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The World Video 2016/12/20
http://videoclip.club/post-16558/
【閲覧注意】ロシア大使が射殺される、衝撃的な瞬間をカメラがとらえる
2016年12月19日、トルコ駐在のロシア大使アンドレイ・カルロフ氏は現地時間同日、トルコ・アンカラで開かれた写真展に出席した際射殺され、当時の様子を記録した動画が公開され注目を集めている。
海外メディアの報道によると、犯人は警察の身分証で展示会場に入り、演説するカルロフ氏の後ろに立っていた。
犯人はカルロフ氏を撃った後、
「アッラーは偉大なり」
「シリアとアレッポを忘れるな」
などと叫び、トルコの警察に射殺されたという。
動画では倒れ込むカルロフ大使の姿と、興奮した犯人の様子を確認することができる。
(出典:https://www.youtube.com/watch?v=JaNvcHw5SCY)
』
『
ニューズウィーク 2016年12月20日(火)13時30分 今井宏平(日本貿易振興機構アジア経済研究所)
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/12/1210.php
トルコのロシア大使が射殺される
犯人は「アレッポを忘れるな」と叫ぶ
●Ugur Kavas-REUTERS
<12月19日にトルコの首都アンカラで駐トルコ・ロシア大使をが写真展の開会の辞を述べる際に、警護のために会場にいた警察官に背後から銃撃され死亡した。>
■事件の概要
12月19日にトルコの首都アンカラで駐トルコ・ロシア大使を務めていたアンドレイ・カルロフ(Andrey Karlov)が写真展の開会の辞を述べる際に、警護のために会場にいた警察官に背後から銃撃され死亡した。
カルロフ大使の他に3名が負傷し、病院で治療を受けている。
写真展に出席したカルロフ大使はボディガードを帯同させていなかった。
2013年から駐トルコ大使を務めるカルロフはこれまでもレセプションや会合に出席する際、ボディガードを帯同しないことが多かった。
今から45年前の1971年5月にエフライ・エルロム・イスラエル総領事が極左グループのトルコ人民解放軍に誘拐され、その後殺害された事件はあったが、トルコ共和国において、大使が殺害されたのは初めてであった。
内務大臣のスレイマン・ソイルの発表によると、犯人はトルコ西部のアイドゥン県生まれの22歳の警察官、メヴルット・メルト・アルトゥンタシュであった。
アルトゥンタシュはトルコ第3の都市、イズミル県の警察学校を卒業後、アンカラで2年半、機動隊員として職務に従事してきた。
アルトゥンタシュは
「アレッポを忘れるな、シリアを忘れるな。
シリアの同胞が安全でない限り、お前たちも安全を享受できない」
とトルコ語で叫んだあとカルロフ大使を銃撃した。
アルトゥンタシュはその後、他の警察官によって銃殺された。
■事件の背景
アルトゥンタシュがトルコ西部の出身であり、アラブ系ともクルド系とも報道されておらず、警察官として採用されていることからトルコ・ISとの関係も考えにくい。
また、7月15日クーデタ未遂事件後の警察官への捜査の中でもその職を続けていたことから、ギュレン運動の信奉者でもないだろう。
なぜロシア大使の警備が甘いことを知っていたのか、などの疑問も確かにある。
しかし現時点では、ソイル内相やプーチン大統領は事件を「テロ」と呼んでいるものの、ローン・ウルフ型の事件の可能性も否定できないだろう。
上述の発言にあるように、アルトゥンタシュはシリアのアレッポにおけるアサド政権軍、ロシア軍、イラン軍、ヒズブッラーなど体制派の攻勢、それによる犠牲者および難民の増加に憤りを感じていたことだけははっきりしている。
ヒュリエット紙の主筆であるムラト・イェトキンの分析によると、アルトゥンタシュは「ロシアによってアレッポで多くの子供が殺された」とトルコ語と片言のアラビア語で叫んだとされ、同様の発言をするファトフ軍(以前のヌスラ戦線)などと関係していた可能性も取りざたされている。
アレッポにはトルコマン人と呼ばれるトルコ系住民が多く住む地域もあったが、11月末の時点で、トルコマン人が支配していた地域は空爆によってほぼ壊滅したと報道されている。
12月20日時点で、アレッポはほぼ体制派に制圧され、それに伴いアレッポから大量の難民が反体制派の管轄する地域などへ逃れている。
一部の難民はトルコのハタイ県にも流入している。
シリア難民約278万人が滞在しているトルコは、現在、世界最大の難民受け入れ国となっている。
■事件後の対応
事件を受け、トルコのメヴルット・チャヴシュオール外相は、事件を強く非難するとともに、ロシアのラブロフ外相と電話会談を行った。
プーチン大統領は、事件を「シリアにおけるトルコとロシアの友好的な関係を傷つけるものだ」とし、事件をテロと断定し、実行犯の背後に誰がいるのかを明らかにする必要があると述べた。
エルドアン大統領も事件を強く非難し、ロシアとトルコが対テロ戦争で協力を強めることでプーチン大統領とも合意していると発言している。
以前のコラムでも触れたように、昨年の11月24日のロシア機撃墜事件により関係が悪化した両国だが、今年の6月28日に関係改善で合意し、その後、良好な関係を構築してきた。
12月20日にはシリア情勢に関するロシア、トルコ、イランの3ヵ国外相会談がモスクワで行われる予定であり、そこではアサド政権の今後、アレッポ市民の避難、体制派と反体制派の会合の実施などが話し合われる予定である。
また、フィキリ・ウシュク国防大臣も同日、ロシアの国防大臣と会談予定である。
チャヴシュオール外相とイランのザリーフ外相はアレッポの情勢に関してここ5日間で17回に渡り電話会談を行うなど、緊密に連絡を取りあっている。
シリアにおいて反体制派を支援しつつも、ロシア、イランと良好な関係を維持するトルコは、アレッポの情勢を緩和することができるアクターとして、仲介者の役割を果たすよう努めている。
ISの「本陣」であるラッカでの戦いを前に、アレッポにおけるアサド政権と反体制派の争いが激化し、ラッカで体制派と反体制派、そして体制派を支援するロシア、イラン、反体制派を支援するアメリカ、トルコの足並みが揃わないことも危惧されている。
加えて、トルコはアメリカとロシアが支援するクルド系勢力と敵対関係にある。
シリアをめぐる事情は複雑である。
今回の駐トルコロシア大使の銃撃事件は、現時点では何らかの組織が絡んだテロなのか、ローン・ウルフ型の事件が詳細は不明であるが、シリア内戦の国際化がますます強まり、周辺諸国や関与する諸国に大きな影響を与えていることだけは改めて明白となった。
(2016年12月20日日本時間午前11時脱稿)
●事件直後の現場の写真 Sozcu Newspaper-REUTERS
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ニューズウィーク 2016年12月20日(火)13時30分 今井宏平(日本貿易振興機構アジア経済研究所)
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/12/1210.php
トルコのロシア大使が射殺される
犯人は「アレッポを忘れるな」と叫ぶ
●Ugur Kavas-REUTERS
<12月19日にトルコの首都アンカラで駐トルコ・ロシア大使をが写真展の開会の辞を述べる際に、警護のために会場にいた警察官に背後から銃撃され死亡した。>
■事件の概要
12月19日にトルコの首都アンカラで駐トルコ・ロシア大使を務めていたアンドレイ・カルロフ(Andrey Karlov)が写真展の開会の辞を述べる際に、警護のために会場にいた警察官に背後から銃撃され死亡した。
カルロフ大使の他に3名が負傷し、病院で治療を受けている。
写真展に出席したカルロフ大使はボディガードを帯同させていなかった。
2013年から駐トルコ大使を務めるカルロフはこれまでもレセプションや会合に出席する際、ボディガードを帯同しないことが多かった。
今から45年前の1971年5月にエフライ・エルロム・イスラエル総領事が極左グループのトルコ人民解放軍に誘拐され、その後殺害された事件はあったが、トルコ共和国において、大使が殺害されたのは初めてであった。
内務大臣のスレイマン・ソイルの発表によると、犯人はトルコ西部のアイドゥン県生まれの22歳の警察官、メヴルット・メルト・アルトゥンタシュであった。
アルトゥンタシュはトルコ第3の都市、イズミル県の警察学校を卒業後、アンカラで2年半、機動隊員として職務に従事してきた。
アルトゥンタシュは
「アレッポを忘れるな、シリアを忘れるな。
シリアの同胞が安全でない限り、お前たちも安全を享受できない」
とトルコ語で叫んだあとカルロフ大使を銃撃した。
アルトゥンタシュはその後、他の警察官によって銃殺された。
■事件の背景
アルトゥンタシュがトルコ西部の出身であり、アラブ系ともクルド系とも報道されておらず、警察官として採用されていることからトルコ・ISとの関係も考えにくい。
また、7月15日クーデタ未遂事件後の警察官への捜査の中でもその職を続けていたことから、ギュレン運動の信奉者でもないだろう。
なぜロシア大使の警備が甘いことを知っていたのか、などの疑問も確かにある。
しかし現時点では、ソイル内相やプーチン大統領は事件を「テロ」と呼んでいるものの、ローン・ウルフ型の事件の可能性も否定できないだろう。
上述の発言にあるように、アルトゥンタシュはシリアのアレッポにおけるアサド政権軍、ロシア軍、イラン軍、ヒズブッラーなど体制派の攻勢、それによる犠牲者および難民の増加に憤りを感じていたことだけははっきりしている。
ヒュリエット紙の主筆であるムラト・イェトキンの分析によると、アルトゥンタシュは「ロシアによってアレッポで多くの子供が殺された」とトルコ語と片言のアラビア語で叫んだとされ、同様の発言をするファトフ軍(以前のヌスラ戦線)などと関係していた可能性も取りざたされている。
アレッポにはトルコマン人と呼ばれるトルコ系住民が多く住む地域もあったが、11月末の時点で、トルコマン人が支配していた地域は空爆によってほぼ壊滅したと報道されている。
12月20日時点で、アレッポはほぼ体制派に制圧され、それに伴いアレッポから大量の難民が反体制派の管轄する地域などへ逃れている。
一部の難民はトルコのハタイ県にも流入している。
シリア難民約278万人が滞在しているトルコは、現在、世界最大の難民受け入れ国となっている。
■事件後の対応
事件を受け、トルコのメヴルット・チャヴシュオール外相は、事件を強く非難するとともに、ロシアのラブロフ外相と電話会談を行った。
プーチン大統領は、事件を「シリアにおけるトルコとロシアの友好的な関係を傷つけるものだ」とし、事件をテロと断定し、実行犯の背後に誰がいるのかを明らかにする必要があると述べた。
エルドアン大統領も事件を強く非難し、ロシアとトルコが対テロ戦争で協力を強めることでプーチン大統領とも合意していると発言している。
以前のコラムでも触れたように、昨年の11月24日のロシア機撃墜事件により関係が悪化した両国だが、今年の6月28日に関係改善で合意し、その後、良好な関係を構築してきた。
12月20日にはシリア情勢に関するロシア、トルコ、イランの3ヵ国外相会談がモスクワで行われる予定であり、そこではアサド政権の今後、アレッポ市民の避難、体制派と反体制派の会合の実施などが話し合われる予定である。
また、フィキリ・ウシュク国防大臣も同日、ロシアの国防大臣と会談予定である。
チャヴシュオール外相とイランのザリーフ外相はアレッポの情勢に関してここ5日間で17回に渡り電話会談を行うなど、緊密に連絡を取りあっている。
シリアにおいて反体制派を支援しつつも、ロシア、イランと良好な関係を維持するトルコは、アレッポの情勢を緩和することができるアクターとして、仲介者の役割を果たすよう努めている。
ISの「本陣」であるラッカでの戦いを前に、アレッポにおけるアサド政権と反体制派の争いが激化し、ラッカで体制派と反体制派、そして体制派を支援するロシア、イラン、反体制派を支援するアメリカ、トルコの足並みが揃わないことも危惧されている。
加えて、トルコはアメリカとロシアが支援するクルド系勢力と敵対関係にある。
シリアをめぐる事情は複雑である。
今回の駐トルコロシア大使の銃撃事件は、現時点では何らかの組織が絡んだテロなのか、ローン・ウルフ型の事件が詳細は不明であるが、シリア内戦の国際化がますます強まり、周辺諸国や関与する諸国に大きな影響を与えていることだけは改めて明白となった。
(2016年12月20日日本時間午前11時脱稿)
●事件直後の現場の写真 Sozcu Newspaper-REUTERS
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ロイター 2016年 12月 21日 15:47 JST
http://jp.reuters.com/article/column-russia-turkey-idJPKBN14A080?sp=true
コラム:大使殺害に「共通の仮想敵」、絆強めるロシアとトルコ
[ロンドン 20日 ロイター BREAKINGVIEWS] - トルコの首都アンカラで19日、ロシア大使が射殺された事件は、両国の関係に深い傷を負わせなかったのかもしれない。
それどころか、共通の仮想敵の存在は、両国の独裁的指導者を一層強く結びつける可能性がある。
2015年11月にトルコ軍がロシア軍機を撃墜した事件はロシアを怒らせ、同国はトルコ製品の輸入を禁止した。
しかしトルコのエルドアン大統領はその後謝罪し、制裁は解除された。
大統領は最近、トルコ軍がシリアでロシアが支援するアサド大統領の打倒を狙っていると発言したが、この発言も撤回している。
アンドレイ・カルロフ駐トルコ大使の射殺に対する両国の反応は、驚くほど足並みがそろっていた。
両国の政治家はすぐさま、銃撃の狙いは両国関係の分断だと非難。
トルコ・メディアは犯人について、7月15日のエルドアン大統領に対するクーデター未遂事件後に失職した警察官だと伝えている。
犯人もその場で射殺された。
クーデターの際には、米国に事実上亡命しているトルコのイスラム指導者ギュレン師(75)を支持したとして数万人のトルコ人が拘束あるいは更迭されている。
トルコ側は今回の銃撃犯を「ギュレニスト」と呼んだ。
これは犯人が西洋諸国の後ろ盾を得ていたことをあからさまに示唆するものだ。
トルコ国営メディアは既に米中央情報局(CIA)の関与を指摘している。
強い経済関係で結ばれるトルコとロシアにとって、外部の犯人は好都合だ。
ロシアはトルコから食品や消費財を輸入し、トルコ人の建設労働者に多くを頼っている。
ロシア人にとって、トルコは人気の旅行先だ。
ロシアの天然ガスを黒海経由でトルコに供給するパイプライン「ターキッシュ・ストリーム」建設計画の再開も視野に入っている。
その上、両国はともに経済に問題を抱えている。
産油国のロシアは石油安と国際制裁に直面。
トルコリラは7月のクーデター未遂以来、対ドルで20%超下落し、エルドアン大統領は市民に外貨をリラに両替するよう促している。
トルコの国内総生産(GDP)は算出方法の変更により最近20%も増えたように見えるが、第3・四半期は前年同期比で1.8%減少し、7年ぶりのマイナス成長となった。
ロシア、トルコ、イランの外相は20日、モスクワでシリア和平について協議した。
ロシアとイランの支援を受けたアサド政権軍によるアレッポ制圧を、トルコは渋々ながら受け入れた。欧州連合(EU)など西側の意図に反し、ロシアとトルコの絆は強まる公算が大きい。
●背景となるニュース
*トルコの首都アンカラで19日、ロシアのアンドレイ・カルロフ駐トルコ大使が銃撃され死亡した。犯人は警察に射殺される前、銃撃はアレッポを巡るロシアの行動に対する報復だと叫んでいた。
*トルコのエルドアン大統領は同日、プーチン・ロシア大統領と電話会談した後、「これは挑発行為であるとの認識でプーチン氏と一致した」と述べ、「連帯を強化することで合意した」と付言した。
*プーチン大統領は政府高官らとの会談で「殺人犯をだれが操っていたのか突き止める必要がある」と発言。アンカラに捜査員を送り、トルコ当局と協力させる意向を示した。
*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
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