2016年12月5日月曜日

トランプ外交の幕開け(2):中国批判 南シナ海・為替操作

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 既存メデイアはどうもトランプにきついようだ。
 まあ、あれだけの選挙予測の失敗をしでかし、無能をさらけ出してしまっては立つ瀬がない。
 手のひら返したように安易にトランプ支持をするわけにもいかなくなっている。
 なにかないかと目を皿のようにして見まわし、トランプの危うさを暴き出すことに専念しているように見える。
 それだけ先の大統領選では深手を負ったということだろう。
 来月20日までは、メデイアにとっては残された傷をなめる日々になりそうである。 


日本経済新聞 2016/12/5 11:48
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM05H2Q_V01C16A2MM0000/

トランプ氏、中国を批判 南シナ海・為替操作 

 【ワシントン=吉野直也】
 トランプ次期米大統領は4日、中国が南シナ海に人工島を造成し軍事複合施設を建設していることをツイッターで批判した。
 「中国は我々に南シナ海の真ん中で大規模な軍事複合施設を建設していいかどうか了承を求めたのか。
 私はそうは思わない」
と断じた。


 ●トランプ氏が中国を批判したツイッター画面

 大統領選勝利後、トランプ氏が南シナ海問題について考えを示すのは初めて。
 国際法を無視し軍事的な影響力を拡大する中国を真っ向から非難したものだ。
 オバマ政権は中国の南シナ海での海洋進出に「弱腰」で有効な手立てを打てず、同盟国などには不満がある。

 トランプ氏に南シナ海での人工島造成を事実上否定された中国の出方が注目される。

 トランプ氏は2日に台湾の蔡英文総統と電話で協議。
 米大統領や次期大統領と台湾総統のやり取りが公表されたのは1979年の米台断交以来初だ。
 中国は反発している。
 「了承を求めたのか」とする今回の対中批判は意趣返しともみられる。

 トランプ氏は中国の為替操作にも言及。
 「通貨の価値を下げることや(米国が中国に課税していないのに)中国に入る我々の製品に重い税金をかけることも我々に了承を求めたのか」
と非難した。
 トランプ氏の対中国への強硬姿勢の背後には米国内の親台湾派の存在がささやかれ、トランプ次期政権と中国の関係が緊張する可能性がある。



ロイター 2016年 12月 6日 12:22 JST
http://jp.reuters.com/article/column-trump-us-firms-idJPKBN13V08V?sp=true

コラム:中国の米企業へ送るトランプ氏のメッセージは「即死」


●12月5日、トランプ次期米大統領(写真)は、前例を破って台湾の蔡英文総統と電話会談し、さらにはツイッターで中国の政策や米国企業による海外生産について不吉な発言をした。インディアナ州で1日撮影(2016年 ロイター/Chris Bergin)
Pete Sweeney

[香港 5日 ロイター BREAKINGVIEWS] -
 トランプ次期米大統領の中国に対する姿勢に、政策ウオッチャーらは頭を掻きむしっている。
 トランプ氏は、前例を破って台湾の蔡英文総統と電話会談し、さらにはツイッターで中国の政策や米国企業による海外生産について不吉な発言をした。

 しかし1つだけ明らかなメッセージがある。
 トランプ氏は米国の対中投資に対する反発を意に介していないばかりか、歓迎してさえしている
ということだ。

トランプ氏がなぜ約40年間の外交儀礼を破って蔡総統と電話会談したしたのかは定かでない。
 台湾を中国の一部と見なす中国政府は外交的に抗議するにとどめ、この問題が自然消滅してくれるのを願っている様子だ。
 国営メディアは電話会談について、政権移行チームが外交政策に不慣れなために起こった馬鹿げた出来事だと片付けた。

 中国の米商工会議所は
 「アジアで事業展開する米企業には確実性と安定性が必要だ」
と控え目な表現で応じたが、
 無鉄砲なトランプ氏を前にせいぜい頑張ってくれ、
としか言いようがない。
 トランプ氏は蔡総統との電話会談を正当化すると、今度は中国の企業政策や南シナ海問題を攻撃。
 中国はいよいよ一過性の事故と片づけるのが難しい立場に追いやられた。

 米企業にとって頭の痛いことに、トランプ氏はツイッターで、海外移転した米企業の製品に35%の輸入関税を掛ける計画も示している。
 実行すればアップルなど、数十年越しで中国にサプライチェーンや工場を建設してきた企業が打ちのめされるだろう。
 最近の調査では、米国の対中国直接投資のストックは1990年から2015年にかけて「2280億ドル」まで積み上がっている。

 中国に進出した海外企業にとっての悪夢は、怒った暴徒が工場や旗艦店を取り巻くことだ。
 台湾問題で地雷を踏むことは、暴徒に火をつける最高の方法であり、
 彼らは中国政府の後ろ盾を要求するだろう。

 トランプ氏のツイートを読む限り、彼がそうした事態を心配している様子はない。
 中国を締め上げれば締め上げるほど、米企業は本国に戻ってくると信じているのかもしれない。
 しかし、既に資本移動への規制を強めている中国が、退去する海外企業を身ぐるみはがそうとするのはほぼ確実だ。
 送金を封じたり、資産の叩き売りを強要するなどの方法が考えられる。
 中国に進出している米企業にとって、トランプ氏の態度はジェラルド・フォード元副大統領が1970年にニューヨークに送ったと伝えられる(真偽のほどは定かでない)メッセージに近いかもしれない。つまり「即死」だ。

●背景となるニュース

*トランプ次期米大統領が台湾の蔡英文総統と電話会談したことについて、中国は3日に外交的な抗議を行った。米大統領あるいは次期大統領と台湾総統とのこうした会談は1979年以降で初めて。

*中国の王毅外相は、トランプ氏に電話をかけるという「つまらない」行動をとった台湾側を批判。中国国営メディアは、トランプ氏の政権移行チームが外交政策に不慣れなために起こった出来事だと片づけた。

*電話会談に対する批判が広がり始めると、トランプ氏はツイッターで反論。「中国は自国通貨を切り下げること(わが国の企業の競争を厳しくすること)や、われわれの製品に高い輸入関税をかけること(米国はかけていないのに)、南シナ海の真ん中に巨大な軍事施設を建設することについて、われわれの了承を求めたのか?そうじゃないだろう!」と投稿した。

*トランプ氏はまたツイッターで、海外移転した米企業の製品に35%の輸入関税をかける計画も示した。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

 「2280億ドル」とは約25兆円
 これを中国政府が収奪することになると、何が起こるか。
 米国企業が2012年の日本企業のように焼き討ちされれば、アメリカ国民の嫌中感情に一気に火がつく。
 となれば中国政府は打つ手がなくなる。
 反日だから抑え込める。
 といっても、有効には抑え込めてはいないが。
 日本は中国を軍事的にまるで恐れていないし、訪中は激減しているのに訪日は衰えることはない。
 なら経済封鎖はどうかというと、そんなことをすれば日本の前に中国が先に冷えあがってしまう。
 もし有効に抑え込めないと、日本もダメ、アメリカもダメで行き詰ってしまい、これでは民族高揚感が危険な形で先鋭化するだろう。
 その先は何?
 「そうして、戦争が起こる」かもしれない。
 中国は戦争する気で南シナ海を領有化する方向で動いていることは確かだろう。
 アメリカがそれを「お受けしましょう」という姿勢を鮮明にすればぶつかるしかない。
 トランプは戦時体制を作ることで、国内景気を盛り上げようとしているのだろうか?
 可能性は大いにありえる。


ニューズウイーク 2016年12月6日(火)16時46分 コナー・ギャフィー
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/12/post-6489.php

人民元、関税、南シナ海
──トランプの対中批判はどこまで正確か
How Accurate Are Donald Trump’s Claims About China?

<台湾の蔡英文総統とトランプが電話会談を行ったことに中国が抗議すると、トランプは「お前のほうこそ断りなく迷惑なことをやっているじゃないか」と反論。
トランプは一手に米中関係を破壊しようとしているかのようだ>

 ドナルド・トランプ次期米大統領は、一手に米中関係を破壊しようと挑んでいるのかのようだ。

 7週間後に大統領就任を控えたトランプは、早くも中国政府を激怒させている。
  12月2日に台湾の蔡英文総統と電話会談を行ったのだ。
 アメリカ大統領もしくは次期大統領と台湾総統との電話会談は1979年以来初と見られる。
 中国は、台湾を領土の一部だとみなしており、独立は認めていない。
 中国外務省は12月3日、この電話会談についてアメリカ側に厳重な抗議を申し入れたと発表した。

■中国の抗議に更なる攻撃

 トランプは姿勢を軟化させる気配を微塵も見せず、それどころか12月4日、中国に対する批判を開始した。
 一連のツイートでトランプは次のように述べている。
 「(アメリカ製品の競争が困難になる)人民元切り下げを行うとき、中国は、事前に断りを入れただろうか?
 アメリカが中国に輸出する製品に重税を課してもいいかと聞いただろうか(アメリカは中国製品に課税していない)。
 南シナ海の真ん中に巨大な軍事複合施設を建設するときは断ったのか。そんなことはない」

【参考記事】 >米の対台湾武器売却に対する中国の猛抗議と強気
【参考記事】 >南シナ海、米中心理戦を読み解く――焦っているのはどちらか?

 トランプの主張は本当なのか、検証する。

■人民元の切り下げ

 中国は2015年8月に人民元の切り下げを行い、アメリカ政府を激怒させた。
 中国人民銀行(中央銀行)は、この切り下げは人民元の相場が市場で決まるようにするための措置で、切り下げはIMF(国際通貨基金)からも了解を得ていると主張した。
 一方のアメリカは、人民元を人為的に低く抑えることで、中国製品の輸出競争力が増し、それがアメリカや諸外国の競争を妨げていると訴えた。

 トランプの主張は、中国でビジネスをするアメリカ企業の意見を反映したもののようだ。
 在中米国商工会議所が1月に発表した年次調査によると、
 アメリカ企業は、中国におけるビジネス環境がますます困難になりつつあると考えており、企業の10分の1が移転を計画しているか、すでに事業の一部を中国外に移しているという。
 同調査では、一貫しない規制と不明瞭な法律――および一般的な排外思想――がおも理由だと述べられているが、人民元の切り下げもいくらか役割を果たしたようだ。

■中国によるアメリカ製品への課税

 トランプは以前にも同様の主張を展開していた。
 選挙運動期間中の3月にニューヨークタイムズ紙に対し、共和党候補だったトランプはこう語っている。
 「アメリカが中国でビジネスを行うのは非常に難しいが、中国がアメリカでビジネスを行うのは非常に簡単だ。
 しかも、アメリカが中国にものを売るときは莫大な税金を支払っているのに、中国がわれわれ相手に商売するときは無税だ」
 中国がアメリカからの輸入品に「重税を課している」とするトランプの主張は、部分的には正しい。
 中国は基本税率17%の付加価値税(VAT)を導入しているが、この税率は大半のEU諸国よりも低い(例えばイタリアのVATは22%だ)。
 だが、アメリカはVATを導入していない。
 つまり、アメリカが中国や諸外国から輸入する製品に追加課税はかからない。

■アメリカは一貫して反対

 だが、ファクトチェックサイト「Politifact」によると、アメリカが中国製品に一切課税していないという点は、トランプの間違い。アメリカは、自国内で販売される中国製品に関税をかけているのだ。
 その税率は、農産物が2.5%、他の物品が2.9%。たしかに中国はアメリカよりも高い関税を課しており、アメリカ産農産物の税率は9.7%、非農産品は2.9%となっているものの、アメリカが中国製品に一切課税していないとは言えない。

■中国の南シナ海進出

 主要な海上航路である南シナ海に中国が主張している領有権は、アメリカと周辺諸国にとって重大な懸念対象になっている。
 オバマ政権は一貫して中国の主張に異を唱え、これらの島々の領有権を主張するベトナムやフィリピン、マレーシア、ブルネイ、台湾に対し、中国に対抗するため結束するよう呼びかけ、米海軍艦船によるパトロールも実施している。

【参考記事】 >米爆撃機が中国の人工島上空を飛んだことの意味

 だが、中国が南シナ海に「巨大な軍事複合施設」を建設しているとするトランプの主張に対しては反論が出ている。
 オンラインマガジン「The Diplomat」によると、中国が西沙諸島のウッディー島(永興島)に約1400名からなる部隊を配した軍用基地を築いているのはたしかだが、大規模な前哨基地の一部ではないという。
 しかしながら、トランプの言う「巨大な軍事複合施設」が将来、出現する可能性はある。
 The Diplomatによると中国は、同国が南沙諸島に持つ7つの人工島の軍事化を徐々に進めつつある。



ロイター 2016年 12月 6日 17:11 JST
http://jp.reuters.com/article/trump-china-taiwan-idJPKBN13V0PC?sp=true

焦点:トランプ氏が仕掛ける中国試し、
「台湾カード」の危険性

[ワシントン 5日 ロイター] - ドナルド・トランプ次期米大統領は先週、台湾の蔡英文総統と電話会談し、中国に対する強硬姿勢を示唆したが、貿易や北朝鮮といった問題をめぐり、中国から譲歩を引き出すための危険な賭けをどこまで推し進めるのかは定かではない。

 米国と台湾の首脳は1979年の米中国交正常化以来、直接コンタクトを取っていなかった。
 トランプ氏と蔡氏の電話会談を受け、中国政府は外交ルートを通じて米国政府に抗議。
 来年1月に退陣するオバマ政権は、長年かけて共和、民主両党による政権が慎重に築き上げてきた対中関係の進展を損ないかねないと警告した。
 もしトランプ氏が過度に自分の考えを通そうとするなら、中国との軍事対立を招く可能性があると、専門家らは指摘する。

 同氏の側近とマイク・ペンス次期米副大統領は、蔡氏との10分間に及ぶ電話会談は「表敬」であり、対中政策の変更を示すものではないとして、火消しに追われている。
 しかしトランプ氏は4日、中国の経済・軍事政策をツイッターで批判し、火に油を注いだ。
 一方、同氏の経済顧問であるスティーブン・ムーア氏は、
 中国が気に入らなくても「お好きなように」と述べた。

 元米高官を含む専門家らは、
★.台湾首脳との電話会談は中国に対する警告の第一弾
すぎないとみている。
 トランプ政権の国務長官候補の1人とみられているジョン・ハンツマン氏は、ニューヨーク・タイムズ紙によれば、
★.対中政策において台湾は「有益なレバレッジポイント」である
ことが証明されるかもしれないと語った。

 同じく国務長官候補に挙がっているトランプ氏のアドバイザーで対中タカ派のピーター・ナバロ氏とジョン・ボルトン元国連大使は共に、
 アジアの領有権問題で主張を強める中国に圧力をかけるために「台湾カード」の利用を提案している。

 だがこうした戦略は非常にリスクを伴うと、オバマ政権の米国家安全保障会議(NSC)で東アジア政策を統括するアジア上級部長を務めたエバン・メデイロス氏は指摘。
 「中国は1990年代半ばに、台湾問題は戦争と平和に関わる問題だと非常に明確に伝えてきた。
 これは米国が試すべき問題だろうか」

 「台湾問題は政治的にとても慎重さを要する問題であり、中国にとっては、他の何かと取引をすることはないであろう非常に優先度の高い利益だ。
 もし米国が台湾と正式に外交関係を結ぶことを決めたなら、北東アジアで軍事危機が起きてもおかしくはない」
と同氏は語る。

 米共和党政権時代のホワイトハウス高官で、2002─2006年に米国の在台湾窓口機関である米国在台湾協会(AIT)台北事務所元所長のダグラス・パール氏は、
 トランプ氏の側近らのアプローチは、中国が現在よりも弱く、米国が強硬姿勢を取れる立場にあった1990年代に基づいている
ようだと話した。
 「問題は、中国政府が1996年に(軍備の)10カ年増強計画を決めた。そのようなことを再び受け入れなくてはならない必要性は全くないだろう」
と同氏は述べた。

■<中国試し>

 パール氏によれば、中国の習近平国家主席には、来年の党大会で地位固めをしたいという思惑があり、
 「台北事務所を正式な外交機関にするというような柔軟な態度を習氏が見せれば、ライバルたちの餌食(えじき)となる。
 そのような事態は起こさないだろう」
との見方を示した。
 また、米上院外交委員会のクリス・マーフィー民主党議員は、北朝鮮の核問題や通商問題で中国に圧力をかける方法として台湾を利用することは逆効果だと指摘している。
 ヘンリー・キッシンジャー元国務長官や、トランプ氏と同氏の政権移行チームに助言する人たちも、40年来の「1つの中国」政策をあからさまに破ることには警鐘を鳴らしているという。

 その結果、トランプ氏はまず、日本や他のアジア同盟国を動揺させないよう、米政策転換の兆しというような形ではなく、個人的な問題として電話会談を要請した。
 だがその後トランプ氏が、為替操作や関税や南シナ海問題をめぐり、中国を非難するツイートを行うと、一部のアジアの国からは中国を故意に挑発して、危険なまでに緊張を高めることになるのではないかとの憶測を呼んでいる。

 ニクソン大統領の歴史的訪中(1972年)の際に通訳を務めた元米外交官のチャス・フリーマン氏によれば、中国当局者は現在、トランプ氏の大統領としての意図がどのようなものとなるのか静観しているのだという。
 「彼ら(中国)はトランプ氏を侮辱したくもなければ、同氏と感情的に対立したくもないと考えている」
と同氏は指摘。
 「トランプ氏に対し、『疑わしきは罰せず』というのが当初の反応だろう。
 同氏が自分のしていることの重大さを理解しておらず、周囲の人たちに操られている可能性もあると」
と語った。

(David Brunnstrom記者 翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)



BBCニュース 2016年12月8日 バーバラ・プレット・アッシャー記者
http://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-38236004

トランプ氏にとっての台湾 中国との取引材料か


●中国・上海の新聞スタンドで(先月14日)Image copyrightGETTY IMAGES

 ドナルド・トランプ次期米大統領と中国の台湾をめぐる意見衝突で、トランプ氏の中国政府に対する敵対的な態度にあらためて関心が集まった。
 トランプ氏は、台湾の蔡英文総統との電話会談に応じたことで、ほぼ40年来の対中政策を揺るがした。
 台湾は中国の一部で独立国ではないとする、「一つの中国」政策を支える外交慣習に対する、前例のない違反だった。
 トランプ氏が選挙期間中の約束通り、中国政府との交渉により厳しい態度で臨むのかという懸念も再燃させた。
 中国は台湾問題を最も核心的な利益と位置付けている。
 共産党との内戦に負けた国民党が1949年に台湾に逃れて以来、中国は台湾を、いつかは本土と統一されるべき反抗的な地方だと主張してきた。
 1979年、米国はこの中国の考えを受け入れることにし、台湾の政府ではなく、北京の政府を承認すると決めた。
 以来、「一つの中国」政策は両国関係の基盤を成してきた。

<関連記事>
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■電話会談は計画的だったのか

 事の重大性に鑑み、中国に詳しい一部の専門家や政治家たちは、場当たり的な外交をしそうなトランプ氏が、理解なく微妙な領域に足を踏み込んでしまったのだと説明している。
 米下院情報特別委員会で民主党の最も有力なメンバー、アダム・シフ議員はBBCに対し、電話会談の経緯に関する情報が錯綜していることを挙げて、会談は偶発的に起きたようだと語った。
 「背後に戦略のようなものは全くなかったと思う。
 実は方向性を変える熟慮されたものだというような解釈や説明は、非常に疑わしい」。
 
 政権移行チームの説明は矛盾していた。
 ペンス次期副大統領は、台湾から当選の祝辞を述べる儀礼的な電話がかかってきただけで、政策には触れられなかったと語り、軽く扱う態度を当初は取っていた。
 一方でトランプ氏は、会談後にツイッター上で相次いで出したコメントで、経済や安全保障に関する中国の行動を批判した。
 電話会談への反省も示さなかったし、一つの中国政策への支持をあらためて表明することもしなかった。
 その後、対中国強硬派と親台湾派がトランプ氏の顧問として持つ影響力や、彼らが会談をセットした経緯の詳細について報道が次々と出た。
 会談を斡旋したのは、台湾がトランプ氏周辺とつながりを得ようと、活動費を払っていたボブ・ドール元上院議員だったと報じられている。
 保守系シンクタンク、ヘリテージ財団のウォルター・ローマン・アジア研究所所長は、
 「事前に準備された意図的なもので、トランプ氏も何を意味するか理解していたと思う」
と述べた。


Record china配信日時:2016年12月10日(土) 19時40分
http://www.recordchina.co.jp/a157208.html

中国への“口撃”強めるトランプ米次期大統領、
通貨・関税に南シナ海もやり玉に、
中国は静観の構え

  2016年12月9日、台湾の蔡英文総統と電話会談し、物議を醸したトランプ米次期大統領が、その後も中国への“口撃”を強めている。
 やり玉に挙げたのは通貨、関税と中国が軍事拠点化を進める南シナ海。
 これに対し、中国側はトランプ氏が正式就任前のため正面からの批判は避け、静観する構えだ。

 トランプ氏は蔡総統と電話会談した2日後、自身のツイッターに
 「中国は自国通貨を切り下げること、
 中国向けの米製品に重税を課すこと、
 南シナ海のど真ん中に巨大軍事施設を建設することに関して、われわれに了承を求めただろうか? そうは思わない」
と書き込んだ。

 中国について、トランプ氏は選挙戦中、輸出を有利にするため、米ドルに対して人民元安に操作しているとして「最も強大な為替操作国」などと批判。
 大統領就任の初日に中国を「為替操作国」に認定すると公約している。

 中国の反発を知りつつ、トランプ氏が今度は南シナ海問題にも踏み込んだ真意は不明。
 背景説明もないが、中国による南シナ海の軍事化に反対を表明したとみられる。
 同氏は米国メディアが中国の反発を招く可能性を報じると、
 「米国は台湾に何十億ドルもの兵器を売ってるのに、おめでとうの電話を受けちゃいけないって、興味深いな」
ともツイートした。

 蔡総統との電話会談について、台湾を自国の一部とみなす中国の王毅外相は台湾を「小細工した」と非難する一方、「米政府が長年堅持してきた『一つの中国』政策を変えることはできない」と述べるにとどめた。
 中国外交部の陸慷報道局長も5日の定例記者会見で、トランプ氏による中国への批判的な発言について「トランプ氏と陣営による一切の措置の背景に関しては、臆測しない」として、反論しなかった。
 来年1月の新政権の発足を前に対立激化を避け、同氏の出方を慎重に見極める方針とみられる。

 さらに、陸報道局長は「台湾問題は中米関係で最も重要で敏感な問題だ」と強調。
 「一つの中国」原則が協力への政治的前提だと訴え、
 「トランプ陣営を含む米国は、この問題に対する中国の厳しい立場を理解している」
と一定の配慮も示した。
 蔡総統との電話会談が対米関係に影響しないよう「過小評価」する思惑ものぞくが、会談やトランプ氏の相次ぐツイートには今後の米中間関係をにらんだ計算が働いているのは明らかだ。

 トランプ氏は蔡総統との電話会談に先立ち、中国の習近平国家主席とも電話で協議。
 両者は米中の協力強化と前向きな関係構築の意向で一致した。
 しかし、トランプ氏は米国と諸外国との関係に「予測不能性」を持ち込む必要性を公言している。
 中国をめぐる一連の発言は、その主要な兆候となりそうだ。



Record china配信日時:2016年12月11日(日) 23時10分
http://www.recordchina.co.jp/a157456.html

米台ハイレベル軍事交流、米議会で可決
=中国政府は「断固反対」表明―仏メディア

 2016年12月9日、RFI中国語版サイトは記事「米台のあらゆる公式交流、軍事関係に反対する―中国政府」を掲載した。

 米上院は8日、17会計年度(16年10月〜17年9月)の国防権限法案を可決した。
 法案には台湾とのハイレベル軍事交流が盛り込まれていることから中国政府は反発している。

 中国外交部の陸慷(ルー・カン)報道官は9日の定例記者会見で
 「『一つの中国』政策と中米三つの共同コミュニケの原則及び関連する承諾を厳守するよう米国に促す」
とコメント。
 米台のあらゆる公式交流、軍事関係に断固反対すると発言した。

Record china配信日時:2016年12月12日(月) 5時0分

トランプ次期米大統領の対中外交、
台湾との関係強化をカードに南シナ海での譲歩引き出す―米華字メディア

 2016年12月9日、米華字メディア・多維網は記事
 「トランプ次期大統領の国務長官人事、台湾をカードに南シナ海問題で中国に譲歩迫る」
を掲載した。 

 ロイター通信は9日、次期国務長官候補に上がっているジョン・ボルトン元米国連大使のインタビューを掲載した。
 台湾の蔡英文総統と電話会談した問題について、ボルトン氏は
 「従来とは異なり、トランプ新政権では貿易問題や南シナ海問題でより強硬姿勢を示すとのシグナルだ」
と分析した。 

 強硬姿勢がどのような影響を与えるのか、トランプ次期大統領は中国との対話を継続する意志があるのかについて注目されるが、ボルトン氏は
 「台湾との関係をカードとして、南シナ海における中国の行動をけん制することができる。
★.また北朝鮮問題についても中国は大きな役割を主張しているが、実際にはたいしたことをやっていない
と発言し、台湾との関係強化が中国に圧力をかけるカードとして機能するとの見方を示した。
 ボルトン氏は先日、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルに寄稿し、台湾問題で中国に圧力をかけ、東北アジアにおける領土問題で譲歩を引き出すべきだと主張していた。



ロイター 2016年 12月 14日 15:25 JST
http://jp.reuters.com/article/southchinasea-usa-idJPKBN1430H4

米国、南シナ海めぐり中国との対決も辞さず=太平洋軍司令官

[シドニー 14日 ロイター] - 
 ハリス米太平洋軍司令官は14日、中国が南シナ海をめぐり行き過ぎた主権の主張を続けた場合、米国は中国との対決も辞さないと言明した。

 中国は南シナ海の大部分について主権を主張している。
 この海域は豊富な資源が埋蔵されているとみられるだけでなく、年間5兆ドル相当の海上貿易の交通路となっており、近隣のブルネイやマレーシア、フィリピン、台湾、ベトナムなども権利を主張している。

 オランダ・ハーグの国際仲裁裁判所は今年、南シナ海のほぼ全域にわたって主権が及ぶとする中国の主張を認めない判断を示しており、米国は中国に対し、この判断を尊重するよう求めてきた。

 ハリス司令官はシドニーで行った講演で、中国は「攻撃的」な行動を続けているとの見解を示し、米国は対応の用意があると言明。
 「中国が南シナ海で人工島に基地をいくつ建設しようとも、
 共有の領域を一方的に閉鎖する行為は容認できない」とし、
 「協力できる時はするが、必要であれば対立する用意もある」
と述べた。




身勝手な大国・中国】



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