2016年12月4日日曜日

トランプ外交の幕開け(1):台湾は中国の圧力に屈しない、トランプは時代を変えられるか

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 選挙中に述べたことは選挙用としてスルーしてもいい。
 しかし、大統領に決まった後の言動は、トランプの今後の施策の前触れと見るのが妥当だろう。
 安部首相と会い、蔡英文と電話で会談し、ドウテルテを電話で会談して招待するとなると彼の外交のスタンスが見えてくる。
 中国非難の動きが加速しているが、これは中国の譲歩を引き出すためのフェイクであろうか。
 このへんのところはまだわからない。
 来年1月20日以降トランプは大統領としてどういう行動にでるのだろうか。
 大統領選挙はいかに多額の寄付金を集めるかできまるという。
 もちろんその寄付金を出すのは政治に深くかかわている企業であり既存の権利集団である。
 よって、アメリカ大統領とは既存の利益集団のヒモ付き、傀儡になってしまうのが常である
 トランプは全米150位あたりの富豪という。
 彼は自前の資金で大統領選挙を進めてきた。
 よって、既存の権利集団のヒモがついていない。
 その結果としてほぼなんでも自由にできる状態にある。
 となれば、アメリカの政治は彼の胸中で決まってくるといってもいい。
 これまでのセオリーが通じない大統領が出てきたということである。
 

フジテレビ系(FNN) 12/3(土) 12:20配信
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn?a=20161203-00000508-fnn-int

トランプ次期大統領、台湾の蔡英文総統と電話 
密接な関係確認



アメリカのトランプ次期大統領は2日、台湾の蔡英文総統と電話で話し、安全保障分野などでの密接な関係を確認した。
アメリカの次期大統領が、台湾総統と電話をするのは極めて異例。

トランプ氏の政権移行チームによると、トランプ氏は2日、蔡英文総統からの電話を受け、アメリカと台湾の経済や政治、安全保障分野での緊密な関係を確認した。
アメリカメディアによると、現職大統領や次期大統領と、台湾の総統のやり取りが明らかになるのは、アメリカと台湾が断交した1979年以来初めてで、中国側からの激しい反発が予想される。

トランプ氏はまた、フィリピンのドゥテルテ大統領とも電話会談し、現地メディアによると、2017年、ホワイトハウスを訪れるよう招待したという。



Record china配信日時:2016年12月4日(日) 9時50分
http://www.recordchina.co.jp/a156750.html

中国、トランプ・蔡電話会談で米に抗議、
中国外相「台湾の小細工」―中国メディア

2016年12月3日、中国外交部の耿爽(グン・シュアン)報道官は、トランプ次期米大統領と台湾の蔡英文(ツァイ・インウェン)総統が電話会談したこと受け、米国に抗議したことを明らかにした。
新華社が伝えた。

耿報道官は
「世界にはただ一つの中国しかなく、台湾は中国の不可分の一部であり、中華人民共和国政府は中国を代表する唯一の合法的政府だ。
これは国際社会が公認する事実だ」
と主張。
米国に対し
「一つの中国の原則は中米関係の政治的基礎だ。
中米関係の大局が不必要な干渉を受けないために、一つの中国の原則を守るよう求める」
と述べた。

中国の王毅外相も同日、今回の電話会談を「台湾側の小細工」だと批判した上で、米国政府が長年堅持してきた「一つの中国」政策を変えることはできないと述べた。


朝日新聞デジタル 12/3(土) 19:35配信

慣例破る外交、トランプ流 台湾総統と電話会談

 トランプ次期米大統領は2日、外交関係がない台湾の蔡英文(ツァイインウェン)総統と電話会談し、1979年の断交以来続いてきた台湾総統と直接接触しないという外交上の慣例を破った。
 台湾を自国の一部とする中国は米側に抗議したが、トランプ氏は取り合わない構えだ。

 トランプ氏は交流サイト・ツイッターで会談を取り上げる際、
 蔡氏を「台湾総統(The President of Taiwan)」と呼んだ。
 台湾側によると会談でも使われた。
 米大統領や次期大統領が直接「台湾総統」の呼称を使うのは異例という
 政権移行チームはこの日、
 「各国首脳との電話会談」としてアフガニスタン、フィリピン、シンガポール3カ国の大統領・首相と一緒に発表。
 蔡氏をほかの国家指導者と同格に位置づけた

 台湾の総統府関係者によると、トランプ氏の勝利直後から外交官らが同氏周辺との接触を強化。
 入念に準備した上での会談だという。
 蔡氏側から電話し、台湾時間2日午後11時(日本時間3日午前0時)過ぎから10分余り英語で話し合った。
 アジアの地域情勢についても意見交換し、蔡氏は米台関係強化への期待感を伝えた。


CNN.co.jp 12/4(日) 10:00配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161204-35093157-cnn-int

中国、トランプ氏と台湾総統の電話会談に正式抗議

(CNN) 米国のトランプ次期大統領が台湾の蔡英文(ツァイインウェン)総統と電話で会談したことに対し、中国外務省は3日、正式に抗議する声明を出した。

 中国外務省の報道官が発表した声明は、大陸と台湾を「一つの中国」とする原則が「中米関係の政治的な基礎」になっていると強調。
 米国は「中米関係全体への不必要な影響」を避けるため、この原則を守って台湾に関する問題を慎重に扱うべきだと訴えた。

 これに先立ち、中国の王毅(ワンイー)外相は同日、電話会談を「台湾による小細工」と呼んで批判していた。

 トランプ氏が2日、台湾総統との電話で会談したことによって米政策の転換を図ったのか、あるいは国際経験に乏しい同氏の政権移行チームが単に判断を誤ったのか、専門家らの意見は分かれている。

 トランプ氏は2日夜、
 「台湾総統が私の大統領当選を祝って電話をくれた」
とツイートし、電話をかけたのは蔡総統のほうだったと強調。
 さらに別のツイートで
 「米国は台湾に何十億もの武器を売っているのに、
 私がお祝いの電話を受けてはいけないというのは興味深い話だ」
と皮肉った。

 蔡総統は同日夜、公式ウェブサイトで電話会談についての声明を発表。
 約10分間にわたって「打ち解けた会話」を交わし、経済や国防、アジア地域の状況などについて意見を交換したと述べた。

 トランプ氏の側近、ケリーアン・コンウェー氏はCNNとのインタビューで、トランプ氏は米国のこれまでの政策をよく承知していると強調した。

 一方、上院外交委員会のメンバーを務める民主党のクリス・マーフィー議員はツイッターを通し、会談について「気まぐれの路線転換だ。戦争はこのようにして始まるのだ」と非難した。


東京新聞 2016年12月4日 朝刊

トランプ氏、蔡氏を「元首」扱い 
中国、対米批判抑える
   
 トランプ次期米大統領と台湾の蔡英文総統が二日、電話協議を行い、米台の緊密な関係を確認したことに対し、中国政府は「台湾側の小細工」と非難する一方、トランプ氏への明確な批判は示していない。
 「一つの中国」の政策を堅持する中国の立場からすれば、今回の電話協議はこの原則からの逸脱にほかならないが、政権発足前からトランプ氏と対立する事態を意識的に避けているようだ。

 習近平国家主席は二日、訪中したキッシンジャー元米国務長官と会談し、「両国の共通利益は意見の相違より大きい」と指摘。
 新政権と安定した関係を求めると示した直後の電話協議だけに、習氏はメンツをつぶされた形だ。

 「台湾は中国の一部」とする中国にとって、台湾問題は他国と対立しても一切の譲歩をしない「核心的利益」と位置付ける。
 昨年末に米国が台湾に武器売却を決めた際も「中国の主権を著しく損なう」(外務省)と強く抗議した。

 ところが今回、次期米大統領が台湾総統と協議した上、蔡氏を「プレジデント」と呼び、「国家元首」と認めるような表現も使用した。
 1979年の米台断交以来初の事態が起きたにもかかわらず、「米政府が長年堅持してきた『一つの中国』政策を改変するはずはない」(王毅外相)とけん制するにとどめた。
 中国外務省も「米国に抗議した」と表明しながら、「米国が『一つの中国』政策を順守するよう促す」と穏健な表現が目立つ。

 強硬な論調が多い国際情報紙「環球時報」(電子版)も「トランプ氏は就任前に中国の対応を見るため『探り』を入れただけだ」と分析。
 「頭の切れるトランプ氏が『一つの中国』の原則を破り、中米関係を破壊することはない」
と楽観的な見方を示した。
 中国では、実業界出身のトランプ氏は政治的対立より経済の実利を優先すると期待がある一方、「中国からの輸入品に高率関税をかける」などの主張を警戒。
 南シナ海問題で中国に強硬な発言もしており
中国側から対立を深めたくない思惑がある。


●断交後初 トランプ氏台湾総統と電話=緊密な関係確認
2016/12/03 に公開 視聴回数 194 回


Record china配信日時:2016年12月5日(月) 12時50分
http://www.recordchina.co.jp/a156767.html

波紋広がる台湾総統との電話会談、
トランプ次期大統領がツイッターで反問
「祝福の電話すら受けられないというのかね?」―仏メディア


●台湾総統との電話会談、トランプ氏「祝福の電話すら受けられない?」画像ID  536266
3日、トランプ次期大統領と台湾の蔡英文総統の電話会談が波紋を広げている。

 2016年12月3日、RFI中国語版サイトは記事
 「『祝福の電話すら受けられないというのかね?』、
トランプ次期大統領がツイッターで反問」を掲載した。 

 トランプ次期大統領と台湾の蔡英文(ツァイ・インウェン)総統の電話会談が波紋を広げている。
 米中国交回復以来、米国と台湾のトップが直接電話会談することはなく、トランプ次期大統領が慣例にとらわれない大胆な政策を打ち出すシグナルととらえられている。 

 世界各国のメディアが大々的に報じる中、2日、トランプ次期大統領はツイッターで
 「私の大統領選勝利を祝って、台湾総統が今日電話をかけてきてくれた。
 ありがとう」
とつぶやいた。
 その1時間後、
 「米国は台湾に数十億ドル規模の軍装備品を売却している。
 それなのに私は祝いの電話すら受けられないというのかね?」
とつぶやき、過熱するメディアの反応をけん制した。

Yahooニュース 2016/12/5(月) 7:00 遠藤誉  | 東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士

トランプ・蔡英文電話会談は周到に準備されていた?

 2日、トランプ次期大統領が台湾の蔡英文総統と電話会談した。
 1979年に国交断絶をして以来のことだ。「一つの中国」を踏みにじると中国は激怒。
 同日、キシンジャー氏と会っていた習近平国家主席は顔に泥を塗られた形だ。

◆「一つの中国」原則を破るのか?

 アメリカ時間の12月2日、トランプ次期大統領が台湾の蔡英文総統と電話会談をした。
 1979年の米中国交正常化に伴い、アメリカと「中華民国」が国交を断絶して以来、初めてのことだ。
 国交正常化に当たり、中国が「中華人民共和国」を「唯一の中国」として認めさせ、「一つの中国」を堅持することを絶対条件として要求したからである。
 それ以降、アメリカは「中華民国」を国として認めないことを誓い、「中国の一地域である"台湾″」と呼び、国家の指導者同士が接触しないことを守ってきた。

 しかし、トランプ次期大統領は電話会談という手段を通してその原則を破っただけでなく、蔡英文総統を “The President of Taiwan” と呼んだのである。
 その全文には 
 “The President of Taiwan CALLED ME today to wish me congratulation on winning the Presidency. Thank you!”
とある。
 訳すまでもないとは思うが、日本語では
 “台湾総統は今日、私に電話をかけてきて、総統選に勝利したことを祝ってくれと言ってきた。
 ありがとう!”
となる。
 ここでは“CALLED ME”(電話をかけてきた)が重要で、「自分からかけたのではない」と弁解したいわけだ。
 ツイッターでは、この部分だけが大文字になっている。
 それでも、タブーとされていた「直接会談」を「相手を総統と認めて」受けたということは前代未聞で、中国(大陸、北京政府)にとっては転変地変の大事件だ。
 おまけに両者は
 「経済、政治、安全保障での緊密な関係が台湾と米国の間にある」
と確認し合ったという。
 台湾メディアおよびトランプ陣営が報じた。この中に「安全保障」という言葉があるのが、キーポイントである。

◆王毅外相抗議

 これに対して王毅外相は3日、つぎのように抗議した。
 「台湾がやった小細工だ」
 「これによって、アメリカが堅持してきた“一つの中国”の原則を変えることはできない」
という旨の発言をした。
 「2016年国際形勢と中国外交政策シンポジウム」が終わった後に、香港の鳳凰(フェニックス)の記者の問いに答えたものだ。

 中国外交部(外務省)のスポークスマンは
 「慎重、適切に台湾問題を処理し、中米関係の大局が不必要な干渉を受けないよう求めた」ことと、
 「トランプ陣営側に直接、抗議を申し入れた」
と発表した。
 また国務院台湾弁公室のスポークスマンも3日、
 「台湾の小細工が国際社会で普遍的に認められている「一つの中国」の大原則を変えることなどできない。
 台湾独立には断固反対していく」
という趣旨のことを述べている。
 そして中国政府の通信社である新華社(12月3日電)は
 「ホワイトハウスの国家安全委員会は“一つの中国”という対中政策は不変だ。
 台湾地区の平和安定はアメリカの根本的な利益にかなっている」
と述べたと報道した。

◆顔に泥を塗られた習近平
――曲芸を演じた「忍者外交」の名手キシンジャー

 さて、これは本当に「台湾の小細工」なのだろうか?
 だとすれば、トランプ・蔡英文電話会談が行われていた、そのほぼ同時刻に、
 なぜあのキッシンジャー氏は人民大会堂で習近平国家主席と会っていたのだろうか?
 キッシンジャーと言えば、「忍者外交」で有名だ。

 当時、ベトナム戦争(1960年12月~1975年)の長期化と泥沼化に手を焼いていたアメリカは、中ソ対立が激しい中国に接近し、米ソ対立におけるアメリカの立場を有利に持って行こうというもくろみもあり、水面下で北京と接近していた。
 ニクソン政権時代に大統領国家安全保障問題担当大統領補佐官および国務長官などを務めていたヘンリー・キッシンジャー氏は、1971年7月、パキスタン訪問中に体調不良と称して一日だけ姿を消し、極秘裏に北京を訪問した。
 ニクソン大統領以外はニクソン政権内の者も知る人が少なく、もちろん同盟国・日本の頭越しの訪中であったことから、「忍者外交」として全世界に衝撃を与えた。

 このキッシンジャー氏が、又もや「曲芸」を演じたのである。 
 新華網(12月3日電)によれば、12月2日、93歳になるキッシンジャー氏は人民大会堂で習近平国家主席と仲良く対談していたという。
 互いに相手を絶賛しあい、米中関係の強化を確認していた。
 これに関しては中央テレビ局CCTVだけでなく、中国共産党の機関紙の電子版「人民網」も「中国共産党新聞」で大きく取り上げ、中国では大々的に、そして「誇らしげに!」報道されていたばかりだ。
 そこに飛び込んできたトランプ・蔡英文会談。中国では大きくは報道しなかった。
 習近平国家主席のメンツ丸潰れで、すっかり顔に泥を塗られた形になってしまったからだ。

◆周到に準備されていたトランプ・蔡英文電話会談
――陰にはトランプ陣営大物
 
 キッシンジャー氏の北京訪問を「曲芸」と名付けたのには、理由がある。
 実はペンタゴンにおける軍事戦略などのシンクタンクの役割も果たしているヘリテージ財団のエドウィン・フュルナー氏がトランプ当選後の10月13日、秘密裏に台北を訪れ蔡英文総統と面談していたのだ。
 11月10日、台湾の三立新聞などが
 「台米関係は緩和か?
 トランプ幕僚フュルナー秘密訪台  
 蔡英文とは20年来の仲」
というタイトルの報道をした。
 このページでは、まず宣伝が出てくるが、15からゼロまでカウントダウンしていき、最後に「×」印が出てくるので、この「×」をクリックして宣伝を消せば、タイトルの情報が出てくる。
 フュルナー氏はヘリテージ財団の総裁を長いこと(2013年まで)務めていたが、今年8月にトランプ陣営に入った。
 
 ヘリテージ財団というのは、1973年に設立された保守系シンクタンクで、アメリカの伝統的な価値観や国防の強化などを掲げているため、中国語では「米国伝統基金会」という訳し方をしている。
 蔡英文総統とは、彼女がまだ台湾で国家安全委員会諮問委員会の仕事をしていた時期に接触があり、二人は20年来の知己であるという。
 アメリカの大統領選挙中、蔡英文側はヒラリー候補と緊密な連携を持ち続けたと言われている。
 トランプ氏が「世界の警察にならない」と宣言し、アジア回帰を否定していたからだ。
 それは安全保障上、台湾に大きな不安を与え、ヒラリー・クリントン氏が当選してくれる方がいいと応援していたのだ。
 トランプ当選が決まったとき、蔡英文総統は記者の問いに青ざめていたと、台湾メディアは報道している。
 そのため10月13日にトランプ陣営の大物、フュルナー氏が20年以上の仲である蔡英文総統に会いに行ったものと推測される。

 一方、トランプ氏は当選後まもない11月17日に、キッシンジャー氏に会い、外交問題に関して話しあったと、アメリカメディアが報道した。
 会談後トランプ氏は「キッシンジャー氏を非常に尊敬しており、意見交換ができて、うれしい」と語ったとのこと。
 両氏は「中国、ロシア、イラン、欧州などの問題について話し合った」と報道されたが、当然このときに、「一つの中国」問題や台湾問題に関しても触れたことだろう。

 この報道を知ったとき筆者は、10月13日にトランプ陣営の顧問的役割をしているフュルナー氏が訪台し蔡英文総裁に再会していることを反射的に連想した。
 「何かあるにちがいない」とは思ったが、それはこの、「タブーを破った、次期米国大統領と台湾総裁との電話会談」だったわけだ。

 「アメリカのTPP(環太平洋パートナーシップ協定)離脱により、中国の一人勝ちにはさせないよ」
という、来るべきトランプ新政権の狙いの一つだろう。
 しかも電話代以外はかけずに、習近平政権には衝撃的な楔(くさび)を打つ。
 キシンジャー・習近平会談を誇らしげに報道しただけに、北京側としてはトランプ・蔡英文電話会談をそう大々的に批判報道するわけにもいかない。
 習近平の歯ぎしりが聞こえる。
 予測不能なトランプ外交ではあるが、みごとなものだ。
 今後は米台関係と米中関係を、この視点からも注視していかなければならない。


Record china配信日時:2016年12月5日(月) 15時40分
http://www.recordchina.co.jp/a156772.html

台湾総統とトランプ次期大統領の電話会談、
寝耳に水の一手は誰のアドバイスか―仏メディア

 2016年12月3日、仏ラジオ・フランス・アンテルナショナル(RFI)によると、台湾の蔡英文(ツァイ・インウェン)総統が米国のドナルド・トランプ次期大統領と電話会談を行ったが、これが米中関係や中台関係を揺り動かす一手になっている。 

 直接の電話会談は、40年続いた米中台三角関係の暗黙のルールを破るもので、中国にとっては寝耳に水となった。
 消息筋によると、この直接対話は何者かのアドバイスを受けてのものだったという。 

 蔡総統に誰がアドバイスをしたのか、香港紙・蘋果日報(アップルデイリー)は
 「何者かの助言を得ているということは、重大で象徴的だ」
とする中国の専門家の見方を紹介。
 「中台関係がこう着状態に陥っている中での電話会談は象徴的な意義が大きい」
と指摘した。 

 トランプ次期大統領の外交顧問で、選挙前に台湾を訪れていたヘリテージ財団のエドウィン・フールナー氏が関わっている可能性が高いとみられる。
 CNNはディック・チェイニー元副大統領とアジア政策顧問のスティーブン・イェーツ氏が電話会談を手配したと報じたが、絶好のタイミングでこの直接対話を実現させたことは、蔡総統の側近も対米工作能力が高いことを示すところともなった。 

 オバマ大統領率いるホワイトハウスは、米国は中国を唯一の正式な政権だとする政策に変更はないとあらためて表明したが、今回の電話会談は中国政府の神経を逆なでし、中国の王毅(ワン・イー)外相が「台湾のくだらない小細工」と強く非難したことが報じられている。


フジテレビ系(FNN) 12/5(月) 12:32配信

米・トランプ氏、国外移転企業の製品には「35%の関税」と警告


  アメリカのトランプ次期大統領は4日、「アメリカの雇用を守るため」として、国外に移転した企業の製品に35%の高い関税を課すなど、報復を行う考えを示した。
 トランプ氏は、4日のツイッターで、企業が、ほかの国に工場を移転するなど、雇用が奪われた場合、「報復なしにできると思ったら間違いだ」と指摘し、その企業の製品には、35%の関税を課すと警告した。
 トランプ氏が、民間企業の経営方針に介入することには、批判も出ているが、企業の海外流出に断固たる姿勢で対応する考えをあらためて示して、雇用を取り戻すとの選挙期間中の公約を守ることを強調した。

 ペンス次期副大統領は、「これは儀礼的なものだったと、中国の当局者に言いたい」と述べた。
 2日にトランプ氏が、台湾の蔡英文総統と電話で話したことに、中国が抗議していたが、ペンス次期副大統領は、これはあくまでも儀礼的な電話だったと釈明した。
 ただ、そのトランプ氏は、4日もツイッターで、中国の南シナ海への進出や、通貨政策を痛烈に批判し続けている。

CNN.co.jp 12/6(火) 9:39配信

トランプ氏顧問、米台関係に言及
「中国の反発、知ったことか」

(CNN) 米国のトランプ次期大統領が台湾の蔡英文(ツァイインウェン)総統と電話で会談し、中国からの反発を招いていることについて、トランプ氏の経済顧問、スティーブン・ムーア氏は5日、中国の感情を害しても「知ったことではない」と言い放った。

 ムーア氏は地方ラジオ局とのインタビューで、
 「台湾は我々の同盟国だ。
 自由を信奉する人々だからこれまでも支援してきた。
 我々は同盟国を支援しなければならない。
 中国がいやがっても無視すればいい」
と述べた。

 中国は台湾を自国の一部とみなし、国家として認めていない。
 米国は1979年に中国と国交を樹立し台湾と断交して以来、この原則を認める立場を取ってきた。

 トランプ氏と蔡氏の電話会談に対しては中国が米国務省に抗議し、米国の外交専門家らも強い懸念を示している。
 しかしムーア氏は、中国がアジアで威嚇的な行動に出ていることを批判し、
 対中強硬路線で知られたレーガン元大統領と同じように中国に立ち向かうべきだと強調した。

 同氏はまた、トランプ氏が蔡氏と電話会談したことは大歓迎だと表明。
 米外交当局ではこれまで
 「こんなことはとてもできない、中国に対して失礼じゃないか、とみんなびくびくしてきた」
と主張し、
 「中国に失礼でも私の知ったことではない」
と切り捨てた。

日本経済新聞 2016/12/6 9:35

オバマ米政府「一つの中国」堅持 
中国政府に伝達 

 【ワシントン=吉野直也】
 アーネスト米大統領報道官は5日、トランプ次期米大統領と台湾の蔡英文総統の電話協議を受け、 
 オバマ政権が「一つの中国」の原則を堅持する方針を中国政府に伝えた
と明らかにした。
 米国家安全保障会議(NSC)高官と中国側で少なくとも2回電話をしたと指摘。
 「トランプ氏の政権移行チームに別の考えがあるなら、
 彼らに聞いてほしい」
と語った。

 アーネスト氏はトランプ氏の一連の行動や発言に関して
 「台湾や米国に何の恩恵があるのかわからない」
と語り、トランプ氏の真意に懐疑的な立場を示した。
 トランプ氏と蔡氏との電話協議後に中国側が台湾への批判を強めていることに懸念を表明した。

 トランプ氏は2日に蔡氏と電話協議した。
 米大統領や次期大統領と台湾総統のやり取りが判明したのは、米国が1979年に台湾と断交して以来、初めてだった。
 中国がこれに抗議したことにトランプ氏は4日、ツイッターで中国による南シナ海での軍事拠点化を「我々に了承を求めたのか。私はそうは思わない」と反発した。


ニューズウイーク 2016年12月5日(月)16時59分 ニコラス・ロフレド
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/12/-.php

トランプ-蔡英文電話会談ショック
「戦争はこうして始まる」

<トランプ次期米大統領と、アメリカと国交のない台湾の蔡英文総統との電撃電話会談に中国はカンカン、世界は騒然。
トランプはいったい何を考えているのか>

 ドナルド・トランプ次期米大統領が外交上の慣例を破り外交関係のない台湾総統と電話会談を行った問題。
 混乱は政治や外交にも及んでいる。

 まず、先に電話をかけたのはどっちなのか。 
 トランプは台湾の蔡英文総統から電話をかけてきたと主張するが、台湾総統の報道官は米NBCニュースに対し、10分間の電話会談は入念に準備されたもので、驚きはなかったと語った。
 台湾の英字紙「タイペイ・タイムズ(台北時報)」は、トランプは台湾をめぐる諸問題について側近から説明を受けた上で、政権移行チーム内の「親台派」が間を取り持った台湾総統からの電話に応じることに、自ら合意したと伝えた。

【参考記事】トランプ・蔡英文電話会談は周到に準備されていた?

 トランプは会談後、ツイッターに投稿した。
 「台湾総統が今日、大統領選の勝利を祝って電話をかけてきた。ありがとう!」
 アメリカが数十年来堅持してきた「一つの中国」の原則に疑念を投じる行動にトランプが打って出たことについて、激しい批判や懸念の声が上がっている。

■無計画で重大な転換


 コネチカット州選出の上院議員(民主党)クリス・マーフィーはツイッターに投稿し、トランプの行為は「無計画に始めた、外交方針の重大な転換」だと批判した。
 「戦争はそうやって始まる。
 もし転換ではなく、奇をてらっただけだととしても、我が国の立場を信じられなくなった同盟国は離れていくだろう。
 どう転んでもひどい結果だ」。

  ヒラリー・クリントン陣営で広報担当を務めたブライアン・ファロンはツイッターで、
 「誰かがトランプには外交手腕がないと警告してくれればよかったのに」
と投稿。
 そのコメントに
 「(トランプは)グローバルな危機を解決するどころか、新たな問題を生み出してしまう」
と訴えるクリントンの動画を重ね、成り行きを皮肉った。

【参考記事】トランプ政権誕生で中台関係はどう動くか

 ジョージ・W・ブッシュ政権で外交政策を担当した経歴を持つアジア政策の専門家アーロン・フリードバーグは、米政治情報サイトポリティコに対し、中国側の反応についてこう語った。
 「中国政府は今回の件をトランプのへまでなく、意図的な挑発行為としてとらえる可能性が高い。
 戦略というのは単に行動を起こすだけでなく、相当な思考を伴うものだ。
 今回トランプ側には熟考の跡が見られなかった」

【参考記事】蔡英文新総統はどう出るか?――米中の圧力と台湾の民意

 だが共和党議員の一部は、電話会談の実現はトランプの大胆なリーダーシップの賜物だと持ち上げた。
 「台湾はアメリカの盟友。次期大統領がそのことを世界に知らしめるのは何も悪くない」
と、インディアナ州選出の下院議員ルーク・メサーは米政治専門メディア「ザ・ヒル」で語った。
 「共産主義の残忍な殺し屋が政権を握るキューバと国交を回復したオバマの判断を賢明だと称えていた人々が
 、台湾を認知したトランプを批判する光景は皮肉でしかない」
 ノースカロライナ州選出の下院議員(共和党)マーク・メド―は、「政策ではなく、ただの電話」と発言し、台湾総統との会談自体が大した問題ではないとの見解を示した。
 トランプの選挙対策本部長だったケリーアン・コンウェイは、トランプが米政府の中台政策について「十分に認識」しており、
 「今後も関連する問題についてしっかり情報説明を受けて十分な見識を保持する」
と述べた。

■ドゥテルテを招待

 今回の騒動を受けて、ホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)は、米政府の政策に変更はないと強調するなど火消しに追われた。
 ネッド・プライス報道官は「中台関係をめぐる長年の政策に変更はない」とする声明を発表した。
 「米中間の3つの共同コミュニケに基づく『一つの中国』政策を堅持する」

 蔡英文との電話会談に加え、オバマ政権に対して強硬姿勢をとってきたフィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領を来年ホワイトハウスに招待したことが明らかになったことで、今後のトランプのトップ人事にますます暗い影が差している。
 トランプは2日も、軍人出身で「マッド・ドッグ(荒くれ者)」の異名を取るジェームズ・マティスを国防長官に任命したばかり。今回の騒ぎの尻拭いをさせられるのは、米ブルームバーグが駐中国大使の候補に挙がっていると伝えた、アイオワ州のテリー・ブランスタッド知事(共和党)かもしれない。









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