2016年12月2日金曜日

中国経済の行方(10):不動産バブルは本当にはじけるのか?

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 「バブルはいつか弾ける」
 いやバブルとは資本主義の悪垢であり、「共産党独裁という形の中国では弾けない」。
 いろいろ説がある。
 「バブルは本当に弾けるのか」
 誰も知らない。
 昨年2015年は「株式バブル」が弾けた。
 「弾ける」という前例はあるということになる。
 株式バブルは規模が小さい。
 だが、不動産バブルは国家の存亡をかけくらいに大きくなっている。
 弾けたら共産党がつぶれる。
 国内が騒動に進む可能性もある。
 よって、政府は強権で抑えこむことになる。
 騒動の力が強いか、それとも政府権力が強いかである。
 

JB Press 2016.11.29(火)  姫田 小夏
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48490

日本人駐在員も悲鳴、
猛烈バブルが続く上海

 上海の中心部に住む日本人駐在員のAさん一家。
 せっかく迎えた10月の行楽シーズンなのに、段ボール箱が積み上がる“新居”で落ち着かない連休となってしまった。
 なぜ、この時期に引っ越しなのか。

 一家がそれまで住んでいた賃貸マンションの契約期間はまだ満了していない。
 だが、Aさんは10月1日から始まる国慶節の連休の直前に、突然、家主から退去を命じる通知を受け取った。
 通知には「このマンションは売却が決まったので、すぐに出て行ってくれ」と書かれていた。
 「借りていたマンションが、私たちの知らないところでいつの間にか大家によって売りに出されていたんです」とAさんは憤る。

 日本では不動産賃貸借の場合、契約を解除する際に借主は最低3カ月前、貸主は最低1カ月前までに事前通告しなければならない。
 しかし、上海では家主の立場が圧倒的に強い。
 そのため、契約期間を強引に短縮されたり、途中で契約を打ち切られたりするなど、家主の身勝手な振る舞いに翻弄される住民は少なくない。

(参考・関連記事)「焚きつけているのは誰?上海で住宅バブル再燃の怪」

■日本人向けマンションが建物ごと中国資本に

 Aさん一家はいきなりマンションを追い出され、引っ越し先を探すのにも一苦労だった。
 ここに来て上海では、Aさん一家のように“住宅難民”と化す日本人家族が増えている。
 その理由としては、まず、日本人駐在員向けのマンションが減っていることが挙げられる。
 上海では1990年代後半から日本人駐在員を対象にした、日系企業の開発によるマンションが続々と竣工した。
 しかし、これが今姿を消しつつある。
 日系企業が上海から撤退するのに伴い、日本人駐在員も減少したためだ。

 上海の不動産業者は「マンションを賃貸で貸すよりも、分譲にして売却したほうがずっと利益が出る」と話す。
 そうした理由から、かつて90年代後半から2000年代にかけて、日本のデベロッパーが上海で開発した日本人向け賃貸マンションが「建物ごと中国資本に売却される」ケースが出てきている。

 上海市長寧区にある虹橋公寓もその1つ。
 元々は日本人駐在員向けに建てられたマンションだが、中国資本に売却されるとのことで、すでに「半年前から新規の契約は受け付けていない」(同)状態だ。
 契約満了を迎えた日本人駐在員も契約を更新できず、退出を余儀なくされている。

 浦東新区に残されている数少ない日系マンションには、行き場を失った日本人駐在員が殺到し、すでに満室状態だ。
 通常、日系マンションは子どもの通学を勘案して、日本人学校のそばに建てられる。
 また、多くの場合、日本の食品を手に入れられるスーパーなどが入居しているので、日本人駐在員にとっては代替が利きにくい。

■1億円近い住宅でも手が届く

 しかも、上海では2015年3月以降、住宅価格の上昇が止まらない。
 例えば、日本人が多く住む古北新区の2LDKの中古マンションは、その築年数と反比例するようにどんどん価格を釣り上げている。
 筆者が定点観測する同区の2LDKの中古マンションも、2015年9月に480万元(約7200万円)だった分譲価格が、翌年の9月には850万元(約1億2750万円)と1年で77%も上昇してしまった。
 市内では、1000万元(約1億5000万円、3LDK)の価格をつける住宅は珍しくない。
 環状線の内側のマンションともなれば、90年代施工のものでも2LDKで600万元(約9000万円)は下らない。
 上海不動産史上では最高値の「平米単価34万元」(約510万円)というマンションも出現している。
 2016年春に、政府は対策の一環として非居住住宅の厳しい購入規制を導入したが、効果は一時的だった。
 上海の住宅市場の値上がりはこれまで以上に激しさを増しているというのが筆者の実感だ。

 こうした“異常事態”の背景について、不動産投資家の1人は次のようにコメントしている。
 「人民元の価値がどんどん下落しているため、再び不動産に目を向ける投資家が増えています。
 日本円で1億円近くの物件も、今の中国人にとっては“驚くほどの高額物件”とは言えなくなりました。
 自宅もすでに1億円近くに値上がりしているためです」

 この投資家は、今後も不動産の需要は衰えないだろうと指摘する。
 理由は次の通りだ。
★.「中国では基本的に、40代の共働きの中間管理職であれば、ローンと親からの援助で1億円近い住宅でも手にすることができます。
 また、地方の富裕層は一級都市(北京、上海、深セン、広州)に居住する願望が強く、少なくとも自分の子どもの教育はこうした土地で受けさせたいと願っています。
 だから、価格が高騰した一級都市でも旺盛な需要は続いていくでしょう

■「このままでは上海に人が住めなくなる」

 上海の住宅価格高騰は、日本人駐在員の生活だけでなく、企業の経済活動にも深刻な影響を及ぼしている。
 上海で会社を経営する、ある日本人はこう語る。
 「私は上海で事業を興し、17年になります。
 これまで市場の広がりとともに、会社は発展してきました。
 しかし、これほど不動産価格が上昇してしまうと倉庫も店舗も借りられず、事業を広げるどころではありません」

 おそらく上海に進出している日本企業は、どこであれ、利益を賃料に吸い取られている状況だろう。
 この日本人経営者は、次のように強い危機感を語った。
 「このままでは企業はまともな事業を展開できません。
 そのうち上海には人が住めなくなってしまうでしょう」

 上海市はこの異常な不動産バブルを食い止め、軌道修正を図ることができるのだろうか。
 2017年の動向に注目したい。



ダイヤモンドオンライン 2016年12月2日 姫田小夏 [ジャーナリスト] 
http://diamond.jp/articles/-/109902

未だ不動産バブルの中国で、誰も固定資産税を納めていない理由

■上海中心部は1億円マンションだらけ

 日本人の間では「終わったはずの中国不動産バブル」だったが、実はその後も過熱を続けていた。
 今年に入り北京や上海などの沿海部の大都市で住宅価格がさらに上昇し、“住宅投機家”らは空前の利益をむさぼっている。

 上海市の古北新区の住宅価格を定点観測する筆者だが、さすがにこの秋の上昇には驚いた。
 同区の2LDK中古マンションは、2015年9月に480万元(1元=約15円、約7200万円)の値段をつけていたのだが、今年9月には850万元(約1億2750万円)と、たった1年で77%も上昇してしまったのだ(何を隠そう、ここは筆者がかつて賃貸で借りて住んでいた住宅であり、不動産業者から何度も購入を勧められたこともあったため、悔し涙を飲んでいることは言うまでもない…)。

 上海市の内環状線の内側では、いまや“1億円の中古マンション”が溢れ返るほどある。
 街の不動産屋の窓ガラスに貼られた新規供給マンションは、総額600万元を超えるものばかりになった。
 ちなみに、「上海市の内環状線」といえば、「山手線圏内」に匹敵するとも言われている。
 この上海における住宅バブルの状況を「山手線圏内のマンションが築年数の長短を問わず、そのほとんどが“1億円化している”」と説明すれば、その異常事態のほどがお分かりいただけるだろう。

 実際、筆者の友人も今年、2年前に購入した住宅を売却し、日本円換算で数千万円の利益を出したという。
 冒頭で述べたように、
 日本では「中国の住宅バブルは2014年で終了」したことになっている
ので、こうした話を聞くと「え、そうなの!?」とわが耳を疑うことになる。
振り返れば2014年9月、中国では主要70都市の新築住宅価格のうち、69都市で不動産価格が前月に比べ下落するという前代未聞の値崩れを経験した。
 日本のメディア(当コラムも含めて)が「住宅バブル崩壊か」と警鐘を鳴らしたことも記憶に新しい。
 その後、中国経済は失速し、最大の課題が「住宅の過剰在庫の処理」とまで言われるようになった。

 しかし、供給過剰に陥ったのは三級、四級といわれる地方都市の住宅だった。
 一級、二級都市では再び住宅購入が熱を帯びる。
 中国では、その購入熱は投機以上に“実需”だと解釈されており、上海在住の不動産投資家も「上海の住宅価格の上昇は常軌を逸している」としながら、「地方都市の富裕層が北京、上海に居を構えたいという願望はますます強まっている」と“止められない沿海部への流れ”を強調する。

■来年から固定資産税が厳しくなる?
そんな噂も上海では誰もが無視

 だが、一方で、今年10月を過ぎると、過熱した市場が静観に転じた。
 「2017年から上海市では固定資産税の課税が厳しくなるのでは」という憶測が出たためだ。
 そもそも中国では、9割近い世帯が住宅を所有しながらも、固定資産税が本格導入されないまま市場ばかりが肥大化した。
 住宅の購入と売却における税金はあっても、「保有」に関わる税金がないのである。
 同様に相続税と贈与税も、法令がありながらも課税に踏み切っていない。
 そのため、富める者は永遠に富むという歪んだ社会構造のもとで「富の再分配」がまったく行われないまま今日に至っている。

 もちろん、中国でも多くの専門家が固定資産税の導入をめぐって議論を闘わせてきており、「住宅バブル抑制に最も効果的なのが固定資産税の導入だ」という認識も存在した。
 そこで、住宅バブルが猛威を振るった2011年、その勢いを鎮静化させようと上海市と重慶市の2都市において固定資産税の実験導入が始まった、というのがその経緯である。
 言うまでもなく、その動向は大きな注目を集めた。

ところがその後5年経った今、上海市において固定資産税はほとんど課税されていない。
 筆者は上海のいくつかの世帯にヒヤリングしたが、ある世帯は「少なくともうちは納めていない」という。
 また別の世帯も
 「親戚も納めていない。友人が納めているという話も聞いたことがない」
という。

 調べてみると、これには根深い問題が潜在していることがわかった。
 そもそも上海市における「固定資産税の実験導入」には「納税しなくてもいい例外」というのがあまりに多すぎるのだ。
 基本的に上海市の「固定資産税の実験導入」では、2011年以降購入した住宅が課税の対象となり、それ以前の購入については免税になる。
 また、買い替えで取得した住宅や「子どものために」あるいは「結婚のために」という動機で取得した住宅も免税となる。
 さらには、国が認める「重要人材」が取得した場合も、その保有における固定資産税は免税になる。
 実際、ほとんどのケースで納税の必要がなくなるのがこの固定資産税なのだ。
 「まじめな納税者は逆に『国家権力を恐れる臆病者だ』と馬鹿にされているのが実情」(上海市在住の会社員)だという。

■土地は国家のもの
固定資産税は国情に合わず

 他方、「そもそも論」で言えば、固定資産税は「中国の“国情”に合うものではない」と言われている。
 上海の不動産研究の専門家が
 「土地は国家のものであり、住宅購入時に70年間の“使用料”を払っているという認識を持つ中国の購入者からすれば、
 さらに住宅保有において課税されるのはおかしいと思っているわけです」
と指摘するように、購入者の有する権利形態が「所有権」ではなく「使用権」であるところに最大の矛盾がある。

 中国全土が財政難に陥っており、当局は八方手を尽くして課税を強化しているのが近年の傾向だが、それにもかかわらず、住宅資産保有に関わる課税が進まない。
 それは上述の「国情に合わず」という理由が存在するためだ。
 もちろん、これ以外にも住宅在庫の処理の進行や不動産を中心とした経済活性を優先させるがため、「課税はそれへのブレーキになる」という懸念がある。

 その一方で、中国の社会経済学者の何清漣氏によるこんな視点に注目したい。
 「固定資産税の負担は2戸以上を保有する富裕層が対象となるが、
 中国で2戸以上所有する富裕層の過半は公務員が占めている。
 彼らは、固定資産税が本格導入となれば、自分に負担が重くのしかかることを知っている。
 こうした連中は政策をコントロールし、導入阻止を目論んでいる」
 確かに、何氏の指摘どおり、国有土地の売却で私腹を肥やしたのが中国の地方公務員だった。

 上海では「来年は固定資産税が強化されるらしい」「いや、さらに3年は繰り延べになる」など情報が交錯する。
 この秋には上海市から「固定資産税を納めましょう」との「納付の催促」が発せられた。
 しかし、上海市民が一斉にこれに応じることはなかった。
 「当局は固定資産税に手出しはできまい」と足元を見透かしているからだ。

★.「土地は国有」という制度下で、「国情に相反する」を理由に、先送りにされてきた課税制度。
 中国政府が課税に強気にならないのは、もうひとつ理由がある。

 何清漣氏はボイスオブアメリカへの寄稿で、「代表なくして課税なし」というアメリカ独立戦争時のスローガンを上げながら
 「中国人が納税を嫌がるのはそこにまったく権利が生じないからだ」
と断じる。
★.納税者」の概念を国民に与えてしまえば、そこに権利が発生してしまう
からだ。

 格差社会の元凶となった中国不動産市場。
 歪みを持って発展したこの市場と富の再分配に、もはや打つ手はないようだ。


Record china配信日時:2016年12月3日(土) 5時20分

中国の不動産市場はバブルだが崩壊はしない、
中国一の大富豪が語る―中国メディア

  2016年12月1日、参考消息網によると、中国一の大富豪が「中国の不動産市場はバブルだが崩壊はしない」と語った。 

 11月30日付香港紙・経済日報ウェブ版によると、インドネシア・ジャカルタで開催されたフォーブス世界CEO会議で、中国一の富豪として知られる大連万達集団(ワンダグループ)の王健林(ワン・ジエンリン)会長が講演した。 

 王会長は2カ月前にも中国不動産市場を「史上最大のバブル」と評して話題となった。
 今回の講演では「中国不動産市場にはバブルの要素が大きい」とややトーンダウンしつつも、バブルという表現は残した。
 しかし中国の都市化率はいまだ55%と低く、残る45%の農村住民が今後都市へと移動を続けることから住宅需要は堅調だと分析。
 「不動産相場は絶対に崩壊しない」
と断言した。
 今後10〜15年は好調が続くと予測している。 

 また、中国経済の構造転換が急速に進んでいることも指摘した。
 2016年の経済成長のうち65%は消費によって生み出されたもの。
 過去の投資依存型成長とはステージが違うという。
 成長の80%が消費によって生み出されるようになれば、中国経済は完全にセーフティーになるとコメントしている。
 消費の中でもスポーツ、旅行が現在のホットスポット。
 特にスポーツ産業は年数百%という驚異的な成長を示しているという。


サーチナニュース 2016-12-13 11:13
http://news.searchina.net/id/1625027?page=1

中国崩壊論はデマだ!
「ずっと騒がれてきたが全然崩壊しない」=中国

 中国経済の先行きが危ぶまれ、これまで何度も「中国崩壊論」が浮上してきたが、いまだに中国経済は成長を続けている。
 中国メディアの今日頭条はこのほど、こうした中国崩壊論をデマだと断定したうえで、信じて騒がないようにと戒める記事を掲載した。

 記事によると、いわゆる中国崩壊論の仕掛け人は「欧米メディア」だという。
  「人民元の崩壊」、

  「実体経済の崩壊」、
 「中国経済のハードランディング」
などいろいろ言われてきたものの、いずれも「預言」が当たったことはないと指摘した。

 そのうえで、中国崩壊論にはこれまで5つの波があったと分析。
★.1つ目の波が、1989年に物価が急上昇し社会主義国家が次々と崩壊していったころの「中国の政治経済がともに崩壊するという主張」、
★.2つ目の波は、1997年のアジア通貨危機に端を発した「中国経済の衰退論」、
★.3つ目の波は、中国が世界貿易機関(WTO)に加入した2001年の「中国経済は間もなく崩壊するという主張」、
★.4つ目の波は、2008年の金融危機時の「中国は今まさに危険な状況にあるという主張」、
★.5つ目の波は、中国の株価が暴落した2015年の「中国経済は崖っぷちにあるという主張」
だという。

 記事は、こうして何度も中国崩壊論が騒がれてきたものの、いずれも主観的憶測か意図的に歪曲された「根拠のない」デマだったと主張。
 経済成長に周期があるのは普通のことであり、簡単に信じるのは経済を理解していない人だけだと批判した。

 確かに、中国経済がまもなく崩壊すると語られて久しいにもかかわらず、中国が何度もその危機を乗り越えてきたことは評価できる。
 しかし、今の中国の不動産市場はバブル以外の何物でもなく、やはりバブルが弾けるのは時間の問題で、あとはどのような弾け方になるかというのが焦点になりそうだ。
 中国不動産バブルの崩壊論もまた外れるのか、時間が経てばいずれ答えが出るだろう。

  2015年に株式市場は崩壊した。
 バブル崩壊はこのときから始まっている。
 株式の次は不動産に移っている。
 来年あたりが危ないようだ。
 バブルの崩壊には数年かかる。
 中国のバブルは崩壊しはじめており、不動産が崩壊した時にピークがくるということだろう。



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