トランプは経済的にはアメリカ内帰をその政策の主眼におく。
よってTPPは邪魔である。
TPPによってアジア各国の経済的侵略を受けることはアメリカの産業成長を抑えてしまうと考えている。
しかし、トランプは海軍力の増強を政治の主題に掲げている。
その海軍力の目指す先はアジアしかない。
中国の海軍力増強に対応する処置であることは明らかである。
つまり政治的には中東から太平洋にアメリカは向かう、ということになる。
経済的には内向きに、政治的にはアジアに向かって外向きに、というわけである。
ならば、内向きになったアメリカに代わって
環太平洋の経済的主導権を握るのが日本の戦略になる
のは当然の帰結であろう。
ただそれをどんな形で仕上げていくかが、日本政府の手腕になる。
『
人民網日本語版配信日時:2016年12月7日(水) 6時20分
http://www.recordchina.co.jp/a156911.html
日本はなぜ瀕死のTPPをあきらめないのか―中国メディア
日本メディアの報道によると、安部晋三首相は12月1日、日本を訪問したシンガポールのトニー・タン大統領と会談した。
両国の首脳は、
「日本とシンガポールは環太平洋経済連携協定(TPP)の推進でともに努力する」
との方針を明らかにしたという。
新華網が伝えた。
米国で次期大統領に確定したトランプ氏は、就任初日に行政上の手続きをしてTPPから脱退することを明らかにした。
このように「リーダー」は脱退を表明したが、日本とシンガポールは手を引くつもりはなく、チームを組んで協力しようとしている。
この2つの加盟国で、果たして瀕死のTPPを救えるだろうか。
▽日本とシンガポールがTPPに未練を残すのはなぜか
現在、日本とシンガポールはそれぞれ国内でTPPの手続きを積極的に進めている。
シンガポール紙「聯合早報」は2日、シンガポールは来年に法律を改正してTPP実施の準備を整える方針だと報じた。
日本は衆議院がTPP法案を可決し、参議院での審議に送られた。
今やTPPは大きな勢力を失った。
それでも日本とシンガポールが未練を残し、手を引こうとしないのはなぜか。
日本経済新聞の報道によると、安部首相にとってTPPは成長戦略の柱だ。
発効しなければ、「アベノミクス」の土台が崩壊する。
そこで少しでも可能性があれば、それを捕まえるために努力するのだという。
またTPPは日本にとって地域経済一体化の問題であるだけでなく、
★.日本が国際的な発言権と影響力を追求し、
中国を押さえ込むための重要なツールでありベクターであり、
日本が新しい国際ルールの制定に参加する上での「重要ポイント」
だ。
外交学院国際関係研究所の周永生教授は、
「TPPを通じて、日本は経済的に米国との結びつきを緊密にし、さらには米国との各方面における協力を強化したい考えだ。
またTPPを通じて日本が利用できる勢力圏を構築し、
新しい世界の経済貿易ルールを制定し主導し、
経済面で中国と拮抗し、
最終的にこうした経済圏を通じて政治・経済・軍事協力の全面的な連携を強化し、中国と効果的に渡り合いたいと考えている」
と話す。
シンガポールがTPPを全力で推進する理由は、まずシンガポールが対外貿易に大きく依存していることがある。
「聯合早報」によれば、シンガポールのリー・シェンロン首相は以前に取材に答える中で、
「大まかに見積もって、TPPが発効すると、シンガポールは1年で10億シンガポールドル(約799億円)の関税を節約できる」
と述べた。
スタンダードチャータード銀行は、「TPPはシンガポールに3%のGDP成長率をもたらす」との見方を示した。
これと同時に、シンガポールはTPPの失敗が米国のアジア太平洋撤退のシンボルになることをおそれる。
シンガポールがなんとしても米国をアジア太平洋にとどめようと焦るのは、米国の目標を迎え入れ、これに協力することで、シンガポール自身の戦略的意図を達成しようと考えるからだ。
そうなれば
★.第1に、地域の小国であるシンガポールがアジア太平洋地域の問題でますます大きな影響力をもつようになり、米国のアジア太平洋戦略の支点になることも考えられる。
★.第2に、シンガポールの発展の根幹を保つ
ことになる。
▽日本とシンガポールは瀕死のTPPを救えるか
今年2月、米国、日本、シンガポールなど12カ国がTPPの協定文書委調印した。
各国がそれまでに調印した合意を踏まえ、12カ国が調印から2年以内に国内手続きを完了させられなかった場合、協定の発効には6カ国以上の承認が必要で、6カ国のGDP合計が12カ国のGDP総量の65%に達していなければならないとされた。
現在、米国の占める割合は60.4%に上り、米国が不参加なら、TPPは正式に発効できない。
それではトランプ氏が考えを変える可能性はあるだろうか。
可能性はないわけではないう。
日本とシンガポールが力を合わせてTPPを推進するのは、こうした可能性を現実のものにしたいからだ。
読売新聞によると、TPPは存亡の危機に立たされている。
日本はこの問題で共通の利益をもつアジア太平洋諸国と盛んに連絡を取り、米国にTPPを確保し推進することの重大な戦略的利益を意識させようとしている。
ASEAN諸国では、シンガポールが自由貿易の最大の受益者であり、日本と同様に米国のアジア太平洋地域での重要な同盟国だ。
このようなわけでシンガポールは日本のTPPへの関心を十分に理解できるのだという。
だが現在の状況から考えて、トランプ氏のTPP離脱の意志は固いとみられる。
トランプ氏は自由貿易に反感を抱き、TPPをめぐる動きは大げさで、虚偽に満ちており、米国が損をしていると考える。
また選挙戦で米国人の雇用を取り戻すと何度も約束しており、TPPから脱退して、公約を実現しようとする姿勢、誠意ある姿勢をアピールしようとしている。
トランプ政権が最終的に本当にTPPからの離脱を決定したり、重大な調整を提起したりした場合、TPPは発効できるのだろうか。「日経新聞」によれば、すでにTPPの参加国は調整をめぐる合意を打ち出し、米国抜きでできるだけ早期にTPPを発効させるプランを検討している。
周教授は、
「成功の可能性はまだある。
なんといっても参加国はこれまでに交渉を尽くしている。
ただ影響力の点でいえば、新バージョンのTPPは初めに米国が主導したTPPとはもはや別物だ」
と話す。
(提供/人民網日本語版・編集KS)
』
『
サーチナニュース 2016-12-20 13:12
http://news.searchina.net/id/1625564?page=1
世界を騙す「ペテン」だ!
「日本経済の崩壊」を信じてはならない=中国
日本経済の長期低迷はいまや失われた25年と呼ばれるようになった
しかし、中国メディアの中億財経網は16日、
「日本経済の崩壊」という論調は世界を騙す「ペテン」である
と論じる記事を掲載した。
記事は失われた10年、または、失われた20年と呼ばれてきた日本経済の低迷に言及しつつ、それでも「日本は今なお世界の経済大国であり、さらに言えば経済強国である」と説明。
日本に比べれば中国はせいぜい経済大国に過ぎず、中国国内の真の経済力は日本に大きく水をあけられているのが現状だと指摘した。
さらに
「中国人が常々言うところの日本経済の多難は、実は一種の煙幕弾に過ぎない」
と主張し、
「その主要な狙いは日本経済が強大すぎるゆえに、
欧米から敵視され、何らかの経済制裁を加えられるのを防ぐことにある」
と主張した。
また、記事は中国について「国内経済は非常に大きな発展を遂げた」と指摘する一方、
「日本は多くの点で、中国人が真剣に学び、また参考にすべき国である」
と説明。
「日本経済崩壊論は他国をペテンにかけるための方策であるため、
中国人は日本経済が衰退している、もしくは、もうすぐ崩壊するなどと本気でみなすべきではない」
と主張し、日本という国を中国人は決して軽視してはいけないと警告した。
日本は国内総生産(GDP)の算出方法に新基準を採用したことにより、GDPが飛躍的に増加した。
新基準は企業の研究開発費なども投資とみなすため、研究開発投資を重視する日本の取り組みが数値となって表れた形となった。
研究開発への投資は現在と未来における国際競争力を磨くために不可欠な活動であり、記事が指摘しているように「日本経済が衰退している、もしくはもうすぐ崩壊する」という見方は大きな誤りだといえる。
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Record china配信日時:2016年12月22日(木) 6時50分
http://www.recordchina.co.jp/a158312.html
腐ってもタイ!
侮れない日本経済の実力に「大きいけど強くないのが中国経済」
2016年12月20日、中国の金融情報サイト・匯金網が、日本経済の実力について分析する記事を掲載した。
記事によると、
★.中国メディアの多くが、アベノミクスは失敗しており日本経済は重大な危機に面していると報道しているが、それは錯覚にすぎず、日本経済は多くの人が想像する以上に強い
という。
その上で、日本は1960年代後半には米国に次ぐ経済大国となっており、実際には中国の経済レベルや総合的な国力は、日本に遠く及ばないと指摘。
例えば、鉄鋼の生産量で中国は世界一と言っても、
高品質な鉄鋼では日本が世界一で、
中国一の鉄鋼企業は日本の援助で設立され日本の設備を使用している
と伝えた。
さらに、
日本経済は中国に完全に依頼しているわけではなく、その市場は世界中にあると紹介。
日本国内は不景気でも海外に産業を移しており、
日本の経済的な実力は日本国内だけではない
と論じた。
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『
ロイター 2016年 12月 25日 10:35 JST 山下一仁キヤノングローバル戦略研究所 研究主幹
http://jp.reuters.com/article/view-tpp-kazuhito-yamashita-idJPKBN14B063?sp=true
視点:米国抜きの新TPPに日本の活路
[東京 22日] - ドナルド・トランプ次期米大統領の予告通り、米国が環太平洋連携協定(TPP)から離脱したとしても、日本は米国抜きの新TPPを通商戦略の根幹に据えるべきだと、キヤノングローバル戦略研究所・研究主幹の山下一仁氏は主張する。
同氏の見解は以下の通り。
■<論拠を失うTPP反対派の米国脅威論>
トランプ氏が、1月の米大統領就任後100日間の優先政策事項を語った11月21日公開のビデオ声明で、TPP離脱を予告したにもかかわらず、日本のTPP推進派には任期中の君子豹変を期待する向きがいまだ多いようだ。
しかし、そのような甘い期待はきっぱりと捨てた方がいいだろう。
トランプ氏を大統領にまで押し上げたのは、移民と貿易に関する保護主義的な言動だ。
地球温暖化対策の見直しや医療保険制度改革(オバマケア)の廃止といった他の公約で妥協することはあっても、通商問題では譲歩できないだろう。
トランプ氏が大統領でいる間は、米国のTPP参加はないものとして、日本は通商戦略を再構築する必要がある。
とはいえ、私は、TPPがダメだから、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)交渉に軸足を移すべきだとの考えには賛同できない。
むしろ、その逆だ。
米国抜きの新TPPを進めることを、日本の通商戦略の根幹に据えるべきだと考えている。
理由は2つある。
★.1つはその規模だ。
米国が離脱しても、TPPにはカナダ、オーストラリア、メキシコなど比較的大きな国が多数参加している。
しかも、フィリピン、インドネシア、台湾など、他にも多くの国や地域が参加の意向を示している。
個々の国・地域と結んできた通商協定よりも大きなスケールメリットを追求できる。
★.もう1つの理由は、TPPが既存のいかなる多国間通商協定よりも高いレベルの内容であるということだ。
関税撤廃やサービス貿易拡大など自由化の取り組みは、世界貿易機関(WTO)以上に進んでいる。
また、投資、貿易と環境、貿易と労働などWTOがこれまで網羅してこなかった分野についても、新たなルール作りに踏み込んでいる。
さらに、将来の中国加入をにらんで、国有企業のあり方についても細かく定めた。
これらはいずれも中国主導のRCEPでは、実現不可能な内容だ。
例えば、TPPでは、労働者に労働三権(団結権、団体交渉権、団体行動権)を法的に保障することが参加国に義務付けられているが、現在の中国政府には到底受け入れられる項目ではないだろう。
また、RCEP交渉には、高関税国のインドも入っており、関税引き下げはほとんど進まない可能性が高い。
TPPの空白をRCEPが埋められるとは、いずれのTPP交渉参加国も考えていないのではないだろうか。
実際、米国抜きの新TPPの可能性に言及する当事国は増えている。
報道によれば、ペルーのクチンスキ大統領は
「米国を外し、環太平洋での新たな経済連携協定を構築すべきだ」
と表明。
メキシコのグアハルド経済相も、米国を除く11カ国で協定が発効できるように条項見直しを提案している。
その意味で、日本が先んじてTPP批准案を可決したことは、他国に対して前向きなメッセージになったと思う。
ちなみに、TPP発効には参加国の国内総生産(GDP)の85%を占める6カ国以上の批准が必要との規定があるため、60%を占める米国が抜ければお蔵入りすると思われがちだが、実際にはその規定を修正・削除した上で、米国以外の参加11カ国で新TPP協定を締結し直せばよいだけだ。
加えて、米国は抜けるのだから、同国の利益を反映した条項の修正・削除も行われることになろう。
日本の場合、米国に認めた7万トンのコメ特別輸入枠の削除などが可能になる。
農産物関税の削減・撤廃規定が米国に適用されることもない。
さらに、ISDS(投資家と国家間の紛争解決)手続き条項や新薬のデータ保護期間、食品の安全などに関する米国主導で決まった他の規定も大きく見直されるだろう。
TPP反対派の米国脅威論は論拠を失うことになる。
■<日米FTA交渉は拒否すべき>
何より重要な点は、先に米国抜きでTPPを発効させることができれば、将来、米国が加入を求めてきたときに、既存参加国は結束して強い交渉態度で臨めることだ。
米国抜きと言ったが、私は米国もいずれ(トランプ大統領後は)TPPに加入申請せざるを得なくなると考えている。
TPPに入らないことで一番割を食うのは、米国であるからだ。
例えば、日本が輸入する牛肉にかけている関税は、TPP加盟国のオーストラリア産やニュージーランド産が9%に引き下げられるのに対して、米国産は38.5%で据え置かれる。
同じような関税率の格差が豚肉や小麦、乳製品など他の農産物についても発生するため、米国の農業界は大きな痛手を受ける。
米国の農業界はもともと共和党支持層であり、これまで日本市場の確保とさらなる開放を強く求めてきた。
TPP不参加で明白な不利益が生じれば、共和党中枢を突き上げ、TPP加入申請を強く求めることになるはずだ。
そもそも、共和党は伝統的には自由貿易推進派である。
米国がTPP加盟を求めてきたら、既存参加国は、強い交渉態度で臨めばいい。
後から入る国の要求が通りにくいのは、国際通商交渉の常である。
米国自体、例えば中国のWTO加入交渉で、そうした強硬な姿勢を取ってきた経緯がある。
こう話すと、トランプ氏は、自国の農業界などに明白な不利益が生じれば、日本に対し「日米自由貿易協定(FTA)」を結ぶよう強い圧力をかけてくるのではないかとの反論が聞こえてきそうだ。
確かに、その可能性は高い。
だが、拒否すればいい。道理は日本側にある。
そもそもTPPはアジア太平洋経済協力(APEC)全域を網羅する自由貿易圏構想(FTAAP)実現に向けた取り組みの1つとして、米国をはじめとするAPEC首脳が推進してきたことだ。
また、2国間FTAの乱立が複数のルールや規則につながり、世界貿易の障害となることは自明の理だ。
こうした筋論や自由貿易主義の理想を、日本はAPECやTPP参加国を味方につけて、米国側に諭すべきである。
■<報復関税合戦は杞憂か>
ただ、私のこうした見方は全て次期米政権が常軌を逸した行動には出ないとの前提に基づいている。
仮にトランプ次期米大統領が、選挙期間中に公言していたように、本気で中国やメキシコに45%や35%の高関税をかけようとした場合、日米FTAを断れば日本もその標的にされるのかもしれない。
むろん、そのようなことをすれば、WTO違反であり、トランプ政権は「アメリカ・ファースト(米国第一主義)」の貫徹のため、TPPどころか、WTO離脱も辞さないということになる。
実際には離脱せずとも、報復関税合戦を招くことになりかねない。
現代のビジネスは、国境を越えて複雑に入り組んだサプライチェーンによって支えられている。
世界貿易の6割が部品の貿易だ。
100%のメイド・イン・チャイナも100%のメイド・イン・USAもない。
米国などから輸出された部品を中国で組み立て、米国に輸出している企業も多い。
関税引き上げによる保護貿易主義は、米国企業の収益を直撃し、結果としてトランプ氏を支持した米国人労働者を苦しめるだけだ。
さすがにトランプ氏も現代の産業構造を理解していると考えたいが、選挙期間中の過激な発言が万が一、ブラフ(はったり)でなかった場合、大恐慌まっただ中の1930年に米国が国内産業保護を優先するスムート・ホーリー法を制定し、関税を大幅に引き上げ、世界経済をさらに悪化させた「暗黒の時代」再来も杞憂とは言えなくなりそうだ。
*本稿は、山下一仁氏へのインタビューをもとに、同氏の個人的見解に基づいて書かれています。
(聞き手:麻生祐司)
*山下一仁氏は、キヤノングローバル戦略研究所の研究主幹、経済産業研究所の上席研究員(非常勤)。1977年、東京大学法学部卒業後、農水省入省。ウルグアイラウンド交渉などの国際交渉に参加。農水省の国際部参事官、農村振興局次長などを経て 2008年に同省を退職。東京大学博士(農学)、ミシガン大学行政修士・応用経済学修士。
*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの特集「2017年の視点」に掲載されたものです。
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