを示しているように見えるが、これはかなり問題のある組み合わせだ。
 鄧小平が意思決定の権限委譲を推進したのは、それ以外の方法を取るには中国という国が大きすぎるからだった。

経済がさらに複雑化した今、中央集権的な支配はますます機能しなくなっている。
 実際、中央が全政府職員の行動を管理することなどできはしない。
 さりとて、全政府職員に国民への説明責任を負わせるわけにもいかない。
 そんなことをしたら、共産党による権力の独占が崩れ去ってしまうだろう。

 レーニン主義の一党制国家である中国は、ガバナンス(統治)の問題に解決策を提示することができない。
 とはいえ、経済問題に解決策を示すこともできない。
 市場経済と、腐敗がないと見なせる政府を共存させるのであれば、経済主体には、独立した司法機関に守られた法的権利が必要になる。
 だが、これこそ、レーニン主義の一党制国家には提供できないものにほかならない。
 定義上、この国家は法を超越するからだ。

一党制国家は法律を使って統治を行うかもしれないが、法律によって統治されることはあり得ない。
 従って政府の職員は、民間人による法的手段の手が及ばないところにいるのだ。

 その可能性が高く思えるように、レーニン主義の規律の回復と市場の自由化を統合しようという習氏の取り組みがうまくいかないことが判明したら、習氏の体制はこれまで以上に深刻な危機に直面することになる。
 すぐにはそうならないかもしれない。
 だが、最終的には間違いなくそうなるように思われる。

 習氏が今の手法に取り組んだのは、もっともな理由があってのことだった。
 しかし、もっともな解決策を習氏が持っているか否かは、全く別の話だ。

By Martin Wolf
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ウオールストリート ジャーナル  2016 年 12 月 28 日 11:07 JST  By JEREMY PAGE AND LINGLING WEI
http://jp.wsj.com/articles/SB10878553558812384085704582523713150620898

習氏の権力闘争、歴史的転換の前兆(前編)

中国最高指導者は「プーチン式」指導体制を目指すか
習近平中国国家主席は2期目の任期が切れる22年以降も続投するのか。

 【北京】2012年に習近平氏を最高指導者に選んだ中国共産党のエリートは、力強い手綱を切望していた。
  それまでの10年間、胡錦濤国家主席が権力を共有する手法を採ったことで政策は漂流し、派閥争いや汚職を生んでいたからだ。
 そうした共産党の陰の権力者たちは望み通りの、そしてそれ以上のものを手に入れた。

 その後、習氏は4年にわたり自ら経済や軍の指揮を執り、他の権力も掌握。
 1976年の毛沢東死去を受けて独裁防止のために導入された集団統治体制を覆した。
 古いタブーを打ち破り、習氏は党の長老やその親族を反汚職運動の標的にし、8900万人の党員全てに忠誠を求め、「習大大(習おじさん)」の愛称に象徴される父親的なイメージに磨きをかけた。

【習氏は中国で数十年続いた党の集団統治体制をより硬直的な独裁体制に移行できるのか(英語音声、英語字幕あり) Photo: Xinhua News Agency】

 現在、1期目の5年の任期が終わりに近づくなか、習氏が来年の後継者候補の昇格を阻止しようとしているとの声が党内には多い。
 これは、習氏が69歳となる22年に2期目の任期が切れた後も続投したがっていることを示唆する。
 首脳陣と日常的に接触している党幹部によれば、国家主席であり、党総書記であり、中央軍事委員会主席である習氏は、22年以降も「続投し」、「まさにプーチン式の」指導体制を探ろうとしている。

 時代を特徴付ける経済ブームが陰り始めるなか、権力拡大を目指す習氏の動きは短期的には政治の安定をもたらすかもしれない。
 ただ、毛沢東の死去以降に育まれ、政府の柔軟性と定期的かつ秩序だった権力移行を保証してきた慣習を覆す恐れがある。
 中国は複雑な経済の運営に適さない硬直的な独裁体制に向かいつつあるとの懸念が、同国エリート層の間で高まっている。
 同国は債務に依存した刺激策からの脱却、国営独占企業の解体、環境汚染対策など、さまざまな課題を抱えている。

 シンガポール国立大学の中国政治専門家、ファン・ジン氏は
 「彼(習氏)のジレンマは、権力がなければ物事を進められないことだ」
と話す。
 同氏は
 「(習氏が)権力集中の必要性を感じているが、そうすれば非常に強力なリーダーによる独裁化を防ぐ機関を骨抜きにするリスクを負う」
という。
 支持者によると、習氏は依然として党内で抵抗を受けており、経済減速と敵対的な欧米に対峙(たいじ)するために指導体制を近代化する必要がある。
 党幹部348人が出席した10月の会議で「核心」の指導者という肩書を得た習氏は、規律の乱れを批判するとともに、
 「権力を渇望し、従順を装い、派閥やグループを形成した」高官
らについて警告した。
 その後、多くの党員が「絶対的な忠誠」を誓う文書に署名した。
 河南省の党委員会を率いる謝伏瞻氏は10月の演説で、習氏を「偉大な指導者」とたたえた。
 この言葉は通常、毛沢東にのみ用いられる。

■次期指導部 の人選プロセス開始

 米国の大統領選でドナルド・トランプ氏が勝つ数時間前に、中国は複雑な次期指導部の人選プロセスを正式に開始した。
 結果は来年秋に開催される5年に1度の共産党全国代表大会で明らかになる見通しだ。
 最高指導部である政治局常務委員については、7人のうち5人が退任することになっている。
 02年に設けられた規則では、68歳以上の委員は引退する決まりだ。
 党がこれに従うとすれば、残るのは習氏と李克強首相だけだ。
 後任は通常、辞任する委員や引退した委員が選ぶ。
 07年以降は、党総書記が2期目を満了した時に後継者になれる若い人物を2人選ぶのが慣例だ。

 ある共産党の幹部は全国党大会に向けた正式な準備が始まる少し前の記者会見で、最高指導層に年齢制限を設けるとのアイデアが「俗説」であり「信頼に値しない」と述べ、そうした慣例に疑問を投げかけた。
 党内には、習氏が次期常務委員を味方で固め、自分以外の者がお気に入りを昇進させないようにしているとの見方がある。
 汚職撲滅運動を指揮する王岐山氏は既に68歳だが、留任し、さらには首相に就任することを習氏が望んでいるともささやかれている。

 常務委員を縮小や格下げ、あるいは撤廃し、ロシアの大統領制に近い体制を導入するとのうわさまである。
 現在3期目を務める同国のウラジーミル・プーチン大統領は広範な執行権限を持ち、24年まで在任できる。
 最高指導部と日常的に会っている党幹部は最近の内部の議論から、来年は常務委員の「後継者が指名されない」とみている。
 習氏は「長老たちの過剰な介入を是が非でも防ごうとしている」という。
 こうした観測を背景に、党全国代表大会に先立つ交渉で習氏が影響力を強めるかもしれない。

 ライバルが習氏の目標を妨害したり、習氏が2期目に方向転換したりする可能性があるとの考えもある。
 だがあからさまな抵抗の兆しがないことから、指導部と会ったり彼らの動向を注視したりしている多くの人は、強力な独裁体制の新時代が始まったかもしれないと感じている。

 ある元高官は
 「中国最強の指導者たちが結果を出すのに少なくとも20年必要だった。
 習近平も同じだろう」
と述べ、
 「毛(沢東)は国を造った。
 鄧小平はそれを豊かにした。
 現在は習の時代だ。
 国を強力にするだろう」
と説明した。

 習氏の目標は、同氏個人に忠実な規律ある組織に党を改造し、党に社会と経済で支配的な力を取り戻すことのようだ。
 党関係者は、習氏が少数の顧問団によるトップダウン型の意思決定がいいと考えていると話す。
 顧問らは現在、習氏が率いる10余りの委員会を通じて指示を出している。

 党内で習氏は、回ってくる多くの書類について頻繁にメモする細かい上司だとされている。
 同氏が率いる委員会の1つ、「中央全面深化改革指導小組」が今年これまでに交付した政令は96件と、昨年の65件、一昨年の37件を上回っている。






【身勝手な大国・中国】



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中国経済危うし信号(2):貿易の建て決済の激減

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 先に述べたがあてにならない中国経済統計に代わって中国経済のおおまかな状態を知るのに使う指標は2つである。
 1].貿易統計
 2].アメリカ国債保有高
  貿易に関しては2つの指標がある。
1].貿易量
2].決済方法
 決済方法の基準は
1].「ドル建て」か
2].「元建て」か
である。
 元建てが通用するには元に十分な信用がないといけない。
 その指標は、もとに戻ってしまうが
1].米国債をどれほど所有しているかということ
2].元が不要に増刷されれていないこと
の2つになる。
 元が増刷されているとインフレになり、さらにハイパーインフレだと元の価値が一気に落ちる。
 いまの元はその状態にあり、ジャカスカ輪転機が回っている。
 それはGDPという指標を上げるために行われている。
 お札を刷って市中にばらまいている。
 天文的赤字を生み出すほとんど人の乗らない高速鉄道を建設し、ゴーストタウンなどを作ってGDPという数字を上げている。
 これは一種の失業対策とみれば分からぬでもないが、ランニングコストの計算がないので、
「作ったら捨て、作ったら捨てる」
の繰り返しになる。
 高速鉄道やゴーストタウンは事故を起こした高速鉄道車両のように土盛りして捨てればいいが、市中に出回った元札はそのまま残ってしまう。
 元札も一緒に土中に消えてくれればありがたいことだが、そうはいかない。
 モノは消えてもサツは残る。
 これがバブルをよび、ハイパーインフレをよぶことになる。
 元の増刷は結果として「元暴落」ということつながる。
 これを回避するために米国債を売って元を買い支えるということになる。
 つまり、元増刷と米国債はリンクしていることになる。
 元増刷は元価値を低下させ、元に対する信用は低下する。
 いつ弾けるかわからない元では、貿易決済に懸念が生じる。
 弾けて紙くずになった元で支払われても大損をくらうだけになる。
 よって中国との貿易は、元建てからドル建てへとシフトせざるをえない。
 そういう兆候が見られれば、中国経済に危険信号が出ているということになる。 


Record china配信日時:2016年12月20日(火) 5時20分
https://www.blogger.com/blogger.g?blogID=3424884661020897165#allposts/postNum=15

中国、対外貿易に占める人民元建て決済
シェア26%から16%に縮小―英紙

 2016年12月19日、参考消息網によると、英紙フィナンシャル・タイムズは13日、国際通貨基金(IMF)が、特別引き出し権(SDR)と呼ぶ準備通貨に、ドルや円などに次ぐ5通貨目として中国・人民元を採用することを正式決定してから1年が経過したが、
 人民元の世界での使用量は縮小している
と報じた。

 中国人民銀行(中央銀行)によると、中国と海外との経常決済に占める人民元建て決済金額のシェアは、
★.2010年の0%から15年の26%にまで急増したが、
★.現在は16%にまで縮小
している。

 国際決済銀行(BIS)が3年ごとに実施する調査によると、13年の世界の通貨取引における人民元のシェアは9番目で、10年当時から順位を7つ上げた。
 16年は通貨別ランキングで8位となっている。

 人民元の需要が減少した主な要因は、米ドルに対する継続的な下落と中国経済の見通しへの懸念だ。
 中国経済の成長率は四半世紀ぶりの低水準になっている。
 中国人民銀行が発表した11月末の外貨準備高は約3兆500億ドル(約348兆円)で、
 14年6月のピーク時から25%も減少
している。



ロイター 2016年 12月 20日 10:58 JST 
http://jp.reuters.com/article/china-yuan-foreign-account-idJPKBN1480B6?sp=true

アングル:
  人民元安を恐れる中国人、外貨預金口座の開設急ぐ

[上海 19日 ロイター] -
  中国では、人民元の下落を懸念した一般市民の間で外貨預金口座を開設する動きが加速している
 上海に住む会計士のZhang Yutingさん(29)は、米国に行った経験は一度きりで、外貨を使う必要もほとんどないが、ドル口座を開いた。
 同じような人は多く、公式統計によると、今年1─11月に中国の家計が保有している外貨預金は32%近く増えた。
 人民元がドルに対して8年ぶりの安値に下がったからだ。
 外貨預金の伸び率は、人民元その他通貨の預金総額に比べて約4倍のペース。
 米国の利上げや中国経済の先行きへの不安から、資本が海外に逃避している。

 トランプ次期米大統領が中国からの輸入品に懲罰的関税をかけると宣言したり、台湾や南シナ海問題を巡って緊張が高まっていることも、懸念に拍車を掛けている。
 企業や銀行、富裕層が外貨預金口座その他の海外資産に振り向けている金額に比べれば、家計の外貨預金規模は大きくはない。
 11月末時点の家計の外貨預金残高は1187億2000万ドルだが、外貨預金全体の残高は7025億6000万ドルだった。

 しかし家計による外貨保有の急増は資本逃避を象徴しており、人民元安と格闘する政府にとって頭痛の種だ。
 政府は10月以来、外貨送金の承認制強化などの資本流出抑制策を講じてきたが、今後さらに規制を強める可能性がある。
 個人による外貨換は年間5万ドル相当まで許されているが、複数の銀行筋によると、現在の状況が続けば対策が強化されそうだ。
 銀行幹部2人によると、一部の銀行は、1日の上限である1万ドルの交換を2日続けて行った顧客をブラックリストに載せている。
 掲載された人は一定期間、交換を禁じられる可能性もあると幹部1人は話す。

 また、資本流出を抑えるよう圧力をかけられている銀行は、自発的に外貨を人民元に戻した顧客に景品などを提供している。
 交通銀行では、1000ドル以上を人民元に換えた顧客はくじ引きに参加することができ、携帯用プリンターなど様々な商品が用意されている。
 中国工商銀行はウェブサイト上で、ドルから人民元への両替に優遇レートを提供している。

 しかしキャピタル・エコノミクスの中国エコノミスト、ジュリアン・エバンスプリチャード氏によると、
 市民の間には外貨預金よりも、実際に持ち出せる現金を好む傾向も見られる。
 「規制当局は預金なら大いに統制しており、国内の外貨預金への流入ペースを統制することもできる」
からだ。

 前出のZhangさんは、人民元がさらに下がれば国が規制を強化し、口座内のドルを売るよう命じられる恐れもあると考え、ドルを現金で引き出した。
 こうした動きについて政府が何らかの対策を練っている様子は見受けられない。

(Winni Zhou、John Ruwitch記者)




【身勝手な大国・中国】



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